サムライヌード

『サムライヌード』作 すがの公

▪あらすじ
坂本龍人は平凡な予備校教師だが、毎日激動の幕末の世界に想いを馳せていた。ある日、不思議な修行僧に「鬼を育てる気はないか?」と、物理的に手相を変えられタイムスリップする。龍人がたどり着いた先は、なんと、あこがれの坂本龍馬の中だった。

▪舞台、効果音、小道具
舞台は素舞台である。
コロス、効果音はそのシーンでメインではない役者が表現する。
小道具は小さい発光体(ろうそく型)のみ。

▪坂本龍人
暗の中、電車の音がする
電車の音「ガタンゴトン!ガタンゴトン!ガタンゴトン!」
満員電車の中、つり革につかまり、一心不乱に本を読んでいる男
アナウンス「地下鉄大江戸線をご利用いただき誠にありがとうございます」
坂本「、、、同じ時間同じ車両同じ向き同じ混雑、、今日も明日も明後日も、この電車にのる
のか」
照明が変わる。妄想タイム
オキタ「何読んでるんですか?」
坂本「え?」
オキタ「本」
坂本「これ?」
サナコ「何読んでるのかなってサカモトさん」
坂本「ええと」
ナラサキ「気になるーう」
坂本「俺のこと知ってる?」
タカスギ「知らないわけないじゃないですか」
坂本「そう?」
オトセ「超有名じゃん、坂本りゅーと」
坂本「マジ?」
ヒジカタ「何読んでんすか、りゅーとさん」
坂本「恥ずかしいなぁ」
オオウラ「坂本龍馬に学ぶ、男の生き方死に方」
坂本「やめてよちょっと」
グラバー「ジャパニーズサムラーイ」
坂本「そんなんじゃないっす」
リョウマ「さすが坂本君」
乗客全員「ぼくら凡人とは、ココロザシが違うなぁ」
坂本「いや、そー?そーかなぁー」
リョウマ「いよ!」
全員「コッコォロ・ザ・シ♪!(こころざしコール)」
坂本「やー(照)」
全員「コッコォロ・ザ・シ♪!」
坂本「やあ(照)」
リョウマ「サッカーモットォリュウトォ、日本をしょって♪!
全員「コッコォロ・ザ・シ♪!」
坂本「やあ(照)」
全員「コッコォロ・ザ・シ♪!」
リョウマ「サカモトリュートを胴上げだ!」
坂本「え?地下鉄だよ?」
胴上げ
全員「わーっしょい!わーしょい!わーっしょいーーーー!!!」
坂本「さんきゅう!さんっきゅう!ベリマッチ!」
照明戻る
坂本「あ、、」
いつもの混雑。無表情な乗客。
電車の音「ガタンゴトンガタンゴトン、ガタンゴトンガタンゴトン、
坂本「、、妄想。いつもの妄想。今日も明日もあさっても、、、何も変わらない」
本を読み出す、坂本。
坂本「いいなあ、、幕末は」
電車の音「ガタンゴトンガタンゴトン、ガタンゴトンガタンゴトン」
じょじょに暗

▪鬼のウワサ1684年
全員「時は代わり、江戸時代末期、幕末」
小さなろうそくの明かりが10個つく。
江戸の町の人たちがウワサをしている。
1「鬼?」
10「鬼」
1「いつの時代だと思ってんだ」
2「そりゃおめえ、えーと」
3「安政ってのは、終わったろ」
4「万延ってのはどこいった」
5「ありゃ早かったな」
6「今はほれ、文久だかなんだか」
7「近頃はコロコロ変わってな」
8「覚えられねぇ」
9「まぁ誰がどーでも同じだろ」
3「いつの時代もおんなじだ」
4「えーじゃないかえーじゃないか」
3「鬼っていうとあれか」
9「化けもんだ」
10「妖怪だろ」
4「角があって」
5「巻き毛で」
6「牙に爪」
7「虎の毛皮だ」
8「鬼に金棒」
9「とにかくでけえ」
10「赤やら青やら」
4「一つ目らしいな」
2「で?」
3「鬼がどした?」
4「出たってのよ」
7「どこに」
10「長崎さ」
5「出島だろ」
6「また異人の仕業か」
8「コレラの次は鬼か」
1「どういうことよ?」
2「黒船がのっけてきたんだ」
3「あのコロリか?」
2「九州から東海道まで」
7「箱根の手前までコロリコロリと人が死んで」
8「鬼は死神だと聞くぞ」
7「鬼ってのは人を食うんだろ」
10「食う」
1「都じゃあ人が死んでるからな」
3「ああ、例の攘夷だの」
4「天誅だの」
5「粛正だのよ」
6「人斬り浪人が集まってよ」
9「自慢の刀だ」
7「サムライだ」
8「ちゃんちゃんばらばら」
10「ヤットウ騒ぎ」
1「外人さんに囲まれて」
2「妙な病いにインチキ宗教」
3「しまいにゃ鬼が出るしまつ」
4「庶民はせいぜいウワサの花を」
5「咲かせて春をまつばかり」
6「やっとこ徳川三百年」
7「サムライ世界でひきこもり」
8「何もめてんだか知らねえが」
9「溜まりに溜まったウミが出て」
10「そろそろこの世も終わりらしい」
1「えーじゃないかえーじゃないか」
2「どっちだってえーじゃないか」
34「えーじゃないかえーじゃないか」
56「そっちだってえーじゃないか」
78「踊る阿呆にみる阿呆」
9「同じ阿呆なら」
10「えーじゃないかえーじゃないか!」
全「えーじゃないかえーじゃないか!」
10「えーじゃないかえーじゃないか!」
全「えーじゃないかえーじゃないか!」
ろうそくの明かりがゆれ、一斉に消える。
坂本「あの頃に生きれば俺だって!何ものかになった違いない!」
音楽がかかる。

▪キャスト紹介と、頭痛
シルエットが見える。二人の剣士、追手から逃げている。
剣士1「ぐぐぐぐうう」
すでに囲まれている剣士1
全員「これは
幕末と呼ばれたあの時代をかけ抜けた
若き志士たちの激情と
愛と誠のSF浪漫譚(ろまんたん)である」
敵二人、かかっていく。
敵A・B「おりゃ、おりゃあああ!」
全員「なお」
刀「カキンカキーーーン!!」
全員「本公演の効果音は」
剣士1「えいや!」
刀「ズッバアアアアアア」
全員「すべて生声で発され」
剣士2「逃げるぞ!」
足音「ダダダ!」
剣士1「うむ!」
羽織「ひらぁ」
剣士2「しまった!」
足が止まる音「ズッザアアアアア!!」
剣士たち、袋小路を表現する
壁「ばん!ぺたぺた!ばばん!ばん!」
剣士ふたり「(顔を見合わせる)行き止まりだ」
全員「衣装や小道具や舞台セットは」
敵の足音や声「だだだだ」「いたぞ!」「にがすなぁ!」
剣士1「これまでか!」
全員「すべてエアーで表現されます」
剣士2「スラリ」
全員「刀も」
剣士1「ぎゅっぎゅ」
全員「はちまきも」
剣士ふたり「そのへんの竹」
ふたり、そのへんの竹をバラ散らかす
竹「ずんばらばらばらばらあああ!!」
剣士ふたり「来い!!!」
全員「舞台セットも」
頭痛「ズッキーーーーン!!」
剣士2「どうした?」
剣士1「頭が!!」
全員「頭痛の音、とかも!」
剣士1「割れるように痛い!!」
頭痛「ズッキーーーーーン!!」
全員「出演!」
役者、あいうえお順に自己紹介
役者1「<(名 前 & 所 属)>!」
全員「ずっばーーーー!」
役者2「<(名 前 & 所 属)>!」
全員「ずっばーーーー!」
役者3「<(名 前 & 所 属)>!」
全員「大丈夫カッキーーーン」
役者4「<(名 前 & 所 属)>!」
全員「ずっばーーーー!」
役者5「<(名 前 & 所 属)>!」
全員「大丈夫ズッバーーン」
役者6「<(名 前 & 所 属)>!」
全員「貴ぃさあぁまああっっバーーーン」
役者7「<(名 前 & 所 属)>!」
全員「うっわああぐっっばーーー!」
役者8「<(名 前 & 所 属)>!」
全員「おおりゃああッガッガー!!」
役者9「<(名 前 & 所 属)>!」
全員「俺ごと貫けカッハーー!」
役者10「<(名 前 & 所 属)>!」
全員「以上10名!」
剣士2「御免!!!!!!!!!!!」
敵A「うああああああああああああああああ」
曲あがり、切れ。雨が降ってくる
雨「サアアアアアアアア」
刺す音「ズウンン!」
雨「ザアアアアアアアアアアア」
剣士2、剣士1ごと、敵Aをつらぬく
抜く音「グッ、ググン」
敵A倒れる。
剣士1「じ、攘夷を」
剣士2「おんしの命、無駄にはせんきに」
剣士2、退場する。
雨「ザアアアアアアアアアアア」
剣士1「、、くそ、頭が、、痛い」
心音「どっくん」
2、3歩、あるき、ひざをつき。
心音「どっくん」
剣士1「くっ、、、くっ」
心音「どっくん」
切腹をする。
心音「どっくん」
そのまま
心音「どっくん」
ゆっくりと
心音「どっくん」
心音「、、、、どっくん」
心音「、、、、、、、、、どっくん」
心音「、、、、、、、、、、、、、どっ」
こと切れた。
雨「ザアアアアアアアアアアア」
静寂。月明かり。
たいまつの明かりがくる。
手には十手。
岡っ引きたち「御用だ御用だ」「いたぞ」「こっちだ」「こっちにもだ」
岡っ引き1「派手にやりやがって」
岡っ引き2「人斬りの仕業ですか」
岡っ引き1「北辰一刀流か」
岡っ引き2「おい、戸板だ」
手下1「へい」
岡っ引き2「ここにもいました」
と、剣士1を照らす
岡っ引き1「、、、腹斬ってやがる」
岡っ引き2「武士道ってやつですか」
岡っ引き1「これで立派な侍だ」
岡っ引き2「死んでまでなりたいもんかね」
岡っ引き1「そいつぁ、侍にしかわからねえ」
手下1「こっちに生き残りです」
岡っ引き1「こいつは後だ」
提灯が遠くへ行く。
犬の遠吠え「ワォーーーん、ワンオンオン、、」
月明かりが弱くなっていく。
今にも消えそうなその時。
角「めり」
剣士1の頭の形が変わる。
角「めりめりめり、めりめりめりめり」
剣士1が、立ち上がる
心音「どくん!!!」
剣士1「ゲホオオ!」
角「めりめりめりめりめりめり!!!!」
頭を押さえる
剣士1「ぐああああああああああ!!!」
心音「どっくん!!!どっくん!!どっくん!どっくん!どっくん!!」

心音、現代の音とクロスフェードする

▪現代
電車「ガッタン!ゴットン!ガタン!ゴトン!ガタンゴトン!」
暗の中、朝の地下鉄大江戸線が動く。満員電車ギッチギチ
坂本、へんな格好をしている
電車「ガタンゴトン!ガタンゴトン!」
アナ「地下鉄大江戸線をご利用いただきまして誠にありがとうございます」
坂本「同じ時間同じ車両同じ向き同じ混雑。今日も明日も明後日もこの電車にのるのか」
電車「ガタンゴトンガタンゴトン」
女客「ちょっと」
坂本「は?」
女客「やめてください」
坂本「え?」
女客「やめてください」
白い目「ジッ」
坂本「え?」
白い目「ヒソヒソヒソ」「痴漢か」「痴漢だ」「やだやだ」
坂本「え?!おれ?」
アナ「月島ー月島ー、有楽町線はお乗り換えです」
電車「ぷしゅー」降車客に押され、坂本おりる
坂本「ちょっと!ちょっと!ちがいますって!」
電車「がたんごとんがたんごとんがたんごとん」
と電車、白い目を乗せて去る。坂本、電車に叫ぶ
坂本「ブス!ブスーーー!!!おまえなんか触るかあ!くっっそおおおおおお!馬鹿にし
やがって!」
駅員
駅員「他のお客さまのご迷惑になりますので」
坂本「でも痴漢に間違われて」
駅員「ちかん?」
坂本「間違われて」
駅員「痴漢は立派な犯罪ですよ」
坂本「間違われたんですって」
駅員「ほんとですか?」
坂本「自分で言うかバカヤロウ!」
駅員「ちょっとお客さん暴力やめましょう」
坂本「暴力ふるってねえだろう!」
駅員「警察呼びますね警察、警察」
坂本「何言ってんだお前!」
駅員「え、あーすいません、ちょっと問題です(無線)」
坂本「いい!問題ねえから!知らん」
駅員「あちょっと!」
坂本「知るか!バーカ!」
足音「ズダダダ!ダダダダ!」
地下3「たたたた」
地下2「たた、たたた」
坂本「まだあるのか!」
地下1「たっ、たっ、たっ」
地下から、地上へ
坂本「あああ。はぁ、はぁ。はあ。大江戸線、深い!はぁ、はあ。アハハ!ばーか!死ね!」
頭痛「ズキン」
坂本「いて!」
うずくまる
坂本「あれ?、、、、何してんだ俺」
心音「ドクドクドクドクドクドクドクドク」
坂本「今のやばいだろ俺。、、、、、俺、こんなに凶暴だったっけ。」
心音「ドクドクドクドクドクドクドクドク」
修行僧がいる。托鉢(たくはつ)をしてる風
修行僧「むにゃむにゃむにゃむにゃ」
坂本「なんだ」
修行僧「むにゃむにゃむにゃむにゃ」
坂本「托鉢か、、、、」
小銭を出して、おわんに入れる。
小銭「ちゃりん」
修行僧「(礼)ありがとうございます」
坂本「こっちの都合だから」
修行僧「人生を立ち止まっておられるのう。ふぉふぉっふぉっふぉ」
坂本「ふぉふぉふぉふぉ、じゃ」
修行僧「鬼を育てる気はないか?」
坂本「は?」
修行僧「そなたの鬼を」
坂本「何言ってんだ。やだよ」
修行僧「また会おう予備校教師」
坂本「あ!しまった、駅ひとつ前で降りたんだった!
車「ブロローン」
坂本「タクシー!」
タクシーとまる
車「キィ」
ドア「スーい」
坂本「永代町二丁目!大成予備校門前仲町校!」
ドア「バタン」
坂本「あれ?なんで仕事知ってんだ」
車「ぶーーーん」
残る、修行僧
修行僧「ふぉっふぉっふぉ」
雑踏に消える。

▪現代、予備校
暗の中、チョークの音がする
チョーク「カッカッカッカッ、カッカッ」
明。黒板にチョークで文字を書きながら歴史の授業をする予備校教師の坂本先生。
チョーク「カッカッ、カッカッ」
坂本「えー、黒船到来、ペリー来航、日米修好通商条約、桜田門外の変、生麦事件、薩英
戦争、下関戦争、からの薩長同盟、大政奉
還、王政復古、明治維新。でぇ!日本は近代化の道を辿るわけですよと」
予備校生1「はい」手をあげる。
坂本「はいなんだろ」
予備校生1「新撰組とかあのー」
坂本「出ません」
予備校生2「坂本龍馬とか」
坂本「まず出ません」
予備校生3「土方歳三」
坂本「絶対出ない」
予備校生4「沖田総司」
坂本「もし出たら予備校教師やめます」
予備校生たち「(笑)」
予備校生5「""""」
予備校生6「""""」
予備校生7「""""」
予備校生8「""""」
予備校生9「""""」
坂本「よーし出尽くしたなー受験の日本史はーひろーくあさーく丸暗記ー」
チャイム「キーンコーンカーんコーン」
坂本「はい、じゃ合い言葉ー」
予備校生全員「日々、向上宣言♪できることからはじめようよ」
坂本「はいさいならーはいさいならーさいならーはいきをつけてーはいさよならー」
机の上を片付けて予備校生たち家路につく
女が残っている
楢崎「先生」
坂本「はいなんだろー」
楢崎たつこ、すごく見つめている
楢崎「私のこと、おぼえてますか?」
坂本「お名前は」
楢崎「楢崎です」
坂本「ならさきならさき、はいナラサキさん」
楢崎「覚えてませんか?」
坂本「二浪?去年この講座とってた?」
楢崎「そういうんじゃないんです」
坂本「あ、まだ高校生?どこ志望?」
楢崎「先生」
ちかよってくる楢崎、びびる坂本
坂本「なんだなんだなんだなんだなんだこれ」
ずいぶん近づく楢崎
坂本「近い近い近い近い」
さらに近づく楢崎
坂本「やばいやばいやばいやばい良い匂い」
楢崎「わかりませんか」
坂本「30歳を越えた日本人男子の鬱積とした欲望と社会性のバランスの悪さを君はなに
もわかっていない」
楢崎「見えませんか」
坂本「まずいまずい理性がまずい」
楢崎「聞こえませんか?」
坂本「あらららららら」
楢崎「静かにして」
楢崎、坂本のくちびるに指を当てる。
坂本「、、、、」
楢崎「せんせい」
坂本「(崩壊)らあびゅー♪(love you)」
楢崎「ぎゃああ」
と坂本、楢崎に襲いかかる。
しばらく力づくの争い。
最期は平手打ちで決着。
ぱん!!
坂本「(なんか言う)(例「まだ少ししか触ってない!!!」など)」
楢崎「しずかにして」
かすかに聞こえる海の音
海「、、ざあん、ざざああん」
楢崎「聞こえる?」
海「ざざあああん」
坂本「?」
しだいにはっきりと聞こえてくる
海「ざざざあああああん」
坂本「この音」
楢崎「波の音。」
坂本「!なんだこれ」
音楽が聞こえてくる。
照明が変化する。
楢崎「見える?」
坂本「、、、見える」
楢崎「遠い遠い空の下、
外国のどこか知らない海。
蒸気を挙げる異国の船に
甲板にあなた、となりに私。
広がる情景の中、ゆっくりと集結する幕末の英雄たちと龍馬の女たち
千葉さな子、岡田以蔵、寺田屋登勢、大浦慶、高杉晋作、沖田総司、土方歳三、楢崎龍
群唱「となりに私。
二人どこまでもつづく海原を
まっすぐ見据えて目指すは世界。
わが白波は水平線の向こう」
坂本「これは、、」
群唱「わが白波、わが血潮、わが涙、」
坂本「これはいつ見た、景色だ」
群唱「見えるか、この剣」
坂本「何か」
群唱「見えるか、この刃」
坂本「忘れて」
群唱「見えるか、誠」
坂本「おれは」
龍馬「坂本くん、」
坂本「、、え」
波「ざざーん」
龍馬「丸くとも一かどあれや人心、あまりまろきは ころびやすきぞ」
坂本「、、、」
波「ざざーん」
龍馬「おはん、なんのために生きちゅうがか?」
坂本「、、、、俺は、、、」
波「ざざあああああああああああん!!!」
と、雑踏に戻る
坂本「、、、白昼夢、、疲れてんだ、、、きっと」
雑踏に消えていこうとする。
ふと、立ち止まる。
ふりかえり、叫んでみる
坂本「俺の人生こんなもんか!!」
雑踏が固まる。
頭痛「ズキン」
頭痛「ズキン」
頭痛「ズキン」
頭痛「ズキン」
頭痛「ズキン」
坂本「、、、」
再び動き出す世界。
坂本「、、、」
また、しばらく、雑踏。
修行僧「またあったのう」
坂本「あ」
修行僧「手相を見てみるか」
坂本「なんで」
修行僧「運命を変えたけりゃあ、決断をすることだ」
坂本「、、、」
坂本、右手を見せる
修行僧「こりゃ、鬼の手相まで、もう一息」
鬼の角をふところから出し、手に刺す。
全員「グサッ!」
坂本「痛!」
修行僧「ふぉっふぉっふぉっふぉ!」
坂本「おい!何した!?」
修行僧、雑踏に消える
坂本「あ、血!物理的に手相変えやがった」
立ち尽くす
坂本「、、、、」
じっと手を見る。一筋の、血。

▪サムライヌード
雑踏音。
我慢できずにそのへんの男をつかまえる。
坂本「!」
通行人 A「うわ」
坂本「おまえ、俺を知らないかっ?」
通行人 A「、、あのー」
全員「『札幌ハムプロジェクト企画』」
通行人 A「えっとー」
全員「『幕末激愛浪漫譚』」
坂本「、、は」
通行人 A「、、、しらないっす」
坂本「、、スンマセン」
全員「『サムライヌード』」
頭痛「ズッキイイイイイイイン!」
坂本「があ!」
のけぞる坂本
音楽がかかる。チキチキチキチキ♪

▪池田屋1864
戸を叩く音
戸「ダンダンダンダン!」
近藤「ご用改めである!」
主人「お二階の方ああ!」
全員「1864年元治元年6月京都、池田屋!」
新撰組「新撰組だあああああ!」
浪士たち「出合え出合え出合え出合えええ!!」
藤堂平助さっそうと登場
藤堂「新撰組八番隊組頭!藤堂平助!」
藤堂、浪士の一人を袈裟掛けに斬る
刀「ずっばああああ」
藤堂「っしゃあ!いっちばん!」
近藤「平助!忠告だす!」
藤堂「なに?」
近藤「オラより目立つな」
藤堂「さきがけさきがけ!」
浪士2「近藤か!」
近藤「いかにもお」と、腹をつく
刀「ズン!!」
近藤「天然理心流免許皆伝!新撰組局長近藤勇だべえええ!」
浪士3「おりゃあああ!!」
近藤「粛正ええええ!!!」
刀「ずっばあああああああああ」
藤堂「日本一!!」
近藤「サインは後だべ」
藤堂「2階へ!!」
近藤「うむ(うなづく)」
抜く音「ぐばあ!」
二階、永倉新八が追い詰めている
永倉「ふふふっふふふっ」
浪士4「なんだよその構え!なんだよその構えー!」
永倉「龍飛剣という下段の構えから上へ敵の剣を擦り上げながら下へ切り落とす技です」
浪士4「言っちゃうのか!」
龍飛剣「ずりちゃん」擦り上げて、
永倉「二番隊組頭、神道無念流、永倉新八」
龍飛剣「ひゅん!」おろす。
刀「ずばああ!」
受け「がしいい!」
永倉「ああああ!!」
浪士4「死なばもろとも!」と身体で受けた刀をつかむ
永倉「あ!のやろお!」
浪士5、6が迫る
56「じりじり、じりじり」
永倉「やべやべやべ!」
そこに美剣士沖田総司、5、6の剣を打ち払い
刀「ちぇちぇいいん!!」
沖田「いち」
突き「ずむ!」
浪士5「!!貴様!」
浪士6「新撰組一番隊組頭、、」
浪士4「沖田総司」
沖田「に!さん!」
抜き突き抜き突き「ぐばずんぐばずんん!!」
永倉、3人を一気に振り斬る
永倉「こなくそおおう!!」
3連「ざばああああああああああああああ!!!」
藤堂「永倉さん持ってかれちゃって」
永倉「うるせえ!」
沖田「土方さんは?」
近藤登場
近藤「まだかかる」
藤堂「4人で大丈夫ですかね」
沖田「斬り合い、大好き!!」
永倉「沖田くんは鬼神だからな」
戦闘が続く。
戦闘1、2、3、4種類ほど。
近藤「全員、忠告だ」
永倉「なんすか!」
近藤「この芝居、キャストの都合で一人何役も掛け持ちするから」
浪人7「新撰組ーーーー!!」
斬る音「ずばん!」二人で斬る
近藤「気、抜くんでねぇ」
浪人7「ずずーん」
新撰組「はい!」
駆け抜ける新撰組

▪池田屋の外
全員「同じ刻、池田屋の外では」
死んでいた浪士、桂小五郎になる。
桂「桂小五郎です!新撰組が斬り込んでくるとはね」
夜鷹「長州の桂に死んでもらっちゃ困るって」
桂「おい夜鷹、誰のさしがねだ」
夜鷹「才谷梅太郎」
桂「どっかで聞いた名前だ」
消える音「しゅっ」
消える夜鷹
桂「松蔭先生、そろそろ時代が動きそうです」
稲光、ぴか!!
桂「へえ、応えた」
雷「ゴロゴロゴロゴロ」
桂「夕立かい」
雨「ザアアアアアアアア」
桂「お?増えたか犬ども」と物陰にかくれる
原田佐之助、島田魁、井上源三郎。
原田「ぶんぶん!ぶんぶん!
島田「土方隊とうちゃーーく!」
井上「井上源三郎です」
原田「原田佐之助です」
島田「島田魁です」
井上「島田魁君、土方さんは」
島田「とっくに斬り込みましたよ」
原田「あのヤクザ!」
島田「川島、葛山、蟻通、篠塚、林、三品!囲め囲めぇ!」
原田「こなくそおお!」
幾松という芸妓
桂「さてどうする逃げの小五郎さん」
幾松「旦さん」
桂「幾松かい」
幾松「ここいらで困ってはるて」
桂「あの夜鷹か」
幾松「きれいな顔立ちの浪人さん」
桂「キレイな浪人なんてこの世に居るかね」
幾松「坂本はんて。お知り合いどすか?」
桂「、、坂本」
幾松「へぇ坂本龍馬」
新撰組
井上「いたあ!桂だあああ!!」
桂「しまった!」
原田「新撰組十番隊組頭原田佐之介の、槍ぃ!!」
幾松「ひぃ!!」
桂「幾松!」
井上「六番隊組頭努力家タイプ!井上源三郎の努力!
桂「なんじゃそりゃ!
島田「おおりゃあ!そのへんの岩!新撰組二番組伍長島田魁!の、怪力!」
桂「くそ、実は神道無念流免許皆伝!今日は逃げない桂小五郎!」
3対2の攻防。幾松が島田につかまり、戦闘不能
島田「ふっへっへっへ!
桂「ちくしょうめ!」
夜鷹「まったく手のかかる」
桂「夜鷹!」
夜鷹「べりべりべりべり!(正体をあらわした)」
新撰組「お、おまえは!」
夜鷹、寺田屋お登勢に早変わりしたらしい
登勢「京都伏見船宿寺田屋6代目女将!寺田屋お登勢」
新選組「このばばー!」
登勢「の、財力!」
と小判をまく
小判「ちゃりんちゃりーん」
新撰組「小判じゃー♪」
桂「才谷ってのは龍馬だろう」
登勢「早く逃げな」
桂「お前、龍馬のなんなんだ」
登勢「さあね」
寺田屋お登勢、退場
幾松「ホレ抜いとるんやわ、あのお登勢はん」
桂「女ってのは得体がしれん」
幾松「なんとでも」
幾松、桂、退場
小判を拾っている新撰組
新撰組「わぁあいわあい」
土方、通り過ぎる
土方「ビュウウウウウウン!!!」
原田「何か通ったか」
井上「鬼の副長」
3人「土方歳三!」
雷「ピッカアア!!ゴロオロロオオオオオオオオオオ」

▪長崎出島
全員「同じ時、長崎出島トーマスブレークグラバー邸」
トーマス・ブレーク・グラバー邸。
グラバー「アイム、グラバー!Ladies & Gentlmen!! This is prototype of "IRON
DUKE"!!」
アイアン「ポオオオ!!シュ!シュ!シュ!プッシューー!」
黒煙をあげ、登場する蒸気機関車、アイアンデューク。
(もちろん人間が連なって表現される)
アイアンデュークに乗って登場する長崎の女商人・大浦慶
大浦「スゴい」
グラバー「Surprise! The great "IRON DUKE" make Japanese excited !!」
全員「日本語翻訳」
グラバー「せやで!この時代に蒸気機関車が長崎にあるとは驚き桃の木さんしょの木や
で!どないや!女商人・大浦慶ちゃん!」
大浦「黒くて、カタくて、立派」
グラバー「(興奮)おおきに!」
蒸気「(喜び)シュッポーーーーーー!!」
大浦「黒船の次は、陸蒸気(おかじょうき)とはね」
グラバー「世界は動いてまんがな」
倉庫の陰から声がする
手下1「Hey!!come'n!」
ふたり「?」
全員「日本語翻訳」
手下1「こっちゃこんかいワレ!」
グラバーの手下1、千葉さな子(男装中)を連れてくる。
グラバー「アイアンデューク隠さんかい!」
アイアンデューク「しゅしゅしゅしゅ」急いで消える
手下2「Freeze!」
全員「日本語翻訳」
手下2「動いたらあかん!」
手下2後ずさりして、写真師・上野彦馬を誘導してくる
手下1「こいつキャメラもってんねん」
手下2「ミニエー式エンフィールド銃おみまいしたろか?」
彦馬の頭に銃口をつきつける
(エンフィールド銃全長1232mm銃身990mm)
彦馬「私は写真師の上野彦馬ともうしまして!龍馬はんに頼まれてその」
大浦「え?」
グラバー「企業秘密やねん。かんにんや」
彦馬「おたすけ!おたすけええ!」
さな子「失敬」
ヒキガネを引こうとしたその時。
千葉さな子、動く。
刀「ヒュンガキン、スタタ、ビタアアアアア!」
手下2の銃を払い、手下1の喉元につきつける。
グラバー「Brilliant!(すばらしい)」
さな子「北辰一刀流・小太刀免許皆伝、土佐脱藩浪士」
と懐から名刺を渡す。
手下2「ニッポン人が、、名刺やて?」
グラバー「坂本龍馬」
さな子「怪しいもんじゃあ、ないきに」
手下1「ニッポン男児!」
グラバー「Oh!サムライ!」
手下2「O-TO-KO-GI!」
刀をおさめる。
さな子「無礼をお許しつかーさい」
と握手をグラバーにもとめる
グラバー「hey!」
大浦、割ってはいる
大浦「初めまして(握手をだす)」
グラバー「What?」
さな子、手をとるか躊躇している
大浦、手をとる、強くにぎる。
大浦「慶ともうします。坂本龍馬さま」
坂本「、、よろしゅう、たのむぜよ」
大浦「、、こちらこそ」
手下12グラバー彦馬「what??」
大浦慶、千葉さな子、にらみあう
外で騒ぎが聞こえる
彦馬「?」
手下3「Oh,my god!!」
手下4「Jesus Christ!」
手下5「mamma mia!!」
彦馬「なんだか、外が騒がしいな」
手下6「demônio!(ポルトガル)」
手下7「démon!(フランス)」
手下3「demone!(イタリア)
手下4「It's Demon!(英語)」
全員「日本語翻訳!」
手下34567「鬼が、出たぞおおおおおおおお!!!」
音楽があがり、皆、走りさる。

▪池田屋、大階段
全員「再び!京都池田屋!大階段!」
一人の剣士が大勢の浪士を階下からにじりよる。
圧倒され、少しづつ上っていく浪士たち。
土方「京の都を丸焼きにする過激派の親分ってのは、一体どこのどいつだ」
浪士6「ううああ!!」
刀「ざん!!!!」
土方「お前か?」
浪士6「う、ううああああ!」と階段を落ちていく。
階段「がっ、ごっ、がき、どど(つづく)」
刀「ざん!(浪人7)」
土方「おまえか?」
階段「がっ、ごっ(つづく)」
刀「ざん!」
土方「おまえか?(浪人8)」
階段「がっ(つづく)」
刀「ざばざざん!(浪人9、10、11)」
土方「おまえかおまえかあ!!」
吉田「長州藩士!吉田稔麿だあ!」
土方「おまえかあ!」
刀「ずっっばああああ」
稔麿「新撰組(最後の力)」
沖田助太刀
助太刀「ずばん!」
浪士3人「がが、ごご、(つづく)」
沖田「土方さん」
土方「おい」
土方、沖田に一太刀、
沖田「!!」沖田うける
受け「きいいいいいん」
静寂のなか、おちてゆく3人の浪士。
土方「てめえ、いらんことすんな」
階段「(斬られた3人、階下に到着)どさあああ」
新撰組、集合
藤堂「また喧嘩してるんすか」
刀離れる音「チャッ」ふたり、離れる。
近藤「おつかれーーっす!」
藤堂「これで新撰組も天下に轟きますね」
近藤「せーの、大、成、功!」
土方「失敗だろが!」
近藤「トシィーー」
土方「この企みの首謀者が捕まっていねえ」
音楽消えていく。雨がふっている。
雨「サアアアアアアアアアアア」
全員、刀をおさめる。
土方「報告しろ」
永倉「死亡13名捕縛20名」
近藤「あっぱれだべ!」
土方「出身は」
永倉「肥後、長州、土佐、伊予」
土方「つまり」
永倉「バラバラです」
土方「くそ!」
近藤「なんで素直によろこばねんだ?」
原田、井上、島田
井上「九州、四国、中国をまとめてる首謀者が居るってことです」
原田「やっぱウワサのあいつか?」
島田「江戸に現れたかと思えば京、京かと思えば長崎、長崎かと思えば下関」
井上「あるときは大浜涛次郎」
藤堂「あるときは高坂龍次郎」
原田「あるときは西郷伊三郎」
島田「あるときは才谷梅太郎」
近藤「だれだそれ」
永倉「時代の寵児か革命のサムライか」
沖田「土佐脱藩浪士、坂本龍馬、、」
土方「みとめねえ」
雨「サアアアアアアアアアアア」
土方「なにが尊王攘夷だ!幕府にさからう田舎ヤクザがよ!」
近藤「オラたちも武蔵野の田舎の人斬り集団だべ?」
土方「なまるな!」
近藤「ぬす」
土方「俺の出世はじゃまさせねえ」
沖田「土方さん」
土方「おれはもうサムライだ。手向かう奴は、容赦なく切り捨てる」
雨「サアアアアアアアアアアア」
沖田「僕が斬りますよ全部」
土方以外、沖田をみる。
沖田「僕が斬ります、土方さん」
土方「、、、」
土方、退場する。皆、土方の行方をみる。
沖田「、、、、、」
雨「サアアアアアアアアアアア」
井上「さ、後片付けだ」
近藤と沖田を残し退場。
沖田「、、、土方さん」
近藤「喧嘩すんなよー」
沖田「喧嘩じゃないです。」
近藤「じゃあ何だべ」
沖田「土方さん、女みたいなとこあるから」
近藤「ふーん」
沖田「あれで心配してんです」
近藤「総司、胸は痛まんのか」
沖田「斬りあいしてると、痛まないんですよね」
近藤「ばか言うでねぇ。」
沖田「僕は生き死にのビリビリしてるとこに居たほうがいいんだ、、う」
頭痛「ズッキーーーん!」
うずくまる。
近藤「言ったそばから」
沖田「なんだか、最近、頭がいたくて」
近藤「なぬ?頭痛が痛い」
頭痛「ズッキーーーん!」
沖田「いたたた」
近藤「頭痛が痛い!」
頭痛「ズッキーーーん!」
沖田「もうだいじょうぶです!だいじょうぶ!もう行ってください」
近藤「ふとんがぁ、ふっとんだ!」
沖田「、、おさまった」
近藤「ひゃほう」
雨「さあああああああああああああああ」
近藤「最近みんな人が変わったようだもな」
雨音
雨「さあああああああああああああああ」
沖田「、、、く」
雨音に小さくまじりだす角が頭をつきやぶる音
角「めりめり、めりめりめり」
沖田「!!!!」
近藤「なんの音だこれ?」
角「めりめりめりめり!!」
沖田「!!!!」
激痛に卒倒する沖田。
近藤「総司!」
雨「ザアアアアアアアアアア」


▪長州、野山獄
全員「京から400キロ、長州、野山獄。」
高杉晋作、酒を飲み琴をひいている。
高杉「先生を 慕ふて漸く 野山獄」
琴「てけてんてけてんてけてんてんてん」
高杉「こんばんは、高杉晋作です。
声がする
桂「こんばんわ、桂小五郎です」
声の方には桂小五郎
高杉「桂さん!」
桂「池田屋でやられたと聞いたろ」
高杉「信じませんき」
桂「ふてくされてんだろうと思ってな」
高杉「稔麿は?」
桂「(首をふる)」
高杉「、、新撰組めら」
と、徳利を傾ける
桂「わが長州が、京に攻め入る」
高杉「、、朝敵になるつもりですか」
桂「攘夷過激派約二千。今度こそ京は火の海になる」
高杉「戦争ですか」
桂「みな、死ぬ覚悟だ」
高杉、猪口をなげる
猪口「ひゅん」
壁「ぱりん!」
桂「、、、」
しずかに、琴をひく
琴「てけてん、てん、てけてん、てんてん」
琴が止まる
高杉「新撰組などわしが出れば一ひねりじゃ」
桂「、、」
高杉「男子は天下の奇をなすべし」
桂「高杉」
高杉「松陰先生のお言葉です。桂さんの力で今、わしを出してください!わしは労咳です!
胸の病いです!」
桂「!!」
高杉「命が持つ気がせんのです!」
遠雷「、ゴロゴロゴロロロ」
桂、傘をさし。
桂「、、、」
雨「サアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
桂「、、、、高杉、養生せいよ」
雨「サアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
桂、立ち去る
高杉「ゲホオ!!」
喀血
高杉「動けば雷電の如く発すれば風雨の如し」
高杉、琴をぶちこわす
高杉「わしの!!!」
琴「バキ!!!ビイイン」
高杉「どこがああ!」
琴「ガキィ!!バキイイイ!!」
高杉「雷電じゃあああああああ!!」
雨「サアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
高杉「この命がもちっと持つなら!わしゃあ!鬼にでもなったる!」
雨「ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
人影。角かくしの、布をかぶっている。
高杉「だれじゃ」
吉田稔麿「、、、、、」
雨「サアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
稔麿、布をとる
吉田稔麿「ウウウウウウウウウ」
高杉「、、、、稔麿か?おまえ、死んだんじゃ」
吉田稔麿「ウウウウウウウウウ」
高杉「なんじゃ、その、頭」
吉田稔麿、右の角に手を持って行き、
吉田稔麿「ああ!!!(折る)」
角「ボキイイイイ!!!」
高杉「え」
吉田稔麿、その角を高杉に刺す、音もなくささる角
雨「サアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
その角をつかみ、向かっていく高杉。
雷「ピカアアアアアアアア、ゴロロロロロオ」

▪鬼について
全員「江戸、松本良順診療所」
松本良順、楢崎龍に肩をもんでもらっている
松本「松本良順です」
楢崎「女は父に従い、結婚して夫に従い、老いて息子に従うんです。女の一生ってそれだ
けかしら」
松本「ふぉっふぉっふぉっふぉ」
楢崎「男の人がうらやましい」
良順、オルゴールをどこかから出す
楢崎「なんですこれ」
松本「オルゴ・おルという」
楢崎「おるご、おる?」
松本「オランダから来たもんじゃ。ねじをまいて」
ねじ「じーこじーこ」
楢崎「はい」
松本「あける」
そーっとあける。オルゴールから、バッハの『G線上のアリア』がきこえてくる
松本「これはちりちりのもふもふの髪のドイツ人が作った曲だ」
楢崎「きれいな音」
松本「おまえさんにやろう」
楢崎「え?」
松本「これを開いて目をつぶれば大海原を渡る風景が広がるかもしれんぞ」
楢崎「もらえません!」
松本「年寄りの言うことは聞くもんじゃ」
楢崎「、、、、」
松本「愚痴を減らして、前向きに生きることだ」
楢崎「いつか、外国に行ける日がくるかしら」
松本「くるかもしれんのう」

楢崎「外国のどこか知らない海、蒸気をあげる異国の船に。甲板にあなた、となりに私。」
松本「あの男はやめることじゃ」
楢崎「、、」
ゆっくりとふたを閉める。オルゴールの音が消える。
松本「あいつは、まともな人間じゃない。おりょうさんのもとを、離れる」
楢崎「女たらしだし」
松本「それもある」
勝海舟。
戸「ぱーん!(開)」
楢崎「何の音です?」
海舟「戸をあけた」
二人「あー」
海舟「(しめる)」
戸「ぱーん!(閉)」
海舟「いよう、じゃまするぜ」
松本「こりゃ珍しい人が来た。勝海舟さんだよ」
楢崎「まあ!咸臨丸でアメリカへ渡られたとか!」
海舟「船酔いでほとんど寝てたがね」
楢崎「あ、お茶!ただいま」
海舟「お気遣いなく」
楢崎「あ!良順先生!(オルゴール)ありがとう!」
海舟「助手かい」
松本「医者仲間の娘でね、身寄りがなくなってな」
海舟「いい娘だ」
海舟「長崎の鬼の噂は聞いてるかい」
松本「ええ、若い女を襲うとか、なんとか」
海舟「長州にも出た」
松本「本当ですか」
海舟「やられたのは長州奇兵隊の高杉晋作だ」
松本「なんですと」
海舟「牢の冊はめちゃめちゃに壊され、中に残ったのは血痕。高杉の死体もねえ」
松本「、、、喰われたんですか」
海舟「同じ事が至る所で起こっている。しかもじわじわと東に進んできてやがる」
松本「鬼はどこから湧いて出るんです」
海舟「京都にくるのも時間の問題だ。箱根を越えりゃ江戸にくる。それだけは防がなきゃ
なるめえ」
松本「流行り病いのように言いますな」
風呂敷に包んだもの
海舟「これを調べてくれねえか」
松本「風呂敷、小刀ですか?」
海舟「まぁ、診てのお楽しみだが、
松本、手を出す
海舟「直接さわるな」
松本「?」
海舟「俺の読みだ」
受け取る。
海舟「なんかわかったら、教えてくんな」
松本「あの男はしっかりやってますか」
海舟「どうやらね。各地に女を作って派手にやっているようだ」
松本「まったくなんであんな男がモテるんだ」
海舟「ちげえねえ」
海舟退場する
松本「、、さて」
そっと台に置き。手袋をはめ。
ふろしきをつまみ。
角の声
松本「鬼が出るか、蛇が出るか」
沖田
沖田「鬼?」
松本「気配を消してよらんでくださらんかのう」
沖田「一日中寝てるってつらいもんですよ」
お茶
楢崎「あら?勝海舟先生は?」
松本「忙しい人でな」
楢崎「アメリカのお話をききたかったのに」
沖田「開国派の幕臣、勝海舟ですか。京なら問答無用でぶった切るとこだ」
松本「沖田くん」
楢崎「江戸ではただの病人です」
沖田「きびしいなぁ」
楢崎「先生、お茶。病人はおふとんに戻って」
楢崎、沖田を押していく
松本、再び、風呂敷を眺め
茶「ずずずず」
松本「、、、ビリビリくるのう、龍馬」

▪長崎大浦彦馬写真館
全員「長崎、彦馬撮影局」
千葉さな子、有名な龍馬の写真のように立っている
彦馬「うーん体がぶれるなぁ。なにか台とかないかなぁ」
と探す。
さな子「金も時間も無いんじゃがのう」
大浦「お金は長崎女商人大浦慶が払います」
彦馬「この上野彦馬!一世一代の写真術をごらんにいれます!」
彦馬、いったん退場
大浦「ふところに手を入れた方がよくありません?龍馬さま」
さな子「なぜじゃ」
大浦「せめて男らしくうつった方が」
さな子「わ、わしゃ男の中の男じゃ!」
大浦「男の装いがキマっているんですから顔を泥で汚して」
さな子「え」
大浦「ふところに手を入れたほうが女性的なふくらみをごまかせるんじゃなくって?」
さな子「ギクリ(と言う)」
大浦「あたしの目は節穴じゃござんせんから」
さな子「!!」
さな子、逃げようとするが、大浦、銃を構える。
さな子「!」
大浦「グラバー邸で見殺しにしても良かったんだよ」
さな子「その銃、龍馬様の、スミス&ウェッソン、、」
大浦「龍馬のは32口径。これは22口径」
さな子「え?」
大浦「同じく高杉様からいただきました。夫婦茶碗のようでしょう?」
さな子「どういうご関係なのです」
大浦「一度ならずともお会いしたことがあるよ」
さな子「、、、(お、大人!)」
大浦「どこの小娘?」
さな子「江戸桶町の千葉さな子と申します」
大浦「よくない男にホレたもんだね」
さな子「私は、新しい日本のために働いているだけです」
大浦「そういう事にしとこうか」
さな子「なぜ偽物の写真なんて?」
大浦「ホレた女の弱みかねぇ」
さな子「え?」
大浦「正体がわからない方が、あの人が動きやすいからさ」
さな子「あなたも」
大浦「外国と対等な商売をする日本にするためってことにしといてよ」
さな子「そういう事にしときましょうか」
大浦「あんた、あんな間抜けのどこにほれたの」
さな子「そっちこそ、あんな優柔不断のどこがいんですか?」
大浦「昨日はああ言ってたと思ったら、次の日にはまるで違うことを言ったりする」
さな子「ぼやーっとしてて、とりとめがなくて、、」
大浦「なんで、あんな男にホレたんだろ」
波の音「ざざーーん、、ざざーーーーん」
さな子「、、グラバー商会、信用できるんでしょうか」
大浦「アメリカじゃ、死の商人ってよばれてる」
さな子「大量の銃を輸入してるってうわさは?」
大浦「本当だよ」
彦馬、もどってくる
彦馬「あった!四角いちょうどいい感じの台」
台「え?」
彦馬「よいしょ、よいしょ」
と、役者一人をいけにえにする。
さな子「なんですかこの、、」
彦馬「台です」
さな子「台?」
台「はい」
彦馬「よっかかってぶれないようにするための台です」
台になる、結構よっかかる。
彦馬「よっかかって。写真ぶれないためです!もっと!龍馬はん!ほら!」
さな子「こう?」
台「○○キロ」
さな子「(なぐる)」
彦馬「では撮ります!はい、すとーーぷ!さん、にい、はい!」
慌てて、有名な写真目線。写真になる
台「説明しよう。これが彦馬撮影局で撮影された、坂本龍馬の肖像写真である。懐に隠し
た右手には、ピストルが握られていたと
も、万国公法が入っていたとも言われている」
大浦「へー」
台&彦馬「おっぱい」
さな子&大浦「(なぐる)」
写真「ガシャン!!」

▪隅田川の花火、坂本龍馬登場
花火「ひゅうううううん、どぱーーん」
人ごみ「かぎやー!」「たまやー!」「おいじゃまだ!」「がやがやがやがやがや」「よく見
えん」
全員「江戸、隅田川、屋形船。坂本龍馬登場!どっぱあああああん」
隅田川の屋形船の中に、坂本龍馬、勝海舟、岡田以蔵がいる
龍馬「んーー」
海舟「龍馬」
龍馬「んあー、はあ(ぼんやり)」
海舟「なんというか」
龍馬「うーーん(のび)」
海舟「いつにもまして」
龍馬「うふうううんんんん(のび)」
海舟「おっとりしとるのう」
龍馬「んん」
海舟「こんなもんか?以蔵」
以蔵「ま、こんなもんじゃのう」
龍馬「んー屋形船ってのもおつなもんじゃ」
海舟「よく撮れてるじゃねえかこの写真」
龍馬「んー、はあ」
海舟「どう見てもお前じゃねえが」
以蔵「どら(写真を見る)」
海舟「最近じゃ坂本龍馬は何人もいるんじゃないかと評判だぜ」
龍馬「ああーわしもー、ほんものだかどうだか」
海舟「また奇妙なことを」
花火「ひゅうううううん、どぱーーん」
以蔵「、、こりゃ、さな子はんじゃなかか」
龍馬「んー、まぁ」
海舟「女か。いつか刺されるぜよ、龍馬」
花火「ひゅうううううん、どぱーーん」
龍馬「隅田川 水面にうつる 江戸の、、、んー、犬」
犬がくる
犬「わん!わんわん!」
海舟、やたらビビる。逃げ回る。犬、追い回す。
海舟「どうして犬が船に!」
龍馬「西郷どんが預かってくれと」
海舟「あのデブ専!」
犬「ガルルルガルルル」
以蔵「デブ専?」
海舟「以蔵!斬れ!」
以蔵「なんでもかんでも斬るのはよくねえと言ったの勝先生じゃ」
海舟「犬は別!昔、玉袋を食われた!」
犬「ガウウウウルウルッルッッルル」
龍馬「オス?」
以蔵「チンチン」
犬「うわん!(ちんちん)」
二人「メスだ」
犬「くんくーん」
海舟「龍馬!スミス&ウェッソン!」
龍馬「これ?」龍馬、銃を出す
犬「がる?」
以蔵「いいんかのう、西郷の犬」
龍馬「気にせんじゃろ」
犬「いやいやいやいや」
龍馬「ちぇすと!」
銃声「ばきゅうううううん!!!」
以蔵「撃ちよった!」
犬「こっらああ!!」
海舟「生きてる!」
犬「があああ!」
海舟「わあああ!なぜこっちに」
隅田川「どっぼーーーーーん!」
龍馬「落ちた」
以蔵「落ちたのう」
龍馬「死んだかの」
以蔵「どうかのう」
隅田川「じゃば!じゃばじゃば!」
海舟「ぷは!」
龍馬「生きとった」
海舟「龍馬!」
犬「わん!」
海舟「(犬かき)」
隅田川「じゃぶじゃぶじゃぶ」
以蔵「勝海舟が犬かきとはのう」
龍馬「えらいのに」
海舟「きもちいー!」
隅田川「じゃぶじゃぶじゃぶ」
以蔵「もう30も超えとろうに」
海舟「じゃあ、帰るわ」
以蔵「泳いでか?!」
隅田川「じゃぶじゃぶじゃぶ」
海舟「龍馬、これからは右手をふところ突っ込んで、いつでもピストール抜けるようにし
ときな。幕府が倒れるとなりゃ、誰が何を
考えて、いつ修羅と化すやもしれん。」
以蔵「修羅?」
龍馬「鬼のことじゃ」
以蔵「先生は幕府の人間なのに、幕府を捨てて平気なんじゃろうか」
海舟「行いは己のもの。批判は他人のもの。知ったことではない」
花火「ひゅーーーーーん!どっっぱあああああああううう!」
海舟「新しい日本で会おう(ダイブ)」
隅田川「ジャッパーン!」
龍馬「おー文明開化の音がするぜよ!」
海舟「面かぶりクロール!」
隅田川「ジャパン!ジャパン!JAPAN!JAPAN!」
以蔵「勝海舟!江戸城まで泳ぐ!」
海舟「龍馬ーー!」
龍馬「ん?
隅田川「JAPAN!JAPAN!」
海舟「一つ忠告だ!」
龍馬「なんじゃい?」
海舟「グラバーは外国の鬼かもしれねえ」
龍馬「鬼」
海舟「気をつけな(ダイブ)」
隅田川「ジャッパーン!」
海舟「キック&ターん!」
隅田川「JAPAN!JAPAN!」
犬「わん!」犬、飛び込む
隅田川「どっぼーん!」
海舟「なんでついてくるんじゃ!」
犬「わんわん!」
海舟「バータふらいーー」
隅田川「バタバタバタジャパン!ジャパン!」
海舟、隅田川へ消えていく。
龍馬「トーマス・ブレーク・グラバー、、」
以蔵「いいんかのう、犬」
龍馬「あ、もう一枚撮らしたんじゃ」
ふところから写真を出す
龍馬「『あいあんでゅーく号』」
以蔵「またけったいな蒸気船じゃのう」
龍馬「舟じゃなか。そりゃ陸を走る、蒸気機関車という」
以蔵「陸を走らせてどうすんじゃ」
龍馬「早い。長崎から江戸まで一日じゃ」
以蔵「そんなに急いで何を運ぶんじゃ」
龍馬「人間かのう」
以蔵「あほらしい」
龍馬「日本はまたちぢまるぜよ」
以蔵「ちぢんだ先は、どうなるんじゃ」
龍馬「世界の日本になる」
以蔵「その先は」
龍馬「、、さあのう」
花火「ひゅーーーーーんどっおぱああああああん」
龍馬「これ(刀)持っとかんか」
以蔵「、、、こりゃ、、」
龍馬「『肥前忠広』」
以蔵「お栄の姉やんから貰ろた、形見じゃろ」
龍馬「わしは使わん」
以蔵「使わんのか」
龍馬「もう刀は抜かん」
以蔵「サムライになるんじゃなかったか」
龍馬「気が変わった」
以蔵、備前忠弘を受け取る。
以蔵「(抜く)、、、、きれいじゃのう」
龍馬「見えるか、その刃、もう何人か、血をすっとる」
花火「ひゅーーーん、どっばーーん」
以蔵「龍馬」
龍馬「なんじゃ」
以蔵「龍馬は日本を洗濯しゆーんじゃ。体は、いくつあっても足りんのはわかる」
龍馬「うん」
以蔵「じゃけ、おなごを男装させてまで偵察に送り込むっちゅーんはどうかのう」
龍馬「さな子か、ありゃ、ええおなごになった」
以蔵「(唇をかみしめる)」
龍馬「なんじゃい」
以蔵「もう、昔の女かい」
花火「ひゅーーーーん、ばあああああん」
龍馬「まー、あれで北辰一刀流小太刀の免許皆伝じゃ。そのへんの男には負けん。安心せ
い」
以蔵「そげんこつ言うとうんじゃなか」
龍馬「どげんこついっとるんじゃ」
以蔵「、、、この、くそが」
頭痛「ズッキーーーン!」
以蔵「うっ」
以蔵、のけぞり、崩れ落ちる。
龍馬「どうした」
以蔵「なんでもないわい!!!!」
頭痛「ズッキーーーン!」
以蔵、頭の二点を押さえる
以蔵「行くわい。池田屋で、亀弥太が殺られたち」
龍馬「少し、休まんか」
以蔵「新撰組を斬っちゃるわい!!」
龍馬「亀弥太の死は痛かったがのう、過激派もこれで少しは用心するじゃろ、京に火を放
つなんてバカげとる」
以蔵「ああああ!!(キレる)」
龍馬「どげんした」
以蔵「いい加減にせえ!」
備前忠弘を、抜く。構えるというよりは、握りしめる
以蔵「いつでも高見の見物じゃのう?!自分の手を汚すことをせん!亀弥太は仲間じゃ!」
龍馬「わかっちょる。じゃが日本にはまず軍艦が必要でな、」
以蔵「おはんは亀弥太が斬られたこつをなんとも思っとらん!」
龍馬「大事に小事じゃ」
以蔵「亀弥太を小事ちゅうがか!!さな子はんもその程度か!」
龍馬「んー」
以蔵「何様じゃ!!人の命、船の積み荷とでも思うちょるが!」
龍馬「以蔵」
以蔵「龍馬は、鬼じゃ!」
花火「ひゅーーーーーーーーーん!どぱーーーん!」
以蔵「自分にホレとるおなごを使わんでもよかろうち!
さな子はん、龍馬に貰われる気で、尽くしとるんがわからんか!
わしゃあ、さな子はんの気持ち想うたら!
おはんみたいな人でなし、ぶっ殺したろかと思うんじゃ!」
以蔵、龍馬に刀を突きつける
龍馬「さな子に、ほれとったか」
以蔵「、、、、殺すぞ、龍馬」
船が着く
船「ガタン、、ギィ、ギィ」
船頭「はこざきー、はこざきー」
刀を収め
龍馬「以蔵」
以蔵「(きびすを返す)じゃあのお」
龍馬「聞いてほしいことがあるんじゃ」
以蔵「次生きとったらの」
以蔵、行く
江戸の花火客の人ごみ。
龍馬「聞いてほしいことが、、、、あるんじゃが、、」
雑踏に、埋もれていく坂本龍馬
龍馬「わしが鬼か」
さな子の写真を眺める。
龍馬「鬼が、女に甘えるんかのう」
心臓をおさえる。
龍馬「うう」
心臓「ドックン」
うずくまる
龍馬「おかしな夢をみる」
心臓「ドックン」
龍馬「夜中に突然、胸の音で目がさめる」
心臓「ドックン」
龍馬「腹ん中で何かが育って、食い破って出てくるんじゃ」
心臓「ドックン」
龍馬「自分が何なのかわからんようになる」
高まる心音、雑踏、スローモーションとなる。
心音「ドクドクドクドクドクドクドクドク」
龍馬「く、、わしゃぁ、、、」
心音「ドクドクドクドクドクドクドクドクドク」
修行僧が現れる
龍馬「おまえ」
心音「ドクドクドクドクドクドクドクドク」
龍馬「?
修行僧、龍馬の左手のひらをだし。
龍馬「なにを!」
修行僧「!」
修行僧、鬼の角を手に刺し、ぐいとひっかく
早鐘のように鳴る心臓音、雑踏がスピードを増す
龍馬「ぐあああああああああ!」
雑踏の渦に呑まれる。

▪新撰組屯所
たくさんの浪士たち、竹刀で同時に試合開始。
浪士「おおおおおおお!!」
竹刀「パン!パシン!バン」
全員「京都壬生、新撰組屯所」
隊士募集中の新撰組
浪士「ヤア!」「トオ!」「アアア!」「おりゃあああ!」
竹刀「パン!パシン!バン」
浪士「いてて」「まいった!」「こうさん!」「そこまで」
なんだか気の抜けたチャンバラである
近藤、縁側でぼんやり、空をみている。
永倉、藤堂、汗をふきふき登場
永倉「お、ツバメ」
ツバメ「ピチチ!ピチチチチ」
永倉、藤堂、近藤、目でツバメの行く先をみる、江戸の方角
茶をすする
茶「ずずずず」
近藤「総司は良順先生のとこついたべか」
永倉「あの船ならついてるでしょう」
藤堂「いっぺん乗りたいなぁ」
原田
原田「紀州藩の船か」
藤堂「エゲレスの最新型ですよ?」
永倉「グラバーに手付けを払ったらしいです」
近藤「毛唐から船を買う時代か」
永倉「グラバー商会、銃の輸入も初めたらしいです」
藤堂「銃!かっこいいな」
近藤「平助」
藤堂「はい?」
近藤「サムライから刀取ったら何よ?」
藤堂「、、、」
原田「(平助をこずく)」
永倉「ま、若ものはあこがれますて」
近藤「あこがれんな」
また、ツバメが行く
ツバメ「ピチチ、ピチチチチ」
4人、目で追う。お茶を手にし、のむ。
4人茶「ずずずず」
近藤「日本はこのまま、外国の手先になるんかの」
原田「土方さんはどこです?」
永倉「そういや最近突然いなくなりますね」
原田「女でもいらはるんかいの」
永倉「ってなにいうてはりますのっ」
藤堂「土方はんどすえっ」
近藤「なにそれ」
原田「京都弁つっこみです」
永倉藤堂「練習中です」
近藤「はっはっはっは」
4人茶「ずずずず」
茶を飲む
四人「はー」
土方、風のように通り過ぎる
鬼足「ビュウウウッッン!!」
近藤藤堂原田永倉「おお、いい風ぇ♪」
4人茶「ずずずず」
出てくる
土方「、、、、、、」
近藤「おお、とし」
土方「、、、ああ、局長」
近藤「どこいってたんだ」
土方「ええと少し、散歩に」
近藤「ずいぶん遠くまで行ったんじゃないか」
土方「そう」
永倉「どちらまで?」
土方「長崎」
原田「そら遠くまでいかはりましたな、」
永倉「ってなにいうてはりますのっ」
藤堂「どんだけ散歩してはんねんっ」
近藤「はっはっっはっっはっっはっは!」
土方「そう、疲れた、寝る」
土方、退場する
藤堂「めずらしい」
永倉「冗談を言った
原田「土方さん」
藤堂「めずらしい」
近藤「頭にてぬぐいなんて巻いて」
永倉「おや」
土方の行った後に、なにかある。
永倉「血だぞ」
▪長崎
「同じころ、長崎出島、トーマスブレークグラバー邸」
グラバー登場
グラバー「I am グラバー」
全員「日本語翻訳」
グラバー「サムライも滅びる運命やろか」
手下2「鉄砲にはかないませんさかい」
グラバー「サムライに鉄砲持たしたらどうなんねん」
手下1「うまく狙いよるんやろか」
門の外
大浦「ミスターグラバー!助けてください!お願いします」
グラバー「なんや急に!」
大浦と彦馬、さなこをかかえている。
彦馬「しっかりしてつかさい!龍馬さん!」
さな子「うううう」
手下1「(銃を構え)鍵あけえ!」
手下3として寺田屋お登勢がくる
手下3「いえすさー(変な格好)」
手下2、3「がっちゃこん!」
なだれこんでくる。ケガをしたさなこ。
グラバー「いったいどないしたん、な」
手下1と2「なんじゃこりゃあああ!!」
グラバー「血まみれやないか!坂本龍馬はん!」
手下1「何があったんや」
彦馬「辻斬りや」
手下2「誰や!」
さな子「うううう」
大浦「一陣の風が吹いたんです」
彦馬「ものすごい熱風で」
大浦「声がして」
手下1「なんて?」
大浦「『坂本龍馬か』って」
彦馬「砂埃の中、龍馬はん、倒れとったんです」
手下2「えらい血や」
グラバー「誰やそいつ」
彦馬「また、風のようにいなくなりました」
さなこ「ううう、、」
手下1「これはまた、深いキズや」
手下2「袈裟懸けにがっつりやん」
手下3「OHまいがっ(変な格好)」
彦馬「龍馬はん!しっかり!男でっしゃろ!」
大浦「男なもんか!よく見ろ!」
胸をはだけさすマイム
手下1と2と彦馬「え?」
グラバー「、、、どういうこっちゃこれは」
大浦「坂本龍馬じゃありません」
グラバー「、、、」
大浦「ホれた男の身代わりに、斬られた、馬鹿な女です。」
彦馬「身代わり?」
グラバー「、、、」
大浦「ミスターグラバー!
東洋の医学ではもうどうにもならないんです!
この大浦慶、一生をかけての御願いです!
どうか、西洋医学で助けてあげてください!」
グラバー「坂本龍馬は自分の女を身代わりにしたと、それでよろしいか」
大浦「え?」
グラバー、立ちあがる。
グラバー「買いかぶりすぎたようです。坂本龍馬を」
大浦「ちょっとまって
グラバー「死の商人はどんな国とどんな黒い商売をするのも辞さない。
しかし、犯してはならないルールがあります。私は人間だけは売りません。
どうやら、坂本龍馬は自分を愛するものを売ってまで生き残りたい種類の人間のようだ。
我々は、未開人とビジネスをしようとは思わない。」
大浦「待ってください!さな子は!」
グラバー「お気の毒だが」
グラバー、退場する
彦馬「まてえ!!!」
手下1、撃つ
銃声「ばきゅううううううん!」
大浦「彦馬!!」
彦馬。肩を押さえる。
手下2「かんにんや」
手下1「今度は外さへんで」
手下2「わてら猿には同情できまへんねん」
手下1「命があるうちにお帰りー」
手下3「、、、」
1、2退場
彦馬「、、ちくしょう、、(さな子をかかえ)ああ、血がどんどん出て」
大浦「彦馬」
彦馬「かすりきずです!」
さなこ「、、、龍馬さま、、」
大浦「けなげじゃないか、外国の毛唐に、日本の女の、何がわかるかね」
彦馬「ええ、そうです。そうですとも」
大浦「ほんとに、馬鹿な男にほれたもんだよ」
手下3がまだいる
手下3「、、、」
彦馬「なんだ!まだいたか!」
大浦「心のない鬼のような外人に用はないよ!」
手下3「モゴモゴモゴ」
彦馬「モゴモゴ言ってんじゃねええ!」
手下3の皮を脱ぐ
お登勢「ベリベリベリベリベリ」
寺田屋お登勢登場。
彦馬「お、おまえは!」
お登勢「京都伏見船宿寺田屋6代目女将、寺田屋お登勢」
大浦「まさか!」
お登勢「話は聞かせてもらったよ、手下3としてね」
彦馬「すごいぞばばあ!」
さなこ「ううう」
お登勢「しっかりしな」
さなこ「、、あなた、、寺田屋の、女将」
お登勢「しっかりしな」
さなこ「宿に泊まった龍馬を、逆に襲ったという」
大浦「え?」
さなこ「性欲ばばあ」
お登勢「ふふふ(ちょっと叩く)」
大浦彦馬「あ、ケガ人に」
さなこ「夜ばいのばばあ」
お登勢「ふふふ(ちょっと叩く)」
さなこ「京都妖怪色きちがい」
お登勢「(ちょっと叩く)(ちょっと叩く)(ちょっと叩く)」
さなこ「あー、うー、わー」
大浦「あんたもわるいよ!」
さなこ「お噂はかねがね」
お登勢「龍馬から手紙を貰ってね、あんただけじゃ心もとないからってさ」
さなこ「龍馬様が、、、」
大浦「なんだあいつ、心配してるんじゃないか」
彦馬「良かったですねえ!」
さなこ「、、ええ、、、うう!」
お登勢「おじょうちゃん。これで心おきなく死ぬの?」
さなこ「え?」
お登勢「荒療治だが、生きながらえる方法があるんだよ、あいつのために」
大浦「どうするの?」
お登勢「鬼になるのさ」
お登勢、角をふところから出して見せる
大浦「それは」
お登勢「鬼の、角だよ」
彦馬「つの?」
さなこ、容態が悪化
さなこ「ぐはあ!」
お登勢「このままのたれ死ぬ?!
それとも、鬼になってでも女を通すかい?自分で決めな!」
さなこ「お、、お、、、お願いします」
お登勢「がってん!」
角をふりあげる
大浦彦馬「えええ?!」
お登勢「しゃきーーーん!!」
雷「ピカアアアアアアア!!!ゴロロオロオオロロロロオオオオオ!」

▪龍人、龍馬になりかわる
屋形船に戻る
心音「ドクドクドクドクドクドクドクドク」
龍馬「ああああ!」
心音、最高潮まで高鳴り、じょじょにおさまっていく。
心音「ドクン、、、ドクン、、、、ドクン、、、ドクン」
龍馬「、、はぁ、はぁ、、はぁ」
心音、船の音に変わる
船「ギィ、ギィ、ギィ、ギィ」
船頭
船頭「だんな、とっくに着きまして」
龍馬「え?」
船頭「やかたぶねで」
龍馬「さっき。降りたと思ったが」
船頭「お連れさんはとっくに降りまして」
龍馬「、、白昼夢?」
手を見る。
龍馬「!」
一筋の血。
龍馬「夢じゃない」
船頭「血が出てますぜ?
龍馬「ここは?」
船頭「降りりゃあ箱崎、渡れば永代町でさ」
龍馬「釣はいい(金)」
船頭「こんなにですかい?!」
龍馬「また頼む」
船頭「ありがてえ!せめてお名前を(台帳を出す)」
龍馬「あ!眠たいぜよ」
船頭「ええ?」
龍馬「わしは今!もーれつにねむたいぜよ!」
船頭「なんですかい?!」
龍馬「えいい!」
と、龍馬、のびをする、突然ねっころがる
船頭「ちょっと、だんな!困ります!」
龍馬「ぐおおおおお、ぐおおおおおおお、ぐおおおお、ふん!」
突然の暗
暗の中、人格が交代する音が聞こえる
人格交代音「どくん、どくんぎゅむんぎゅんぎゅんんん、、むんむくでぃくぴんどくん、、」
船頭「だんな?」
坂本「ああ。あれ?」
明、坂本が起き上がる
船頭「大丈夫ですかい?」
坂本「え?うん」
船頭「突然叫んで寝るもんだから」
坂本「誰が?」
船頭「だんな」
坂本「ここは?」
船頭「ですから、降りりゃあ箱崎、渡れば永代町でさ」
坂本「永代町」
船頭「あの、で、お名前は?(台帳を構え直す)」
坂本「名前?」
船頭「ええ」
坂本「坂本、龍人」
船頭「『さかもと、りゅうと』ヘイ、ごひいきに(ぺこぺこ)」」
船頭、ペコペコいなくなる
再び、江戸の雑踏。
坂本「なんで、屋形船にのってたんだろう。ま、いっか、、、なんか、やけに空が広いな。
空気も良い気がする。えーっと、帰ろう。
通行江戸っ子1「てやんでいべらぼうめ」(退場)
坂本「ああ、すみませんって『江戸っ子か(ベタつっこみ)』」
通行江戸っ子3「(江戸っぽいことをいう)」(退場)
坂本「江戸時代か(ベタつっこみ)」
通行江戸っ子4「(江戸時代のまめ知識を言う)」(退場)
坂本「江戸時代のまめ知識か(ベタつっこみ)」
通行江戸っ子2「こんなぬるい風呂は風呂じゃねえ」(退場)
坂本「おまえも『江戸っ子か(ベタつっこみ)』」
通行江戸っ子5「こちとら江戸っ子でい」(退場)
坂本「言っちゃうのか(ベタつっこみ)」
坂本「(笑顔)みんな着物だし、、、」
坂本、そろそろおかしいと思いはじめる。
坂本「、、、、どこだここ。全然見覚えがない。あ、わかった!映画のセットに迷い込んだか
な?」
瓦版屋
瓦版「かわらばん!かわらばん!」
坂本「え?」
瓦版「さあ!鬼が出た出た鬼が出たー!今度は長崎に鬼がでたー」
江戸庶民たち「おくれ」「ちょうだいな」「よこせ」「
瓦版「もってけドロボーばってんぼー」
坂本「あ、瓦版って。あははは。いつの時代だよ」
瓦版「あ、坂本さん!これ!」
坂本「え?」
瓦版「目とおしてくんな!りゅうちゃん!」
坂本「知り合いでしたっけ?」
瓦版「何いってんだよ水くせえ!りゅうちゃん♪(退場)かわらばんかわらばん!」
坂本「、、あんな知り合いなんていたっけな」
瓦版をひらく
坂本「うわ達筆!ぎゃくによめねえ(読む)えーと、慶応、、いつだっての。、、、慶応、、、
え?」
わりと雑踏が落ち着いた江戸
きょろきょろする。
坂本「あれ?、、、、きもの着てる。疲れてるのか?帰らなくちゃ」
坂本手をあげる。
坂本「タクシー」
籠が止まる。
かご1「はいや!」
かご2「そいや!」
かご1「はいや!」
かご2「そいや!」
坂本「え?」
かご1「坂本のだんな!」
かご2「いつもごひいきに!」
坂本「え?」
かご1「今日も吉原ですかい」
かご2「乗った乗ったぁ!」
坂本「ええ」
半ば強引に乗せられる
かご1「はいやはいや!」
かご2「そいやそいやぁ!!」
動き出す江戸の街
江戸庶民全員「吉原へ向かうあのカゴは」
江戸庶民1「ああ、大浜涛次郎でい」
江戸庶民2「いやいや高坂龍次郎でい」
江戸庶民3「やいやい西郷伊三郎でい」
江戸庶民4「またまた才谷梅太郎でい」
江戸庶民5「いな!」
江戸庶民6「時代の寵児か革命のサムライか!」
江戸庶民7「新しきニッポンの旗印!」
江戸庶民全員「土佐脱藩浪士!坂本龍馬だああ!」
かご1「はいやはいや!」
かご2「そいやそいやぁ!!」
坂本「俺?!」
江戸庶民7「他に誰がいるんですか!」
坂本「俺のこと、皆、知ってるの」
江戸庶民1と2「知ってるもなにも!」
かご1「ここいらじゃあ有名人ですぜ」
坂本「俺、りゅうとなんだけど」
かご2「いくら名前を変えたって」
江戸庶民3「かもしだす色気があるんでしょうよ」
江戸庶民4「相変わらず豪気だねぇ」
江戸庶民5「だんなの活躍は聞こえてまさ」
江戸庶民6「坂本龍馬に学ぼう!江戸っ子の生き方死に方」
坂本「やめてよちょっと」
江戸庶民7「ニッポンのさむらーーい!」
坂本「そんなんじゃないっってば」
江戸庶民1「さすが坂本おだいじん!」
乗客全員「ぼくら凡人とは、ココロザシが違うなぁ」
坂本「いや、そー?そーかなぁー」
かご1と2「いよ!」
全員「コッコォロ・ザ・シ♪!(こころざしコール)」
坂本「やー(照)」
全員「コッコォロ・ザ・シ♪!」
坂本「やあ(照)」
かご1と2「サッカーモットォリュウちゃん、日本をしょって♪!
全員「コッコォロ・ザ・シ♪!」
坂本「やあ(照)」
全員「コッコォロ・ザ・シ♪!」
かご1と2「吉原とおちゃああく!」
芸妓たち5人「きゃああああああああああああん!♪」(一人おかま)
吉原番頭1「今日はどれにしやしょうか?」
芸妓たち5人「さかもとさまーーーーー!♪」
坂本「選べないよおお!」
吉原番頭2「坂本様、吉原貸し切りーーー!!!」
祭りの山車のようなものに乗せられる。
かご1と2「♪そっこのけそっこのけ龍馬がとおる!」
全員「わーっしょい!わーしょい!わーっしょいーーーー!!!」
坂本「さんきゅう!さんっきゅう!ベリマッチ!」
坂本、呑む
女「きゃあああああん!」「すてきー!」などなどほめまくる
坂本「でへ、でへでへ」
女「坂本龍馬さまー!」
坂本「ええじゃないかええじゃないか!わるくない!わるくないぞ、江戸時代」
酒!酒よこせ!坂本龍馬だあ!ツケは勝海舟につけろ!」
北辰一刀流免許皆伝!小栗流目録!土佐脱藩浪士!坂本龍馬だ!酒だ酒!
ありったけもってこい!坂本龍馬のおごりだあ!」
坂本「ええじゃないかええじゃないか!」
全員「ええじゃないかええじゃないか!」
坂本「ええじゃないかええじゃないか!」
全員「ええじゃないかええじゃないか!」
全員「おどる阿呆に見る阿呆!同じアホなら!
ええじゃないかええじゃないか!」
そこに、楢崎がやってくる。
らんちき騒ぎのなか、坂本を見つける
楢崎「坂本さま」
坂本「はれ?えーと、きみは」
楢崎「ならさきです」
坂本「この前会った?」
楢崎「また忘れてる」
坂本「ははは、わすれっぽくて、ぼく」
楢崎「出ますよ!」
吉原「またね」「またきておくんなまし」「せんーせぇ」「あらかえるのぉ」などなど。
月夜
全員「江戸、土佐藩邸そば」
坂本「おおお、月がとっても丸いからぁ♪とおまわりして」
夜の音「りーんりーん」
楢崎「着きましたよ」
坂本「おお、着いたか。どこだここ」
楢崎「わたし、坂本様が心配です」
坂本「えーと、お名前は?」
楢崎「楢崎です!」
坂本「ふるねーむでおねげーしやす」
楢崎「は?」
坂本「下の名前をぷりーず」
楢崎「楢崎龍です!」
坂本「ナラサキリョウ?ナラサキリョウ?(へんな顔)」
楢崎「だいじょうぶですか?!へんな顔して」
坂本「ここまででかかってるけど出てこない。でも重要なキャラだよ君、ぜったい」
楢崎「坂本さま」
近くによる
坂本「おお近い近い近いいい匂い!はぅ!このシチュエーションっデジャブ!」
楢崎「聞いてください!」
坂本「は」
楢崎「、、、何か困ったことがあったらおっしゃってください。
ちかごろ、坂本様のお酒や女遊び、少し度がすぎます。
なにか、悩んでませんか?
私で良ければおっしゃってください。
私、お役に立ちたいんです。あの、わたし」
坂本「、、え」
楢崎、何か言おうとするけども、
楢崎「(もじもじもじもじ)っ失礼します」
顔を隠し、ぴゅーっといなくなる
心臓「キュン!」
坂本「!!なんだ今の音?」
心臓「キュンキュン!」
坂本「キュンキュン!?
心臓「ドッキュン」
坂本「、、、、いかん」
心臓「ドッキュン」
坂本「、、この胸の高鳴りは」
心臓「ドッキュン」
坂本「、、この胸のモヤモヤは」
胸「もやもやぁ、もやぁ」
坂本「、、恋か」
リフレイン「恋か恋か恋か恋か恋か」
坂本「おれ」
リフレイン「おれ、おれっ、おれっ」
坂本「恋したか」
リフレイン「恋したよしたよそれ恋したよ恋だよ」
坂本「おい!」
リフレイン「恋恋恋!恋しちゃったよ認めなよやっちゃえよ」
坂本「リフレイン調子にのるな!」
リフレイン「怒られちゃったよあたし?おれ?おれじゃないよ
坂本「恋なんて、したこと無かったぞおおおお!うおおお!」
リフレイン「うおうおうおうおうおお」
坂本「うおおお!」
リフレイン「うおうおうおうおうおお」
坂本寝る
リフレイン「寝た。寝たよ。」
坂本「幕末に生きれば俺だって、何者かになったに違いない。やっぱな、俺坂本龍馬だっ
たんだ。むにゃむにゃむにゃ」

▪龍馬の夢
暗の中、龍馬の声
龍馬「わしの夢」
ろうそくがつく
心音「どっくん!」
龍馬の声「なんじゃ、、」
心音「どっくん!」
龍馬の声「またあの夢じゃ」
心臓「ドックン」
龍馬の声「夜中に突然、胸の音で目がさめる」
心臓「ドックン」
中身「むしゃむしゃむしゃ」
龍馬の声「腹ん中で何かが育って、食い破って出てくるんじゃ」
心臓「ドックン」
中身「ムシャバギガブガジバキャボゴゴゴゴ」
龍馬の声「うぎゃあああああああ!」
真ん中に黒い塊。何か、うごめきながら低いうなり声を出している
塊「ううううううううううううううう」
腹を押さえて、龍馬登場、塊を見る。
龍馬「こんなもんが、、わしの、腹ん中に」
塊がしゃべりだす。
2「まただよ」
4「よくわからないことを口走る」
3「大言壮語」
1「夢物語だ」
5「若いのに、もうろくしたか」
6「頭の病気か」
7「流行り病いか?」
9「瘡毒(そうどく)だろ」
2「色町の病いさ」
4「ウツされたってわけか」
1「通ってくる女がいる」
4「夜鷹だよ」
5「金が尽きたか」
7「吉原の芸妓ならいざしらず」
8「そりゃあ病気にもならあな」
9「所詮は土佐の田舎商人だ」
2「近頃じゃ大枚はたけば侍になれる」
4「どおりで鼻息が荒い」
6「勝海舟に拾われて」
8「とんとん拍子にいったもんだ」
9「江戸の中州で私塾まで開いて」
1「とうとう御三家に講釈だ」
2「出世街道まっしぐらってときによ」
3「頭が病気だ」
4「虫か女かモーロクか」
6「もと商人が侍になって」
7「女にやられて尊王攘夷」
8「ぜいたくなこって」
1「ま」
全「サムライが聞いてあきれる」
龍馬の声「出てきたものが」
塊「ううううううううううう」
龍馬の声「ほんとうのわしか」
塊「うううううううううううう」
黒いもの、じょじょに何かの形になる。
龍馬「、、、こりゃ、、わしの正体か、こんなに、みにくくて、ちっぽけな
以蔵、、亀弥太、、だれか、わしの話を、聞いてくれ」
うごめきつづける、塊
塊「うううううううううううう」
▪永代町大成塾、坂本の噂
暗の中、現代で言うところのチョークのような音がする
坂本「カッカッカッカッ、カッカッ(以下、つづく)」
明。
”黒板にチョークで文字を書きながら歴史の授業をする”
ような感じの江戸時代末期、大成塾の坂本先生。
生徒たち、座学。姿勢をのばして正座している
坂本「カッカッ、カッカッ、えー、黒船到来、ペリー来航、日米修好通商条約、桜田門外
の変、生麦事件、薩英戦争、下関戦争。攘
夷論と開国論」
塾生1「はい」
坂本「はいなんだろ。カッカッカ」
塾生1「先生、何をしておりますか」
坂本「カッカッカ、え?」
塾生2「その、カッカという音と」
塾生3「その奇妙キテレツな動き」
坂本「カッカッカ、、」
塾生4「どうも気になって集中できません」
坂本「え?」
塾生5「なんでござるか?」
坂本「え?何って、チョークだろ」
塾生6「向こうには何が?」
坂本「え?黒板だろ」
塾生7「チョーク?」
塾生8「こくばん?」
坂本「うん。カッカッカ」
塾生9「この時代、まだチョークはござらぬ」
坂本「え?」
塾生全員「江戸、永代町門前仲町、大成塾」
坂本「え?」
寺の鐘の音「ごーーーーーーーーん」
坂本「うわぁ!なんだ?」
塾生1「永代町正源寺の鐘です」
坂本「ああ、そう、そうかそうか、これで今日は終わり」
寺の鐘の音「ごーーーーーーーーん」
塾生2「先生!」
坂本「え?なに?」
塾生3「合い言葉は?」
坂本「え?」
塾生4「いつもの!お願いします!」
坂本「あいことば、、、あ。ああ、せーーの。日々、向上宣言♪できることからはじめーよ
ーよ♪あれ?」
寺の鐘の音「ごーーーーーーーーん」
坂本「あ、また」
塾生5「先生」
坂本「はい」
塾生6「何を言っておられる」
坂本「ちがう?」
塾生7「違います」
坂本「すまん」
塾生8「日日是決戦!武士道と云ふは、死ぬ事と見付けたり」
坂本「あれ?」
塾生全員「日日是決戦!武士道と云ふは、死ぬ事と見付けたり!」
坂本「あ、そうか」
寺の鐘の音「ごーーーーーーーーん」
坂本「解散」
塾生9「坂本先生!ありがとうございました!」
塾生全員「ありがとうございました!」
カラス「カァ、カァカァカァ」
一人になる、坂本
坂本「あれから、何日、経っただろう」
坂本、立っている
塾生1、坂本発見。
塾生たちが質問攻めにするの図。
塾生、次々と走り込んで行く。
避け続ける坂本。
塾生1「先生!日本はどうなりますか」
寺の鐘の音「ごーーーーーーーーん」
塾生2「江戸で出来ることはなんです」
寺の鐘の音「ごーーーーーーーーん」
塾生3「長崎でも鬼が出たとか」
寺の鐘の音「ごーーーーーーーーん」
塾生4「鬼にはもともと人間だとか!」
寺の鐘の音「ごーーーーーーーーん」
塾生5「はやりやまいとのウワサもあります!」
塾生6「先生、どうされました?」
寺の鐘の音「ごーーーーーーーーん」
塾生7「あ、坂本先生ではないですか」
塾生8「あ、坂本先生ではないですか」
塾生9「あ、坂本先生ではないですか」
囲まれた
坂本「無理!逃げよう」
足音「ズダダダ!ダダダダ!」
塾生2「坂本先生!」
坂本「ああ!」
足音「ズダダダ!ダダダダ!」
塾生3「坂本先生!」
坂本「まだくるか!」
足音「ズダダダ!ダダダダ!」
江戸の雑踏
坂本「はぁ、はぁ。はあ。江戸、広い!
、、俺無理だ、坂本龍馬。俺、ただの予備校教師だ、、
江戸っ子1ぶつかってくる
江戸っ子1「ぼやっとすんじゃねえっ」
全員「ドン」
倒れる龍馬
町のロウソク
江戸っ子2「けっ情けねえ」
江戸っ子3「最近じゃただふらふらしてるばかりだ」
江戸っ子4「何をやってるそぶりもねえ」
江戸っ子5「酒場と吉原と塾の往復だってよ」
江戸っ子6「志はどこ行ったんだい」
江戸っ子7「天下の坂本龍馬がねえ」
江戸っ子8「人間堕ちるもんだよ」
江戸っ子9「まるで生気がねえ」
江戸っ子2「なんだか変わっちまったんだよ」
江戸っ子3「もっとこう魅力に溢れてたもんだが」
江戸っ子4「しまりがねぇというか」
江戸っ子5「期待はずれだったなあ」
坂本「、、ああ。やばい。町中の人間が、、俺にがっかりしてく」
坂本「いやいや!気のせい!気のせいだ!ああ、なんか、妄想がひでえ」
楢崎迎えにくる
楢崎「坂本さま」
坂本「ならさきさんーー」
めっちゃ甘える
坂本「何で俺に優しいんですか」
楢崎「え」
坂本「だれかと勘違いしてんだよなあ」
楢崎「なにを言ってるんです?
坂本「それか同情してるんんだ」
楢崎「坂本さま」
坂本「ほっといてください。もう一人で帰れる。ほっといてください」
沖田総司
沖田「そういう言い方ないんじゃないですか」
楢崎「沖田さん!寝てなきゃ!」
沖田「新撰組の仕事なんです」
楢崎「でも」
楢崎、沖田をひっぱっていこうとする
坂本「あ。新撰組一番隊組頭・沖田総司?」
沖田「!」
心音「どっくん!」
楢崎の手をふりほどき、にらみつける沖田。
心音「どっくん!」
坂本「、、、」
坂本をしげしげと見る。
沖田「僕も名が上がったかな?」
坂本「ダンダラ模様」
沖田「この羽織がどうしたんです。
坂本「ダンダラ模様は副長土方歳三が歌舞伎・赤穂浪士の衣装をモチーフにした。無念の
死を遂げるため、不吉であるとの声もあ
がったが、局長近藤勇の『かっこいいべや』の一言で片付けられた。とか。」
心音「どっくん!」
沖田、刀を抜き、のどもとに構える
刀「すらり、スチャ」
坂本「!!」正気にもどる
楢崎「沖田さん!」
沖田「誰も知らないはずのことです」
沖田「大成塾の坂本さん?」
坂本「、、は、、っはひ」
沖田「変なことを口走る吉原通いの頭がおかしい幕府にたてつく危険思想?」
刃先が動く
楢崎「沖田さん!」
沖田「!」
沖田、顔をしかめる
沖田「、、、、、」
頭痛「ズキン、、、、、ズキン、、、、、、ズキン、、」
楢崎「やめてください!」
沖田、一振りし、さやにおさめる
刀「ひゅん、すッ、カチャン」
坂本「っはぁ、!はあ」
沖田「あなた違うな」
坂本「え?」
沖田「志のある奴って、刀を向けると、ビリビリくるんです。足掻くんですよ、魂が」
坂本「、、」
沖田「あがかない」

楢崎「沖田さん(じっ)」
楢崎「今痛んだでしょ?」
沖田「え?いやいや、ぜんぜん」
楢崎「痛みました絶対」
沖田「出た神通力」
楢崎「聞こえるような気がするんです」
沖田「人の痛みがですか」
楢崎「ええ」
沖田「またまた、ご冗談をー」
坂本「あ」
沖田「え?」
坂本「なんでもないです」
沖田「なんですか?」
坂本「あ、またちょっとあの、よけいな知識を」
沖田「気になるな。言ってくださいよ」
坂本「いや、やめた方いいです」
沖田「なんでですか」
坂本「いや、そのー、たぶんショックですから」
沖田「ショック?なんですそれ」
坂本「いんですいんです、おちこんだらあれだし、沖田さん」
沖田「なんだよ」
刀をまた向ける
沖田「なんか腹立つなぁ。言ってみろよ」
坂本「、、いんですか言っても」
楢崎「え?」
沖田「言え」
楢崎「坂本さま、何を言うんですか?」
坂本「、、、でもねぇ」
沖田「この刀、菊一文字って業ものです。引くだけで軽く斬れますよ。首」
さらに首筋に刀
坂本「結核」
沖田「え?」
坂本「思い出した。沖田総司。結核だ」
沖田「けっかく?ってなんですか?」
坂本「この時代で言うと、労咳?」
楢崎「あ」
坂本「労咳。新撰組一番隊組頭、沖田総司、労咳で死にます。これはテストにでません」
沖田「労咳?」
楢崎「、、坂本さま」
坂本「え?」
楢崎「坂本さま!」
沖田「あれ?」
楢崎「あの、沖田さん、違うんです」
沖田「あー」
楢崎「いえ、沖田さん」
沖田「あー、そうなんだ。どおりで
沖田「、、力がでないはずだ」
楢崎「、、沖田さん
沖田「帰ります」
沖田、ふらりといなくなる
楢崎「ひどいです!」
坂本「あたまおかしいんです俺は」
楢崎「、、、みそこないました」
坂本「みそこなうとか、ないから!
楢崎「、、」
坂本「そもそもおれはだなあ!あんたの言ってるような男じゃない!
しょせん!器の小さい!予備校教師!この知識もなんの役にも立たない!
受験のための社会!受験のための歴史!なんの、役にも立たない人間だ!俺は坂本龍馬
じゃない!」
楢崎「坂本さまは坂本さまです!」
坂本、楢崎をつかむ
坂本「じゃあいいんだな?」
楢崎「やめてください」
坂本「俺は坂本龍馬だぞ!おまえ坂本龍馬が好きなんだろう」
楢崎「やめてください!!」
坂本「俺も坂本だ!なんで嫌がる!!」
坂本、楢崎におおいかぶさる
坂本「思い出したんだナラサキナラサキ!楢崎龍!寺田屋襲撃の際は入浴中であったが、
すっ裸で二階へ昇り、龍馬に危険を知らせ
た。鹿児島周辺の温泉を二人で巡り、これは日本初の新婚旅行とされる。これはテストに
は出ません」
楢崎「え?」
坂本「結婚するんだ」
楢崎「え?」
坂本「坂本龍馬と」
楢崎「、、え?」
楢崎「、、坂本さまと?」
坂本「俺だって坂本だ!」
楢崎「、、」
楢崎、抵抗をやめる
坂本「俺を見てよ!」
顔をあげる
楢崎「ばかにしないでください」
坂本「、、え?」
楢崎「私の知ってる坂本さまは、
そういったことを、軽々しく口になさる方じゃありません」
坂本、離れる
楢崎、退場する
雑踏。
渡し船「ギィ、ギィ、ギィ、ギィ」
白い目「ひそひそひそひそ」
渡し船「ギィ、ギィ、ギィ、ギィ」
女客「ちょっと」
坂本「、、、」
女客「おやめください」
坂本「、、」
女客「おやめくださいまし」
白い目「ジッ」
坂本「、、」
白い目「ヒソヒソヒソ」「尻をなぜた」「尻をなぜたんだな」「尻を」
渡し「箱崎ー箱崎ー、まいどありがとうございます」
舟「ゴトト」
白い目「恥をしれ」「やれやれ」「なんだかなぁ」
と皆降りて行く
坂本「、、、、」
渡しの番頭
渡し「だんな、たまってんなら、吉原へでも行きなっせ。金がなけりゃ、川岸に夜鷹がい
るっちゃ」
坂本、ギロリとにらみつける
心音「どっくん」
渡し「おっかねえおサムライだ」
坂本、腰に手をやる。刀はない。
坂本「、、、」少しほっとする
しかし
坂本「あ、、、、、」
ふところに手をやる。
坂本「、、、、、、銃」
心音「どっくん!!」
スミス&ウェッソン32口径がある。
坂本「俺はサムライだ」
心音「どっくん」
おかまの夜鷹がくる
心音
おかま夜鷹「セーンセ」
坂本「、、、」
おかま夜鷹「セーンセ」
坂本「、、、、、」
おかま夜鷹「やーんいけずう」
坂本「夜鷹か」
おかま夜鷹「昨日はあんなにかわいがってくれたじゃないのー」
坂本「、、」
おかま夜鷹「忘れたなんてお言いでないよう、セーンセ」
坂本「俺はサムライだ」
心音「!どっくん!!」
とうとう構える
心音「どっくん!どっくん!どっくん!どっくん!!」
おかま夜鷹「え?」
坂本「やれるぞ」
心音「どくんどくんどくんどくんどくん!!!どくどくどくどくどくどく!!!!」
坂本「俺だって、、、やれるぞ。」
おかま「いやあああ!」
そこに坂本龍馬
龍馬声「いかんちゃ!」
龍馬、坂本の手をつかむ
銃声「ばっきゅうううううううん!!!」

▪鬼化について。
全員「長崎、大浦邸」
波の音「ざーーーん、ざざーーーん」
かもめ「(かもめの鳴き声)」
波の音「ざーーーん、ざざーーーん」
さなこ、吊るされている。
お登勢「さて、九十を前にもうひとふんばり」
二人「きゅ、きゅうじゅう?」
お登勢「まさかこの歳で、恋敵の命を助けることになるとは、人生わからんもんだ」
彦馬「おばはん一生現役のつもりやで」
さなこ「化け猫」
お登勢「なんか言った?」
さなこ「ぐー」
彦馬「寝言です」
さなこ寝ている
さなこ「ぐー、ぐー、ぐー」
彦馬「死んだように寝てます」
大浦「鬼の角のおかげで命がつながったんだ。まずは良しとしなきゃ」
彦馬「完全に殺したと思いましたけどお登勢さん」
お登勢「キズ、ふさがったっしょ。すごいしょ」
彦馬「すごいっす。でも龍馬さん、もとい、さなこさん、縛られて可哀想に」
お登勢「ただし、運良く目が覚めても、鬼化した人間は、狂うか、人間を超えるか、二つ
に一つだ」
大浦「もし正気に戻らなければ、、」
お登勢「すぐ殺せ」
大浦「はい」
波の音「ざーーーん、ざざーーーん」
かもめ「(鳴く)」
大浦「各地で、龍馬とおぼしき人物が手当たりしだいやられています」
お登勢「一陣の熱風」
彦馬「熱風の正体って」
お登勢「そいつの刀を見たんだろう」
大浦「あたしの目に狂いがなければ、和泉守兼定」
お登勢「そんな業ものぶらさげてるサムライ、数えるほどしかいないよ」
大浦「ええ」
波の音「ざざーーーんっざざざーーーん」
お登勢「じゃ、長崎みやげ見繕って、江戸にいこっかなー」
彦馬「あ、ありがとうございまし(た)」
消える音「しゅん!」
お登勢、消える
彦馬「もと忍者ですかあのばーさん」
さなこ「淫乱くの一成金ばばあ、むにゃむにゃ」
大浦「寝言、全部悪口だね」
さなこ「ぐーぐー」
波の音「ざざーーーんっざざざーーーん」
彦馬「坂本龍馬も、罪な男ですねぇ」
大浦「、、、まあねえ」
彦馬「そんないい男なんですか坂本龍馬」
大浦「優柔不断で、気が小さくて、嘘ばっかついて、女だまして。いい男だよ」
彦馬「ぼくも早く、命をかけられるイイ男に出会いたいです」
大浦「そうだね」
彦馬「はい」
大浦「え?」
波の音「ざざーーーんっざざざーーーん」
グラバー
グラバー「彼のカミングアウトについてはひとまずおいとこか」
大浦「グラバー!!!」
手下12「音楽!」
音楽<kinpaku>
手下12、銃を構える
彦馬「何しにきやがった!」
大浦「ちょっと助かった!」
手下12「フリーズ!」
二人、動けない。
大浦「猿には用がないんじゃないのかい?」
グラバー「猿にはね」
彦馬「むかつく!」
手下1「もう耳に入ってきとんねん」
手下2「きさまら、悪魔つくっとるらしいやんけ」
彦馬「悪魔だって?」
手下1「鬼は英語でデーモンじゃ!」
手下2「これか、半分デーモンの猿は」
大浦「この子は悪魔なんかじゃない!」
グラバー「いくらで売りますか?この、鬼」
彦馬「なんだと?」
手下1「買うたるちゅうてんねん!」
手下2「てきとーに値段つけたれや!」
大浦「何を言ってるの」
グラバー「ビジネスの話しや」
大浦「みそこなったね。人間は売らないんじゃなかったのかい!!」
グラバー「さいでんな」
手下12「BUT」
グラバー「珍しい動物は、売り買いさしてもらいまっさ」
手下12「ちゃりんちゃりーん」
グラバー「和同開珎2、3枚でヨロシイか?」
大浦「ふざけんな!」
さなこの角
つの「メリメリメリメリメリ」
さなこ「うう」
つの「メリ!メリメリメリメリ!!」
さなこ「ううがあ!」
さなこ暴れる
さなこ「うううううう」
グラバー「起きました?」
さなこ「ぐるるぐるるる」
手下1「あかん」
手下2「こら狂っとるわ」
彦馬「お慶さん!」
大浦。スミス&ウェッソンを構える。
グラバー「殺すんかい?」
大浦「く」
グラバー「所詮、恋敵や殺したらんかい!」
さなこ「ぐるるぐるるる」
大浦「、、、くそ」
グラバー「どないすんねや!大浦慶ちゃん!」
さなこ「ぐるるぐるるるがああ」
大浦「くそお!」
<音楽一回止まる>
全員「そのとき!時空が歪んで!」
ストップモーション
全員「もにゅううううううん!」
情景、竜巻となる。高速回転。
竜巻「びりばりびりばりびり、しゅぱーーーーーーん!」
竜巻、時空となり、スローモーションでただよう。
時空「わんわんわんわんわんわん(以下続く)」
修行僧、時空移動中。飛行機でよく聞くアナウンス聞こえる
機内アナウンス1「We have just crossed the International Date Line」
スッチー、修行僧にドリンクのサービス
修行僧「マティーニ」
スッチー「sure」
機内アナウンス2「we will be landing at Nagasaki shortly」
機内アナウンス3「We will start to descend soon」
修行僧「着地体勢」
スッチー「please fasten your seat belts」
修行僧「Oops」
スッチー「テンキュウ」
時空「ごおほおおおおおおおおおおおおおおおお!ズアアアあああん」
竜巻「びりばりびりばりびり、しゅぱーーーーーーん!」
長崎に到着する修行僧
機内ベルトサイン消灯音「ぽーん」
修行僧「よっ」
<再び音楽>
グラバー「なんや今のくだりは!」
修行僧「時空間移動をモダンに表したものじゃ」
大浦「余計だ」
手下1「なにもんや!」
手下2「どっから現れた!」
さなこ「がるがるがるがるうう」
修行僧「おい起きろ」
さなこ「がるがるがるがるうう」
修行僧「おきろ!」
さなこ「ガア!」
さなこ、しばってた縄をひきちぎる
縄「ぶっちーーん!」
手下12「あわわあわ!」
大浦「じーさんが熱風の正体ってわけ?」
修行僧「いや」
全員「その時、一陣の熱風が」
熱風「びゅうううううううううううん」
修行僧「来るぞ」
土方歳三登場
大浦、彦馬、修行僧「鬼の副長、土方歳三!」
土方「坂本龍馬か」
さなこ発狂。土方 vs さなこ
さなこ「ああああああああああ」
彦馬「つええ!」
大浦「わあ!こっちにきた!」
さなこ「あああああ」
修行僧「しっかりせえ!」
土方 vs さなこ vs 大浦
グラバー「鬼が二匹や!」
彦馬「グラバー!」
グラバー「剥製にして売ったるわい!」
大浦「さなこ!避けて!」
グラバー「まず女ああああああ!!!」
手下12「エンフィーーーーーーールド!」
音楽があがり
以蔵かけこんでくる。
音楽が止まる
銃「ばきゅばきゅううううん!」
以蔵、弾丸をくらう
以蔵「、、さなこ、、はん」
さなこ、正気にもどる
さなこ「え」
以蔵「これ」
刀、肥前忠広をかかげ
以蔵「、、龍馬が、、、」
さなこ「肥前忠広、、」
以蔵「さなこはんに、、」
さなこ「、、以蔵」
和泉守兼定「すらり」
さなこ「え」
土方「女のために死ぬとは」
和泉守兼定「どん!!」
以蔵、斬られる
さなこ「以蔵おおおおおおおおおおお!!」
土方「馬鹿な男だ」
熱風「ビュウウウウウウウウウウン!!!」
土方退場
手下12「あつ!」
波の音「ザアアアン、ザザアアアアアアアアアアン」
さなこ「以蔵!」
彦馬「だめだ」
大浦「持たない」
修行僧「こまごまもめとる場合じゃないぞ。
各地で鬼が発生しとる。
ぼやぼやしてると箱根を超える。
江戸に着けばアウトじゃ。
日本全土がバイオハザードになる。
未来まで、狂った鬼の天下となる」
グラバー「ちょいちょい英語はさむじじーやの」
修行僧「ふぉっふぉっふぉ!
わしゃ明治 40 年で死ぬことになってるらしいがそうもいっとられん。あとは自分らで決
めてくれ。アディオス。時空間移動術!は!」
移動音「ばっしゅううううううううううん!」
手下1「きえた!」
手下2「好き勝手言ってきえた!」
波の音「ザアアアン、ザザアアアアアアアアアアン
ザアアアン、ザザアアアアアアアアアアン」
グラバー「大浦慶ちゃんには期待したんや
商売上手やから、他の猿とはちゃうなぁおもて
なんでニッポン人は損する道も選べるんや」
さなこ「がるるる!」
さなこ、頭ボキ
全員「折ったー!」
さなこ「うが」
全員「さしたー!」
以蔵「わあ!」
波の音「ザアアアン、ザザアアアアアアアアアアン」
大浦「おめーらにはわからねえ」
波の音「ざっぱあああああああああん!」
角を抜く
以蔵、よみがえる
心音「どくん!どくん!!」

▪人格が交代する音と噂
暗の中、人格が交代する音が聞こえる
人格交代音「どくん、どくんぎゅむんぎゅんぎゅんんん、、むんむくでぃくぴんどくん、、」
松本「起きますぞ」

▪坂本龍馬と坂本くん
全員「江戸、松本良順診療所」
ふとんに横になっている龍馬。その後ろに立っている坂本。楢崎、松本、
龍馬「ねとったんかいのう」
海舟「覚えてねえのか」
龍馬「、、、あの男が、おかまの夜鷹を撃とうとしちょったのを止めて、、あ、こいつじゃこ
いつ。往来でピストールぶっぱなそうとするバカじゃ」
坂本「助かりました」
龍馬「ううううん!あああ、よく寝た。どんくらい寝たかの」
松本「1週間じゃ」
龍馬「ほんとかい?!」
坂本「坂本くん、起きとるかのう?(龍馬をみながら)」
龍馬(坂本)「起きとる(起きてます)」
勝と楢崎「おー」
龍馬「だれじゃ?」
坂本「龍に人で、りゅうとです」
龍馬「一文字違いじゃの?」
坂本「親が、坂本龍馬のファンで」
龍馬「ふぁん?」
坂本「緊張してます」
龍馬「え?」
坂本「実は僕もファンで、大河ドラマ、録画しながらリアルタイムで欠かさずですよ。結
局 DVDBOX も買ったくせに」
龍馬「何をしゃべったんじゃこいつ」
楢崎「私達には意味不明の落語をしてるように見えてます」
松本「未来の言葉じゃと」
龍馬「わしゃいくぜよ、一週間もねちょったが、薩長同盟はまかりならん」
坂本、龍馬におんぶする
龍馬「、、、」
坂本「すいません」
龍馬「何をしちょるんじゃ?」
坂本「すみません」
松本「おまえさん、未来の亡霊に取り憑かれたらしい」
龍馬「未来の亡霊?」
坂本「亡霊じゃないです」
海舟「なんだっけ?」
坂本「予備校教師です」
龍馬「なにいっとる?」
海舟「ま、非常にためになったぜ」
楢崎「勝さん」
坂本「勝海舟。幼名および通称は麟太郎。咸臨丸に乗りアメリカ・サンフランシスコへ渡
航した。船酔いのためにほとんど役に立たなかった。ここはテストにでません」
海舟「ありがとよ。じゃ」
龍馬「わしもいくき」
龍馬2、3歩あるく。降りない坂本
龍馬「降りろ!」
坂本「降りたいんです、ぼくも。できれば」
海舟「観念しろ、おまえは特別な能力を手に入れたんだ。」
松本「龍馬、おぬしが寝とる間に、鬼についてわかってきた。もう各地で、鬼化しとる。
沖田くんもいつ発症するか知れん」
龍馬「鬼」
風呂敷
松本「鬼の角だ」
龍馬「は?」
松本「これはお前に託す」
鬼の角を龍馬に渡す
松本「おりょうさん」
楢崎「?」
松本「わしゃ、このまえは余計なことを言った。思うように生きたらいい」
楢崎「、、、」
松本「わしも、色々とあがく」
松本、退場
楢崎「坂本さま」
ふたり「ん?」
楢崎「おはなしが」
ふたり「ん?」
楢崎「坂本龍馬さまに」
坂本「寝ます。寝ます。僕寝ます」
退場、他の役者にまじる
坂本「はい寝ましたー。ぐーーーぐーー」
龍馬「寝た」
楢崎「いずれ、京都に渡りますか」
龍馬「そうじゃのう」
楢崎「寺田屋さんってお知り合いですか?」
龍馬「ん?ああ、京都の定宿じゃ」
楢崎「私、そこに働きます」
龍馬「なんでじゃ」
楢崎「私は、あなたの妻になるからです」
龍馬「はあ?」
楢崎「私がお役に立つ日もあるみたいですから」
龍馬「何を言うんじゃ突然」
楢崎「丸くとも一かどあれや人心、あまりまろきは ころびやすきぞ」
音楽<大海原>
龍馬「ああ、そりゃ、わしが16ん時に書いた和歌じゃ」
楢崎「人の心は、丸いだけではなくて、譲れない部分もあらにゃいかんぜよ」
龍馬「まぁ、そうじゃのう」
楢崎「私、思うままに生きていきます。あなたと」
龍馬「おい、勝ってに決めとるんか?」
楢崎「いずれ、どこか連れてってくださいな。あなたの船で」
龍馬「どこに」
楢崎「どこへでも」
龍馬「わしは日本には収まらんぞ」
楢崎「承知してます」
龍馬「そうかい」
楢崎「よろしいですか?」
龍馬「それはプロポーズちゅうもんぜよ。普通は男がするもんじゃ」
楢崎、礼
退場
龍馬「まっこと、面白きおなごじゃ」
龍馬「おい」
坂本「ぐーぐー」
龍馬「きいとったろ」
坂本「、、、すみません」

▪土方
全員「と、そのとき!一陣の熱風が」
鬼足「ビュウウウウン」
音楽
土方「おかしいな、気が二つある」
土方「やっとみつけた。坂本龍馬」
龍馬「おまんその頭、、、なんじゃ」
土方「見ての通り」
坂本「、、鬼だ」
土方「京都守護職新撰組副長、土方歳三」
龍馬「なに?!」
斬り掛かる
刀「ぶぉおおおおおん」
龍馬「いきなりか」
よける
坂本「うああああ!」
とおんぶする
龍馬「なんでじゃ!」
土方「なんかついてんぞ」
坂本「すみません」
土方「長崎のは影武者か」
龍馬「おまん、さなこをどうした!」:
斬り掛かる
刀「ぶぉおおおおおん」
ギリギリよける
龍馬「重いわ!」
土方「それでやれるのか坂本龍馬」
龍馬「ふん、こっちゃ銃が、、あれ、銃は?」
坂本「あぶないからって、おりょうさんが」
土方「ちぇすと!」
岡田以蔵
全員「そのとき!もう一陣の熱風が」
鬼足「ビュウウウウン」
刀「ぶぉんカシイイイイイイイイン」
間一髪
龍馬「以蔵か!」
坂本「岡田以蔵!土佐勤王党、鏡心明智流、人斬りの以蔵、これはテストにでません!」
龍馬「おまえも角、、」
以蔵「殺しすぎると、鬼になるんかの」
龍馬「おまんら、京都におったじゃなかったがか?」
鬼二人「走ってきた」
坂本と龍馬「え?」
刀圧「ふごおおぼおおひゅううーー!!!カシンキーーン」
坂本「はやい!」
龍馬「にげるぞ」
坂本「ええ?!」
全員「そのころ長崎では」
1「たいへんじゃー!」
2「鬼がヒトをつので斬って」
3「斬られた奴は鬼になってく」
彦馬「なにがおこっとんのじゃあ!!パッシャアア!」
大浦「彦馬!写真はいいから!」
彦馬「おそろしくておそろしくて」
鬼4「ばー」
二人「鬼じゃああああああ」
熱風「熱風ビュウウウウウウウン!」
千葉さな子、角をきる。
刀「スパンスパーーン!!!!、、、ポロ」
鬼4「あああああ」
さなこ「たくさんくるよ」
鬼5「しゃあああ!」
鬼6「しゃ!」
鬼7「しゃあああ!」
刀「スパパアパパパッッン!」
3匹たおれる
彦馬「わああ鬼じゃ!」
大浦「正気?」
さなこ「なんとか大丈夫」
大浦「土方にやられたケガは?」
さなこ「つるっつる」
大浦「え?」
さなこ「かさぶたもはがれた」
彦馬「おにじゃー」
さなこ「西に逃げて」
大浦「どおして」
さなこ「鬼は、江戸にむかってる」
8「攘夷派の奴らはほとんど鬼になってしもた!」
9「ええじゃないかと踊り狂っとった連中もじゃ!」
10「ある程度蔓延すると東に移動していっとる!」
1「長崎から九州全域に広がったようじゃ!」
2「関門海峡をすでに超え、中国地方へ!」
3「四国は土佐から広がっている!」
楢崎のさけび声
楢崎の声「沖田さん!なにを!おきたさん!」
松本
松本「しまった!沖田がおらん!おりょうさん!」
4「伊予、讃岐、阿波、淡路」
5「海を越えた!」
6「それだけじゃない!」
7「めりめり!」
8「各地で呼応するかのように発病している!」
9「めりめりめりめり!」
10「播磨、摂津、河内!」
庶民、混乱
1「薩長土から鬼が出てる!」
2「関ヶ原の負け組だ」
3「たたりだたたりだ!」
4「頭痛を訴え始めたらあぶないぞ!」
5「押さえつけろ!」
6「しばりつけろ!」
7「だめだ!」
8「発症したとたんに怪力だぞ」
つの「めりめりめりめり!」
9「京はすでに鬼だらけです」
海舟「新選組はどうした!」
井上「近藤さん!」
近藤「なんでだべ!源さん!」
平助「うっしゃああああ」
井上「平助!気を確かにもてえ!」
10「若い隊士は斬り合い!」
1「あっちゅう間に鬼だらけだ」
2「近藤さんあぶない!」
鬼「わっしゃああああ!」
蒔田「すけだちエヘン!」
刀「カシンカキーーーン」
松平「近藤くん!」
近藤「あんたら!」
蒔田「えへん!京都見廻組!蒔田廣孝」
松平「おなじく見廻組!えへん!松平康正」
「知らねえ!」
今井「今井信郎!えへん!」
渡辺「渡辺篤!えへん!」
佐々木「佐々木只三郎!えへん!」
井上「だめだ!幕末マニアにしかわからん!」
近藤「なんでえへんって言うんだ!
見廻組「見廻組は、新撰組よりも偉いから!えっへん」
3「身分が低いやつしかかからない?」
4「農民や商人はかかってないじゃないか」
5「どうしてサムライばかり」
6「しかも、サムライの偉くないやつばかり」
7「わかってきた!」
8「山城、伊賀、伊勢」
9「尾張、三河、遠江」
10「駿河、伊豆」
1「鬼化した人間がまっすぐと江戸を目指しています」
2「その様子はまるで百鬼夜行です!」
大砲「どおおおんどおおおん!」
3「海の方だ!」
大砲「どおおおんどおおおん!」
4「この音は!」
海舟「箱根の関を越えさせるな!」
5「どおおおん」
海舟「撃て撃て撃てええ!」
犬「わん!」
6「勝海舟が動きました!」
海舟「全速前進!戦艦という戦艦をかきあつめろ!」
7「配置しました!」
8「吉原!原!沼津!」
9「小田原には大砲を用意しました!」
海舟「意地でもここはふんばれー!」
10「報告!」
1「我が艦隊に砲撃をしてる船がいます!」
海舟「てやんでえ!誰だ!」
紀州「あの紋所は、、紀州藩!紀州藩がグラバーより購入した、明光丸です!」
海舟「紀州も鬼化か?!」
大砲「どおおおんどおおおん!」
海舟「鬼のくせに大砲を撃てるのか?」
おおきな大砲「どっっっかあああああああ」
1「南方から援軍!」
海舟「あの船はなんだ!!」
2「二曳の旗がはためいています!」
3「海援隊かあ!」
海舟「龍馬は今は江戸じゃねえか一体誰が」
4「もう一つの旗が!」
5「丸に!四つ割菱!!!!!!」
海舟「なに?!」
高杉「長州脱藩!高杉晋作!助太刀いたす!」
波「ざっぱあああああん!!」
7「東海道!原の関!やぶられました!」
8「鬼は!どんどん増えていきます!」
鬼たち「ええじゃないかええじゃないか
ええじゃないかええじゃないか
どっちだってええじゃないか
ええじゃないかええじゃないか」
9「箱根の関に届きます!」
10「もう無理です!!!!!!」
1「何百!、何千、何万もの鬼が!」
2「箱根の関に押し寄せて!」
3「折り重なって!」
鬼たち「ええじゃないかええじゃないか
ええじゃないかええじゃないか
どっちだってええじゃないか
ええじゃないかええじゃないか
そっちだってええじゃないか」
踊る阿呆にみる阿呆」
同じ阿呆なら」
えーじゃないかえーじゃないか!
えーじゃないかえーじゃないか!
えーじゃないかえーじゃないか!
えーじゃないかえーじゃないか!
曲あがり、きれる
3「、、、、
4「どうなった?!
5「まさか」
鬼、合体する
雷「ごろっろおっろろろろおろろろろろろろろろ!!!!!」
巨大鬼「がああっしいいいいいん!」
海舟「えらいことになってきた」
雨「ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
坂本「まて!」
龍馬「こういう時は逃げるが勝ちぜよ!」
坂本「ちょっとまて!」
龍馬「おはんええこつ教えてくれたぜよ!わしは近江屋で見廻組に暗殺されるんじゃ
ろ?!」
坂本「お龍さん!どうすんだよ!!」
龍馬「あれは強い女じゃき」
坂本「ふざけんな!!」
手「ズキンッ!」
坂本、自分の首をしめる
龍馬「なんの真似じゃ?」
龍馬の手も自分の首をしめる
龍馬「よお考え!ばけもんじゃき!あんなもん相手にしちょったら、命がいくらあっても
足りんわい!」
坂本「戻れええ!!」
首をしめる
龍馬「おはんも、、死ぬぞ」
坂本「こんなんじゃないぞ。こんなはずじゃないぞって、毎日。だけど、何も変わらなく
て。
歴史の本、開いてる時だけ、ビリビリくるんだ!
あきらめないでくれよ坂本龍馬だろ」
龍馬「おんし本気でいうちゅうか」
坂本「俺はあがくぞ!これはテストに出ないけど」
龍馬「ほたえなあああ!!!!!」
場面は交錯する
楢崎をひっぱってくる沖田
雨「さああああああああああああああああああああ
楢崎「沖田さん!」
沖田「、、」
楢崎「どこにいくんですか」
沖田「さあ、どっちに行こうかな」
楢崎「、、、、」
沖田「どこか、だれもしらないとこで、ふたり。
子供とか育てて、平和に暮らすって、どうですか。
鬼になれば、命が持ちそうだ」
雨「サアアアアアアアアアアアアアアアアア」
沖田「ねえ、一緒に生きましょう」
雨「サアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
楢崎「、、私は、」
雨がやんでいる
楢崎「心に決めた方がいます」
間。
沖田「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、」
楢崎「、、」
沖田「じゃあ、」
沖田、刀を抜く
沖田「やっぱ土方さんと付き合うか」
血潮「ズキン」
楢崎「、、あ」
血潮「ズキン」
楢崎「ああ」
血潮「ズキン」
沖田「見えます?この刃」
血潮「ズキン」
沖田「聞こえる?」
血潮「ズキン」
楢崎「沖田さん」
沖田「明日、死ぬかわからない戦場で、生きてるなーっておもっちゃうことが
最高に幸せだって思ってなくっちゃ、
やってけないじゃないですか、、。
、、、この前猫を斬り損じました。
日に日に僕の取り柄が失われていきます。
なら、僕は鬼に、魂をくわれた方がいい」
心音「どっくん」
聞こえる、オルゴール
土方「おいついた」
龍馬「むだなわるあがきじゃ」
土方「ちげえねえ」
龍馬「幕府も倒れるんじゃと」
土方「ああそうかい」
龍馬「新選組もなくなるんじゃ」
土方「、、、」
龍馬「覚えるほどの歴史じゃないとよ。そうなんじゃろう?」
坂本「、、、」
土方「サムライになる。かならず。サムライになる」
坂本「、、、、」
土方「俺は、あいつらを、俺の誠を守る」
龍馬「わしあ、ただのヘタレのがじゃ髪のしょんべんたれのガキじゃ
女ちゅう、女に、甘えっぱなしのガキじゃあ」
風呂敷から出す、鬼の角
坂本「、、龍馬」
龍馬「坂本君」
坂本「え、」
龍馬「わしが、ぎりぎり、鬼にならんで済んだんは、なんでだったんかのう」
坂本「よせって!」
龍馬「京都のお登瀬、長崎の慶、江戸のさな子、土佐の加尾、芸妓のお元、腰元のお蝶、
旅籠のお国、乙女ねいやん、お栄ねえやん、死んだ母ちゃん。わしら、なんで、生まれて
死ぬのかのう。わしら男は子も産めん。なんかの役に立たんと役にたたんと。そげなこと
に必死になって。いつの間にか、身の程を忘れるんじゃのう。しょせん、甘えちょるんだ
わ。」
龍馬、腹をさす。
オルゴールが、オーケストラの演奏に変わる。
龍馬「おおおおおおおおおおおおおお」
坂本龍馬の咆哮
巨大鬼「ぎゃおおおおおおおおす!」
1「巨大鬼!関所をふみたおし!江戸へ向かっています!」
高杉「鬼どもはどんどんでかくなってく」
井上「あんなかに、平助やらもいるんがか?」
桂「へええ、ありゃあ、なんてばけものだ」
高杉「敵は、外海にあり」
海舟「ちげえねえ」
高杉「あとは、総大将の号令をまつ」
つの「めりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめり」
龍馬、鬼となり、生き返る。ふんばる、足音ダアンン!
心音「どっくん!」
倒れるところを坂本に抱えられる
坂本「龍馬! なんだ、あの怪物は」
吉田「巨大鬼、もうじき江戸へ到達します」
高杉「龍馬、ありゃあサムライどもの、無念じゃ」
海舟「成仏さして、やらにゃあなるめえ」
さな子「でも大砲も効かないんじゃ」
龍馬「さなこ、とうとう鬼になったか」
さな子「千葉道場の鬼小町ですから」
沖田「僕もやっちゃっていいすか」
高杉「新撰組の鬼神も登場というわけだ」
沖田「女に振られて、むしゃくしゃしてるんです」
楢崎「坂本さま!」
龍馬「おりょう!」
楢崎「わたしもまいります」
龍馬「土方ここはひとつ水入りといこう。巨大鬼の頭を落とす」
坂本「どうやって?」
龍馬「それがわからん」
坂本「なんだそれ」
龍馬「おはんも考えろ」
坂本「なんか、そうだ!なんか、でかいもので足下をすくって」
龍馬「でかいもんてなんじゃ!」
吉田「まずい!隅田川にはいる」
海舟「陸にいるうちになんとかせんと!」
坂本「なんか!ほら!トラックとかないの!?」
全員「なんじゃそりゃあ!」
お登瀬「龍馬ああ!」
龍馬「?」
全員「びりびりびりびり」
全員「お、おまえは!」
龍馬「寺田屋お登瀬!!
沖田土方さな子「ばばあ!」
お登瀬「長崎みやげだ、うけとっとくれ」
楢崎「お登瀬さん」
お登瀬「女はね、いくつになっても女なんだよ」
坂本「、、なんだ?」
龍馬「ん?」
坂本「なにか、、、きこえる」
蒸気「シュッシュッシュッシュッシュッシュッ」
坂本「なんだ?」
龍馬「なんじゃこの音は」
アイアン「ドドドドドドドドドドドド」
グラバー「アイアン・デューク2号!長崎からはるばる走ってきましたでー」
大浦「密輸散弾銃ねこそぎゲットー!!」
グラバー「大浦はんの心意気に負けましてーん」
大浦「みんなおのりー!」
全員「おおおす」
龍馬「それでは、みなのしゅう、よろしいか!」
グラバー「サムライ魂、みせてもらいまっさあああ!」
龍馬「目標、巨大鬼!」
グラバー「おもかじいっぱい!!」
大浦「全速力前進ー!!」
龍馬「刀抜いてぇ!」
千葉さな子「江戸千葉道場。北辰一刀流小太刀免許皆伝、千葉さな子」
グラバー「ジャーディン・マセソン商会、死の商人トーマス・ブレーク・グラバー」
寺田屋登勢「京都伏見船宿寺田屋 6 代目女将、寺田屋お登勢」
大浦慶「長崎三女傑、輸出貿易商、大浦慶」
高杉晋作「吉田松陰の懐刀長州藩奇兵隊隊長、高杉晋作」
沖田総司「天然理心流免許皆伝、新撰組一番隊組頭沖田総司」
土方歳三「同じく天然理心流免許皆伝、新撰組鬼の副長土方歳三」
楢崎龍「土佐脱藩浪士、坂本龍馬の妻、楢崎龍」
龍馬「土佐脱藩浪士、坂本龍馬、、、、、?っおい」
坂本「予備校教師、坂本龍人」
遠い遠い空の下、
外国のどこか知らない海。
蒸気を挙げる異国の船に
甲板にあなた、となりに私。
となりに私。
二人どこまでもつづく海原を
まっすぐ見据えて目指すは世界。
わが白波は水平線の向こう」
坂本「これは、、」
群唱「わが白波、わが血潮、わが涙、」
坂本「これはいつ見た、景色だ」
群唱「見えるか、この剣」
坂本「何か」
群唱「見えるか、この刃」
坂本「忘れて」
群唱「見えるか、誠」
坂本と龍馬「すすめええええええええ!!!!」
アイアン「どがっががががががが!!」
坂本「行け!!行けえええええええ!!!!」
アイアン「どがっがががががががががっがあがががががががががああああががががが
あ!!」
▪現代
チョーク「カッカッカッカッ、カッカッ」
明。黒板にチョークで文字を書きながら歴史の授業をする予備校教師の坂本先生。
チョーク「カッカッ、カッカッ」
坂本「えー、黒船到来、ペリー来航、日米修好通商条約、桜田門外の変、生麦事件、薩英
戦争、下関戦争、からの薩長同盟、大政奉還、王政復古、明治維新。でぇ!日本は近代化
の道を辿るわけですよと。」
チャイム「キーンコーンカーんコーン」
坂本「はい今日の講義これでおわーり。じゃ合い言葉ー。さんはい」
予備校生全員「世の人は我を何とも言わば言え 我が成す事は我のみぞ知る」
坂本「はいさいならーはいさいならーさいならーはいきをつけてーはいさよならー」
机の上を片付けて予備校生たち家路につく
女が残っている
楢崎「先生」
坂本「はいなんだろー」
楢崎「、、、、、」
坂本「?はいなんだろー」
楢崎たつこ、すごく見つめている
楢崎「私のこと、おぼえてますか?」
心音「どっくん!!」
戦いの音楽

<了>

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・許可なく上演コピー配布することを禁じます。
・許可については別記
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たくさん台本を書いてきましたが、そろそろ色々と人生のあれこれに、それこれされていくのを感じています。サポートいただけると作家としての延命措置となる可能性もございます。 ご奇特な方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。