『オーライオーライ ~僕なら大丈夫。~』

『オーライオーライ ~僕なら大丈夫。~』

<あらすじ>
田中太郎はひそかに幼馴染みの猪口乙女を愛しているが、内気な彼は言い出せないままだ。そんな事をツユとも知らぬ乙女は猪突猛進。すぐに恋に落ち、失恋する。今日もまた金持ち・綾野小路信長にフラれ、太郎に泣きつきヤケ酒をつき合わせる。とうとう乙女は公務員・片倉聡明と結婚を決めた。絶望した太郎は空港へ、渡せなかったラブレターをキャリーバックに詰め込んで傷心旅行に出る。そこに謎の芸術家・神風マーリーが現れて、彼に不思議なクスリを渡す。

<小道具>
ラブレターは全て太郎の想い
キャリーバッグは様々なものに使われる。

<舞台>
舞台上にラブレターの封筒と書き損じの便箋が
無数にびっしりと散らばっている。


空港の音。

■行く先を悩む太郎。

キャリーバッグを引いて登場する太郎。

太郎: 、、、あーあ。

世界地図を見る。行く場所は決めてない。

太郎; 、、ああ、僕はなんでこう、、イイ人なんだ。

と、出せないラブレターを見る。
照明が変化、太郎の部屋。

■回想。太郎の部屋。出せないラブレター

太郎、一人部屋でさびしく
またラブレターを書いている。

太郎: 乙女ちゃん。あー乙女ちゃん乙女ちゃん。(タメイキ)乙女ちゃん。

渡す勇気がない。
苦悶の表情。
床に散らばるたくさんの歴代ラブレター。
一枚を拾い、中をみる。

太郎: 、、、、

つい苦笑する。
いっその事、捨ててしまおうか。

ピンポーンとチャイムがなる。

太郎: 誰だこんな夜更けに。

玄関を開けるか開けないかのうちに。
乙女、走りこんでくる。

乙女: タロちゃん!
太郎: わ、乙女ちゃん!

慌ててラブレターをしまおうとする。

乙女: なにこれ?
太郎: (ひったくり)なんでもない。
乙女: ふーん。
太郎: どしたの?
乙女: あ、そうだった!きいてよ!!(怒っている)

わちゃくちゃにしゃべるうちに乙女の回想。

■さらに乙女の回想。綾小路信長とオトメ

乙女の回想を見ている太郎。

信長: ごめん。
乙女: こんなに愛してるのに!
信長: だって
乙女: なんでもやってあげたじゃない!
お料理!お洗濯!なんでも!幸せにしてくれるって言ったじゃない!
もうすぐ結婚するって言ったじゃない!ほら、婚約指輪!

信長、婚約指輪を抜き取る。

乙女: え?
信長: 手切れ金。
乙女: どうして。
信長: 君といると疲れるんだ。

お金を渡される乙女。信長退場。
太郎の部屋に戻る。

■太郎と乙女

かんしゃく終わり、お金を地面に叩き付け、踏む。
泣きわめきヒステリーかんしゃく
乙女へたりこみ。キュートな音楽

太郎: えーと、どうしよう。

乙女、乙女チックに泣きながら、お金は拾う。

太郎: (あ、拾うんだ)

乙女、太郎によりかかる。

太郎: (チャ、チャ、チャ、チャンス)

ポケットから書きたてのラブレターを出す。
太郎、ラブレターを渡そうともじもじ。
そこに片倉が通りかかり、乙女ホれる。
勇気を出して差し出すと、乙女がいない。

■タイトル。

神風マーレーキャリーバッグを持って登場。
路上ライブ。

■求婚。

演者たちが入り乱れ、ダンス的、お披露目的オープニング。
乙女、片倉を追いかける。それを追う、信長。それを追う、太郎。
そして悪気なく踏まれるラブレター。それを見てる神風。

■片倉と乙女、愛を誓う。

片倉、役所に出す紙を持ってる。

片倉: サインプリーズ!
乙女: 疲れない!?私といると疲れない!?
片倉: 疲れない!僕はちっとも疲れない!
乙女: ほんと?ほんとにほんと?
片倉: ほんとさ!ほんとにほんとさ!
乙女: うれひい!!
片倉: さ、ここにサイン。
乙女: うん!
片倉: こことここに捺印!
乙女: こことここにも。
片倉: これで僕らの契約はなされた。
乙女: 役所に出すのね

2人ならび、役所に提出。

片倉: さ、次は新婚旅行のプランだ。

新婚旅行のプランを練る。
たくさんの新婚旅行のカタログを出す片倉。
2人退場する。

ガックリと肩を落とす太郎。
傷心旅行に出る事にする。
太郎、キャリーバックを持ってきて空ける。
空のキャリーバックの中に文字が見える。

『オーライオーライ、僕なら大丈夫。』

■ふたたび空港

空港の音。

たくさんの人波にもまれ、転ぶ太郎。
ぶちまけたラブレターを拾い集め、キャリーバッグの中に入れる。

太郎: !!!

そこにイチャイチャ通りかかる乙女と片倉。
片倉、手帳を熱心に見て計画を立てている。
その手にまとわりついている乙女。
2人ともキャリーバックを持っている。

乙女: タロちゃん!
太郎: ああ乙女ちゃん、ぬああああ!!
乙女: 旅行?偶然!
太郎: ぬあああ!偶然!あああ!なんだこの偶然!
ぬああ!最悪!最悪!さよなら!!

太郎、ばつが悪い。
逃げ出そうとするが、

乙女: 何これ(手紙拾う)
太郎: あ、なんでもない!なんでも!(手紙を片付ける)
片倉: だれ?
乙女: 幼馴染みの田中太郎。
片倉: ふーーん(ジロジロジロジロ)
太郎: あのーう

乙女、婚約指輪をひけらかす。

乙女: 婚約者の片倉ソウメイさん。
片倉: 区役所でお固い仕事を毎日してます。(名刺)
太郎: あの、名刺。ちょっとたまたま、名刺がなくて。おかしいな。いつでも持ってるのに。
片倉: ご職業は。
太郎: フリーターです。
片倉: ふーーん(軽蔑)
乙女: あ、飛行機でちゃう!まずハワイ!
片倉: これから新婚旅行の下見に。(たくさんの旅行パックツアー)
太郎: 下見?
乙女: 生真面目なの。じゃね!

乙女、搭乗口へ。

片倉: (耳元ぼそぼそ)傷心旅行ですか?
太郎: な、なぜそれを?

と、太郎のラブレターを一枚渡し、片倉退場。

太郎: あ。、、ああ。

■<冒頭に戻る>相変わらず迷っている太郎。

太郎; 、、ああ、僕はなんでこう、、いくじが無いんだ。

悩みまくる太郎。
決められず、あげくにキョロキョロしはじめる。

太郎: なんか、なんかぼっこみてーなのないか。そりゃ無いか。

後ろの露店・神風に気付く。

太郎: ?あ、傘。傘ください。
神風: (値段の札を見せる)(1000円)

傘を立て、倒す。その傘をこっそり拾う神風。

太郎: 、、こっちは、、北極。今の無し。あれ?

傘が無い。神風、値段の札を裏返す『2000円』

神風: (傘あるよ)
太郎: 2000円?、、ください。

傘を立て、倒す。その傘をこっそり拾う神風。

太郎: 、、こっちは、、ハワイ。、、今の無し。

どこに旅行へ行こうか。
迷い続ける太郎。

神風: 、、、
太郎: ちょっとこれ見ててくれます?
神風: (いいよ)
太郎: そのへん歩いて、考え事してくるので。
神風: (いいよ)

迷いながらも、一旦退場する。

■信長

空港に、金持ち信長登場
太郎と同じ色のキャリーバッグを持ってすれ違う。

信長、太郎と同じ色のキャリーバッグを持ってその後ろを通る。
誰かを探している様子。でかい花束を持っている。

信長: (キョロキョロ)

太郎のキャリーバッグを見つける。

信長: ?(同じバッグだ、、まあいいか)

信長、携帯で電話をかける。

プルルル、プルルル、プルルル

■別の場所の乙女と片倉。★★決断1

照明でエリア分け、別の場所に通りかかる乙女と片倉。
乙女、携帯に気付き、切る。

信長: あ!
乙女: ?!
信長: ちくしょう、切られた。
乙女: (なんでいるの)
片倉: だれ?
乙女: だれでもない!早くいこう、ハワイ!

と、乙女、片倉を押して退場。

信長: (キョロキョロキョロ)
どこに行ったんだ、、右、左、、右!

信長、逆側へ退場。

■神風

一人、キャリーバッグと残る神風。

神風: (いろんなのが来るなぁ。)

口笛をふきながら、
金品を期待し、周りを伺いながらキャリーバッグを開ける。
ザザザっと再び出てくるラブレターの山。

神風: !!?!?

一枚拾う。

神風: (なんだ、手紙か)

と一瞬ガッカリし、捨てそうになるが、

神風: 、、、、

ラブレターを一枚拾い。開けてみると音楽。

■太郎と乙女回想シーン1:乙女ちゃんが引っ越して来た。幼稚園。

(過去の各登場人物はカツラや衣装で別人として信長と片倉が演じる)

幼稚園帽子をかぶり、子供の頃。楽しく遊ぶ。
子供の乙女、2人初対面。楽しく三輪車とかで一緒に遊ぶ。

アホな男子登場(短パン鼻水)、乙女をいじめる。
泣き出す乙女。困った太郎、どうにかして乙女を笑わせる。
笑い出す乙女、楽しい情景。一番良かった頃。

ラブレターを生まれて初めて書く太郎。「結婚してね」。
その間に乙女、一人でどっかにいなくなる。
渡そうと振り返ると乙女はいない。乙女を探して走っていく。

■太郎と乙女回想シーン2:乙女ちゃんが初恋をした。小学校。

神風、2枚目のラブレターを開けてみる。

別のアホな男子登場。(ノリみたいなカツラとか)
乙女かけてくる。コケる。
アホな男子、ウケる。
乙女、ラブレターを渡す。
アホな男子、読む。ウケる。
友達に見せまくる。
黒板に書きまくる。
教室で一人泣き出す乙女。
太郎登場、黒板を消す。
なんとか乙女をなぐさめようとする。
しだいに笑顔になる乙女。
ホッとして、ポケットからラブレターを出す。
とアホな男子が気まずそうに戻ってきて、
太郎、ラブレターをひっこめる。
アホな男子、乙女にあやまる。
手をつなぎ、いなくなる。
太郎、ラブレターを破り捨てる。

■太郎と乙女回想シーン3:乙女ちゃんが失恋をした。中学校。

神風、3枚目のラブレターを開けてみる。

また別な男子、学ランを羽織って髪の気をキメてる。
ガムをクチャクチャ、ツバをペッ。
呼び出された乙女かけてくる。コケ、、ない。
乙女、いちゃつこうとするが振り払われる。
学ラン男子、別れを告げる。乙女呆然。
学ラン男子、退場する。
乙女、泣く。
そこに通りかかる学ランの太郎。
わけを教えて貰おうとするが、
泣いているので取りつくシマがない。
少し上手になった一輪車を披露してみる。
が、成長した彼女はそんな事ではごまかされず。
泣きながら退場してしまう。

■太郎と乙女回想シーン4:それでもぼくは大丈夫。

一人残る太郎、それでも太郎は乙女を想い、
出せないラブレターを書く。
一枚、また一枚と増えていく手紙。出せずに山に。

暗。

■神様の応援。

音楽が消え、明。神風、大袈裟に泣きながらラブレターを読みちらかしている。

太郎が戻ってくる。

太郎: あ!

あわてて隠し、キャリーバッグへ詰め込む。
神風、おかまいなしに抱きしめる。

太郎: うわ!なんすか!

うんうん皆まで言うなと神風立ち上がり、

神風: (ちょっと待ってろ)
太郎: ?

神風、キャリーバッグを持ってくる。
キャリーバッグにはでかく、『神』と書いてある。

太郎: 、、神?

でかいバッグの中に
リゲインのような飲み薬が陳列されている。

太郎: ?
神風: (ほら)
太郎: リゲイン?
神風: (よく読め)

太郎、ドリンクを手に取りよく見ると、
ラベルに『again』と書かれている。

太郎: 、、アゲイン、、何?
神風: (にやり)

神風、耳打ちをする。

太郎: え?!!
神風: (うんうん)
太郎: 、、、、、、もっかい。
神風: (ちゃんと聞け)

神風、ぞんざいに耳打ちをする。

太郎: ええ!!!
神風: (うんうんやっとわかったか虫けらめ)
太郎: じゃあ、(神風を指差し)
神風: (指をさすな)
太郎: !!(拝む)
神風: (ふふふあがめろ。)

神風、神の証的な曲をかなでる。(主は来ませり~とか?)
その様子を見て、太郎、こっそりと居なくなろうとする。
神様すかさず捕まえる。

太郎: 絶対新興宗教だし。
神風: (じゃ、いいよ)

■キャリーバッグ。

と、時計を見ながら
慌ただしく信長が入ってくる。
太郎に写真を見せる。信長と乙女のラブラブ写真。

信長: この女を知らないか?
太郎: あ、乙女ちゃん。
信長: お前が婚約者か?!(胸ぐらを掴む)
太郎: 違う違う!彼女は幼馴染みで、、
信長: なんだ。悪かった。お金をあげる。
太郎: あ、いや、いいです。
信長: もう一つ教えてくれ。あいつはどこへ乗った?
太郎: たしか、ハワイ。
信長: 恩に着る!あ、お金をあげる。
太郎: いや、いいです。あの、どうする気ですか?
信長: 乙女を取り戻す!

信長、太郎のバッグともに退場しそうになる。

信長: !!

が、ギリギリ気がつき、

信長: すまん!

と、自分のバッグとともに退場する。

太郎: あんな勇気があればなぁ、、。って、僕には無理か。
神風: あ。

飛行機が飛び立つ音。
キャリーバッグに乗った乙女と片倉、空へと飛び立つ。
ゴオォオオオオォオォォォォオ。

太郎: あ。

飛行機を見送る太郎と神風
信長、ガックリと肩を落として再登場。

信長: 、、、間にあわなかった。
太郎: 、、そうですか。
信長: 、、、、ああ。
太郎: あまり、気を落とさないで。
神風: (お前が言うな)
太郎: 、、、、、

神風、信長のそばへ。

太郎: ?

againを見せる。

神風: (いかがですか?)
信長: なんだそれ。
神風: (元気が出るよ)
信長: いくら?
神崎: (お気持ちで)
信長: サンキュー

信長、適当に一万円。

太郎: あの、やめた方が
信長: ヤケドリンクだ!

信長、腰に手を当てぐいと飲み干す。音楽。
しばらくストップモーションになる3人。
逆回しのような動き、時間戻りダンス。

■傘take2

世界地図を見る。行く場所は決めてない。
後ろの露店・神風に気付く。

太郎: ?あ、傘。傘ください。
神風: (値段の札を見せる)(1000円)

傘を立て、倒す。その傘をこっそり拾う神風。

太郎: 、、こっちは、、北極。今の無し。あれ?

傘が無い。神風、値段の札を裏返す『2000円』

太郎: !?

妙な違和感。

太郎: あ、デジャブだ。
神風: (傘あるよ)
太郎: 、、、、?、、、、(2000円)

違和感を感じながら、傘を立て、倒す。

太郎: (妙な違和感)
神風: (その傘をこっそり拾うアタシ)
太郎: (ふり向く!)
神風: (あ、見つかった)
太郎: (なんでだこれ?)
神風: (なんででがしょね?ヒヒヒ。にやにやにやにや)
太郎: あ、、、、(ドリンク、、)

神風、ドリンクをちらつかせる。

太郎: 、、、まさか、、(振り向く)

信長、太郎と同じ色のキャリーバッグを持ってその後ろを通る。
誰かを探している様子。でかい花束を持っている。

信長: (キョロキョロ)

太郎のキャリーバッグを見つける。

信長: ?(同じバッグだ、、まあいいか)

信長、携帯で電話をかける。

プルルル、プルルル、プルルル

■別の場所の乙女と片倉。★★決断2

照明でエリア分け、別の場所に通りかかる乙女と片倉。
乙女、携帯に気付き、切る。

信長: あ!
乙女: ?!
信長: ちくしょう、切られた。
乙女: (なんでいるの)
片倉: だれ?
乙女: だれでもない!早くいこう、ハワイ!

と、乙女、片倉を押して退場。

信長: (キョロキョロキョロ)
どこに行ったんだ、、右、左、、右!

信長、逆側へ退場しようと一歩踏み出す。

信長: !?

妙な違和感。

信長: 左!

信長、走って退場。

信長: (妙な違和感!!)

時計を見ながら慌ただしく、太郎に写真を見せる。

信長: この女を知らないか?
太郎: ?乙女ちゃん。
信長: お前が婚約者か?!(胸ぐらを掴む)
太郎: ?だから、彼女は幼馴染みで、、
信長: なんだ悪かったお金をあげる。
太郎: ありがとう。
信長: 教えてくれ。あいつはどこへ乗った?
太郎: だから、ハワイ。
信長: 恩に着る!お金をあげる。
太郎: ありがとう。あの、乙女ちゃんは?
信長: !!

信長、太郎のバッグとともに退場しそうになる。
が、ギリギリ気がつき、自分のバッグとともに退場する。

その様子を見ていた太郎、確信する。

太郎: まてよまてよつまり、えーと。
神風: (ニタニタニタニタ)
太郎: このドリンクは時間をもとに戻せるのか!
神風: (ニタニタニタニタ)
太郎: まだある?
神風: (ない)
太郎: うそつけ!よこせ!
神風: (金)
太郎: 払う払う!
神風: (5万)
太郎: サギ!
神風: (ほなさいなら、店じまい)
太郎: 1万!
神風: (2万)
太郎: じゃ、、1万、、(ポッケをさぐる)、、10円
神風: (みぜじまい)
太郎: 500円!!
神風: (しかたないなぁ)

太郎ドリンクゲット。

太郎: よし、なんかしらんがさっそく飲んでみよう!

と、腰に手を当てると

飛行機が飛び立つ音。
キャリーバッグに乗った乙女と片倉、空へと飛び立つ。
ゴオォオオオオォオォォォォオ。

飛行機を見送る太郎と神風
信長、ガックリと肩を落として再登場。

信長: 、、、間にあわなかった。

そのまま信長、退場。

■ドリンクに不審

ドリンクと、信長と、乙女について考える。

太郎: 、、、。
神風: (さ、帰ろう)

神風を捕まえる太郎

太郎: 意味ないじゃん。これ!
神風: (なんだばかやろう)
太郎: これ!返す!うまく行ってないじゃん!
神風: (しらねぇよそんなん)
太郎: お金!返せ!
神風: (やだ)
太郎: 待てこの!

ふたり、とっくみあう。
神風、ふりほどき、逃げる。
誰もいなくなる舞台。。

■信長

信長、後ろ向きにゆっくり戻ってくる。

信長: 、、、、?、、、?
たしか、俺なんか飲んだような、、。
ここで。ゴクンと。、、、、、
飲んだよな?、、、なんか、、。

ポッケを探る。とドリンクの空。

信長: やっぱり!!!!
、、、、って事はだ。つまりだ。
だれかから、、買った。誰だっけ?

全速力で逃げてくる、神風。そのまま退場。

信長: !?

それを追う太郎、手にドリンクを持っている。そのまま退場。

信長: !!あ!

自分の持ってる空びんと一緒。
ラベルに気付く。
「again」

信長: again、、、リゲインじゃないのか?

全速力で逃げてくる、神風。そのまま退場。

信長: 、、、、あ、、

それを追う太郎、手にドリンクを持っている。
信長、太郎を止める。

信長: 待った!!!
太郎: うわ!なんすか。
信長: それ。
太郎: どいてくださいサギにあったんですから!
信長: それ。
太郎: だから、お金取り戻さないと!
信長: なんだそれ。
太郎: サギですって。
信長: いくら取られた?
太郎: 10500円!つかまえないと!
信長: まて!ほら。
太郎: ?

信長、 1万500円を渡す。

太郎: ?
信長: これで文句ないだろ?
太郎: 、、ええ、まぁ。
信長: なんだそれは。なんで俺も空き瓶を持ってる?
太郎: それはそのう、説明すると長くなるんですが、、
信長: 買おう!
太郎: え?
信長: 買った!!!
太郎: これ?
信長: いくらでも出す!
太郎: でも、サギですよ
信長: いくらだ!言ってくれ!金ならいくらでも、、

キャリーバッグを開けるがと

太郎: だあああ!!

札束の山!!!そして、信長、札束をごそっと渡す。

太郎: え?
信長: やる。
太郎: こ、こんなに!?
信長: それを。
太郎: 、、、
信長: リゲイ、again!
太郎: でもこれあのう、
信長: 売るのか売らんのか!どっちだ!
太郎: いいんすかこんなに?

信長、奪うように取り、
腰に手を当てる。
そして精神を集中し、
どこまで戻るべきかを再検討。

太郎: あのう
信長: 黙れ!どこまで戻るか考えてんだ!
太郎: え?

音楽が聞こえてくる。
神風、
こっそり様子を観にくる。
それに気付く太郎。
神風の口元に微笑。太郎に「見てろ」とばかりの表情。

太郎: え?あ。
信長: よし!!!
太郎: あ、ちょっとまった!!!

グイとおやじ飲み。

太郎: 、、嫌な予感がする。

時間、またしても戻る。

■空港take2

空港の音。

たくさんの人波にもまれ、転ぶ太郎。
ぶちまけたラブレターを拾い集め、キャリーバッグの中に入れる。

太郎: !!!

そこにイチャイチャ通りかかる乙女と信長。
その手にまとわりついている乙女。

乙女: タロちゃん!
太郎: ああ乙女ちゃん、ぬああああ!!
乙女: 旅行?偶然!
太郎: ぬあああ!偶然!あああ!なんだこの偶然!
ぬああ!最悪!最悪!さよなら!!

太郎、ばつが悪い。逃げ出そうとするが、

乙女: 何これ(手紙拾う)
太郎: あ、なんでもない!なんでも!(手紙を片付ける)
信長: だれ?
乙女: 幼馴染みの田中太郎。
信長: (にやり)
太郎: !?、、あれ?

乙女、婚約指輪をひけらかす。

乙女: 婚約者の綾野小路信長さん。
信長: 金持ちやってます(金時計)
太郎: あれ?、でも、、あれ?
信長: 貧乏人ですか。
太郎: はい、あの、でも、、あれ?。
乙女: どしたの?知り合い?
太郎: えっと。
信長: まさかまさか。
乙女: あ、飛行機でちゃう!まずハワイ!
信長: これから新婚旅行の下見に。(たくさんの旅行パックツアー)
太郎: 下見?
乙女: お金持ちなの。じゃね!

乙女、搭乗口へ。

信長: (耳元ぼそぼそ)なるほど。そういう事か。
太郎: あの、、まさか、、。

と、太郎のラブレターを一枚渡し、

信長: あと、これ。返しとく。

ドリンクの空瓶をそっと地面に置き、信長退場。

太郎: あれ?一体何が、、、起こったんだ、、

■種明かし

神風登場。傘。

太郎: 、、、、
神風: ?
太郎: 、、、、

ドリンクと神風を見比べる。
太郎、神風に説明をもとめ、すがりつく。

太郎: 一体何が起こった?なんか変だ!
神風: (つまりぃ)

神風、ラブレターをユビさし。
照明、音楽、冒頭の回想

■求婚take2。

演者たちが入り乱れ、ダンス的、お披露目的オープニング再び。
乙女、片倉を追いかける。それを追う、信長。それを追う、太郎。
そして悪気なく踏まれるラブレター。それを見てる神風。

■片倉と乙女、愛を誓うtake2。

片倉、役所に出す紙を持ってる。

片倉: サインプリーズ!
乙女: 疲れない!?私といると疲れない!?
片倉: 疲れない!僕はちっとも疲れない!
乙女: ほんと?ほんとにほんと?
片倉: ほんとさ!ほんとにほんとさ!
乙女: うれひい!!
片倉: さ、ここにサイン。
乙女: うん!
片倉: こことここに捺印!
乙女: こことここにも。
片倉: これで僕らの契約はなされた。
乙女: 役所に出すのね

2人ならび、役所に提出。

■信長again

と、そこに大きな花束を持った信長登場する。

乙女: !!
片倉: だれだ君は!?
信長: 綾野小路信長!
乙女: 信長くん、、
信長: 、、君と一緒になるための男さ!
片倉: なんだとお!!?

キマった信長。
揺れる乙女の心。
信長、チラチラと求愛の言葉メモを見ながら、

信長: 悪かった!許してくれ!君といると疲れるなんて!
ああ、僕はなんてひどいことを言ったんだ。
君のいない人生など考えられない!
君がいなけりゃ夜は暗い!春の光の中も、とてもくらーーい!
ああ、許してくれ。
神様、もう一度、もう一度許されるものならば、
もう一度誓おう!ジーザス!
僕は僕のすべてをかけてでも君を幸せにしてみせる!
あーめん!なんみょうほうれんげきょう!!!

乙女揺れたあげく、
役所に出す予定の紙を、

乙女: ごめんなさい!
信長: よし!

やぶる。

片倉: うええええええええええええ!!!

乙女、信長、一緒に退場する。
一人、よくわからない片倉。

片倉: 、、、、

やぶられた書類をかきあつめる。

片倉: 一体、私に、何が起こったというんだ、、、。

手の中の婚姻届けをにぎりしめる。

片倉: 、、、ちくしょう。ちくしょう。ちくしょう。

湧き上がる憎悪。
ふと、舞台上にあるagainを見る。

片倉: 、、、、、?again?

空港の音が聞こえてくる。暗。

■片倉の復讐

地面に置いてある空の瓶
を見つめている太郎と神風。

神風: (というわけだ。)

神風、太郎の肩をポンッと叩く。

太郎: 、、ああ、僕はなんでこう、、要領が悪いんだ。
神風: (うんうん、頭いいよあいつ。うんうん)
太郎: 、、、、、、、

しばし悩む太郎。

太郎: くれ!!いくら?
神風: (20000円)
太郎: 、、、サギ!!
神風: (みせじまいー)
太郎: わかった!はい!(渡す)
神風: (まいどどうも)

ドリンクを手に。
腰に手を当て、、、、、、しばし悩む太郎

神風: (決断力がないんだな、こいつは)
太郎: よし、、よく考えよう、、えーっと。
どこまで戻る?
えーと。空港。いや、、、傘、、いや。役所、、いや。プロポーズ。いや。
うーん。ちょっとバッグ見てて。
神風: (いいよ)
太郎: そのへん歩いて、考え事してくる。
神風: (またか)

太郎、悩みながらも退場しかける。

■片倉

空港に、片倉登場
太郎と同じ色のキャリーバッグを持ってすれ違う。

太郎: 、、、、あれ?

太郎、片倉に気付き立ち止まる。様子を観る。
片倉、誰かを探している様子。書類を持っている。

片倉: (イライラキョロキョロ)

片倉、携帯で電話をかける。

プルルル、プルルル、プルルル

■別の場所の乙女と信長。★★決断1

照明でエリア分け、別の場所に通りかかる乙女と信長。
乙女、携帯に気付き、切る。

片倉: あ。
乙女: ?!
片倉: くそ。
乙女: (なんでいるの)
信長: だれ?
乙女: だれでもない!早くいこう、ハワイ!

と、乙女、片倉を押して退場。

片倉: (キョロキョロキョロ)
どこに行ったんだ、、右、左、、右、いや、左!、右か?、、うーん。
あ。
太郎: はい?
片倉: 、、

太郎に写真を見せる。片倉と乙女のラブラブ写真。

片倉: この女を知らないか?
太郎: 知ってる
片倉: ほんと?!(胸ぐらを掴む)
太郎: 幼馴染みですってば。
片倉: すまなかった。私、こういうものです。
太郎: 知ってます。
片倉: あいつはどこへ乗った?
太郎: ハワイ。
片倉: ありがとう、私、こういうものです。
太郎: 2枚もいらないです。あの、どうする気ですか?
片倉: 裁判だ!
太郎: 裁判?
片倉: 一方的な婚約破棄!
太郎: そんな殺生な、、
片倉: 婚約がなされ、かつその婚約を一方が
正当な理由なくして解消した場合には裁判に持ち込むことが出来る!

片倉怒りながら、太郎のバッグとともに退場しそうになる。

太郎: バッグ!
片倉: なに?
太郎: それ僕の。
片倉: ご免!

片倉、自分のバッグとともに退場する。

太郎: 裁判?
神風: (そう言ってたね)
太郎: そんなのあり?
神風: (あるよ)
太郎: 大変だ、、、
神風: あ。

と、飛行機が飛び立つ音。
ゴオォオオオオォオォォォォオ。

肩を落とす様子でもなく戻ってくる片倉。

太郎: あ。
片倉: 、、、

片倉、地面に正座をし、自分のキャリーバッグを開ける。
内容証明などなど訴訟に必要な書類をテキパキと見ながら、
電話をかけはじめる。

太郎: あのー
片倉: あ、番号案内お願いします。
太郎: あのー!
片倉: なに?
太郎: どうするつもりですか?
片倉: 訴える。裁判所。慰謝料ふんだくる。
太郎: ちょっと待った!!!

太郎、携帯をひったくり。

太郎: 書け直します!(切る)
片倉: おい何するんだ君!
太郎: ちょっと落ち着きましょう。
片倉: 落ち着いているよ。
太郎: 考え直しましょう。
片倉: 考えたあげくの、戦争だ。
太郎: 平和に行きましょう。
片倉: これが一番平和的な解決だ。
太郎: いや、でもあの。
片倉: 君こそ失礼じゃないか、返せ。
太郎: いや、あの、でも、その。えーと。あ、なんですかそれ?
片倉: 説明したら返すか?
太郎: はい、いえ、たぶん
片倉: どっちだ!
太郎: ハヒ!

片倉: これが婚約指輪(鑑識のビニールに入ってる)
2人: 、、、
片倉: これが君と交わした約束の数々のプリントアウト(奇麗にファイリング)
2人: 、、、、
片倉: これが内容証明(クリアファイル)
2人: 、、、、、
片倉: これが無惨にも破られた婚姻届け(貼り直されている。)
2人: 、、、、、、
片倉: そしてこれがあの日、婚約破棄の映像(ビデオテープ)
太郎: 映像?!
神風: 、、、、(再生)

神風、VTRを再生する。
太郎、神風、見守る。

■<VTR>

くるくるとまわりながら乙女登場。

2人: うふふふ!あはははは!うふふふふ!あははは!
片倉: 僕たち婚約したんだ!
乙女: そうね!婚約したのね!
片倉: 僕は君のことを裏切らない
乙女: うれひい!
片倉: 君も僕の事を裏切らないね?
乙女: もちろん!
片倉: 彼女は僕の事を決して裏切らない!
くり返す!彼女は僕の事を決して裏切らない!
乙女: どうして繰り返すの?
片倉: ちゃんと録画されてるように。
乙女: ろくが?
片倉: とにかく!彼女は僕と今日この瞬間に婚約をした!
つまり、彼女は僕の事を決して裏切らないと約束をした!
わっしょい!わっしょいわっしょい!
2人: うふふふ!あはははは!うふふふふ!あははは!

神風、VTRを止める。くるくるとまわりながら乙女退場。

■裁判を回避

2人: 。。。。。
片倉: これは裁判で重要な証拠になるぞ。
太郎: おっとろしい人だ。
片倉: 返せ!
太郎: ハヒ!(携帯を返す)
片倉: 口出し無用。
太郎: まいったな。
片倉: あ、番号案内お願いします。
太郎: どうしよう。
神風: (さあね)
太郎: こんな事になるくらいなら、
まだこの人と一緒になった方がいいよ。
神風: (どこまでイイ人なんだ君って)
太郎: なんか良い方法はない?どらえもん!
神風: (どらえもんじゃねぇーし)
太郎: !!!そうだあ!!

太郎、ポケットからagainを出す。

片倉: あ、もしもし。
太郎: (携帯をひったくり)間違えました!
片倉: 一体なんなんだ!
太郎: ちょっと待った!

太郎、腰に手を当て

片倉: ?あ、それ。
太郎: again!!

太郎、ぐいっとおやじ飲み。
時間、またしても戻る。

■空港take3

電話の音。プルルル、プルルル、プルルル

■別の場所の乙女と信長。★★決断2

電話をしている片倉。
照明でエリア分け、別の場所に通りかかる乙女と信長。
乙女、携帯に気付き、切る。

片倉: あ。
乙女: ?!
片倉: くそ。
乙女: (なんでいるの)
信長: だれ?
乙女: だれでもない!早くいこう、ハワイ!

と、乙女、信長を押して退場。

片倉: (キョロキョロキョロ)
どこに行ったんだ、、右、左、、右、いや、左!、右か?、、うーん。
あ。あれ?

妙な違和感。

太郎: ちわ!
片倉: 、、

太郎に写真を見せる。片倉と乙女のラブラブ写真。

片倉: この女を知らないか?
太郎: 知ってる
片倉: ほんと?!あれ?(胸ぐらを掴む)(妙な違和感)
太郎: 幼馴染み!
片倉: すまなかった。私、こういうものです。あれ?(妙な違和感)
太郎: ありがとう!
片倉: あいつはどこへ乗った?(妙な違和感)
太郎: ハワイ。
片倉: ありがとう、私、こういうものです。あれ?(妙な違和感)
太郎: 2枚もありがとう。どうする気です?
片倉: 裁判だ!
太郎: 婚約の証拠品は?
片倉: このバッグの中にある!
太郎: よし!!!(ガッツポーズ)

片倉怒りながら、太郎のバッグとともに退場しそうになり。

太郎: (行け、そのまま行け)

片倉、立ち止まる。

片倉: 、、、、え?なにが「よし!!!」?
太郎: やべ。
片倉: なんか、、デジャブなんだけど。
太郎: わぁ!早く行かないと!飛行機!
片倉: あそっか!失敬!

片倉、太郎のバッグとともに退場する。

太郎: 、、よし!!

太郎、急いでバッグ確認。指輪、内容証明、ビデオ、婚約届け。

太郎: よし、全部ある。
神風: 、、
太郎: これで、乙女ちゃんは訴えられない。
神風: (なんか、いじましいね)

優しい音楽が聞こえてくる。

太郎: え?なんか言った?
神風: (大丈夫?)
太郎: なにが?
神風: (君)
太郎: え?僕?どして?
神風: (それでいいのかなぁって)
太郎: 全然いいよ。
神風: (平気?)
太郎: まぁ、いつもの事だから。
神風: (いつも?)
太郎: そう、いつも
神風: (そうかなぁ)
太郎: 中学のときも、高校のときも、大人になってからも。
たぶん困ったらまた僕のところに相談しにくるだろう。
神風: (それでいいの)
太郎: いいよ。
神風: (今度は結婚だよ)
太郎: 、、、、、、
神風: (大丈夫?)
太郎: 大丈夫大丈夫。きっと幸せになるだろう。
神風: (君のはなし)
太郎: ああ、、、僕なら、、

太郎、口ごもる

太郎: 、、、、、
神風: (これ)

神風、againを差し出す。

太郎: なに?
神風: (サービス)
太郎: 、、、、いいよ。
神風: 、、、(いいから)
太郎: 、、じゃ、いちお。

太郎、againをポッケにしまう、
神風、帰り支度。

太郎: 行く?
神風: (まーね。いちお神様だから忙しいし)
太郎: そーか、どうもありがとう。

神風なにか言い出そうとするが、

神風: 、、、、(はい傘)
太郎: ありがとう。
神風: 、、、、

神風退場する。

一人になった太郎。
片倉のキャリーバッグを見る。
寂しく笑う。

太郎: 、、、、ははは。
これ、どうしよっかなぁ。

傘をまた倒してみる。

太郎: 、、、、、。

倒れる傘の方向を見向きもせずに虚空を見つめる。
キャリーバッグをみる。

太郎: 、、、どっか行ったからって、なんか、変わるんだろうか。

と、飛行機が飛び立つ音。
ゴオォオオオオォオォォォォオ。

太郎: 、、乙女ちゃん。

■信長の反逆

信長がわたわたと走りこんでくる。
キョロキョロと誰かを探している。
慌ただしく信長が入ってくる。

太郎: ?!
信長: あああ!居た!おい!
太郎: あれ?えっと。おかしいな。
信長: やられた!
太郎: あれ?飛行機に乗ったんじゃ?
信長: やられた!
太郎: え?
信長: 、、、、もう、終わりだ、、!!

信長、がっくり膝をつく。

太郎: どういう事?!

信長の回想

■回想:空港take3の続き

電話の音。プルルル、プルルル、プルルル

別の場所の乙女と信長。
電話をしている片倉。
照明でエリア分け、別の場所に通りかかる乙女と信長。
乙女、携帯に気付き、切る。

片倉: あ。
乙女: ?!
片倉: くそ。
乙女: (なんでいるの)
信長: だれ?
乙女: だれでもない!早くいこう、ハワイ!

と、乙女、信長を押して退場。

信長: だれ?
乙女: だれでもない誰でもない。
信長: 太郎くん?
乙女: え?
信長: 田中太郎。さっき会った。とっぽい。優柔不断の。
乙女: まさか。
信長: まさか?
乙女: タロちゃんは幼馴染みだから。
信長: だからなんだ
乙女: そういうんじゃないし。
信長: そーなのか。
乙女: 肉親みたいなもん。
信長: そうか。お前、知らないんだ。かわいそうに。
乙女: え。なにが?
信長: いや、なんでもない。
じゃ、誰だ。電話。
乙女: だれでもないよ。早く行こう。ハワイ。
信長: じゃ、片倉ソウメイだな。メガネの。公務員の。会社員か?
乙女: 、、え
信長: 図星だな。
乙女: ほら、飛行機乗り遅れちゃう。
信長: 飛行機なんていい。決着をつける。
乙女: いいよそんなん。
信長: 男は引き際が大事だ。そう言ってやる。
乙女: ちょっと何言ってんの、やめよーよ。

片倉。

片倉: 乙女さんー!やあ偶然じゃないですか、どちらへ?ああ、ハワイ?
ちょうど良かった。折り入ってお話があるのですよ。
電話きっちゃうんだもんまいっちゃうなぁ。

信長、乙女をかばう形になり、

信長: おいみっともないぞ貴様。
往生際が悪いとはこの事を言う。
男なら男らしく、あきらめろ。
空港まで来て、なんだ。
ストーカーか!
片倉: なんとなく君に言われたくないな。
信長: うるせぇ
片倉: さて、乙女さん。
乙女: あの、飛行機が。
片倉: すぐ済みます。
あなたに確認をしたい事がある。
乙女: 確認?
片倉: 本当に僕との婚約を破棄し、
この男と結婚するつもりなのか?
信長: そのとうりだ。ほらタクシー代をやろう。
これでおとなしく帰りたまえ。

信長、1万円渡す。

片倉: あ、ありがとうござい、、いるか!あっぶね!お前に聞いてねぇ!
信長: ほう。
片倉: 乙女さん!もう一度聞く!
本当に僕との婚約を破棄し、
この男と結婚するつもりなんですか!?
信長: ほら、2万やるよ。帰れ。
片倉: いらん!!乙女さん見ましたか?!こういう奴ですよこいつは!
なんでも金で解決するような、そういう奴なんですよ!
信長: 何を言い出すんだこの男は。
片倉: 君は高価なバラの花に目がくらんだだけだ!
忘れたのか乙女さん!
あなたはこの男に一度、捨てられているんだ!
こいつは君になんて言った?
僕はしっかりと覚えている!
「君といると疲れる」
そんな事を言ったんだよ?

乙女、信長を見る。

信長: 、、どうした?
乙女: 、、、
信長: まさかこんな奴の言うことを真に受けるのか?
乙女: 、、、、、

片倉に向き直り、

乙女: 、、ごめんなさい。
片倉: じゃあ裁判だ!
信長: なに?

片倉、キャリーバッグをばん!と叩き、

片倉: ここに証拠がある!僕らは正式に婚約していたのにも関わらず
君は一方的な理由でその婚約を破棄した!
信長: ばかばかしい!
片倉: 裁判で君に勝ち目はない。
それでもいいのか?!
信長: 、、、、、、なにを言い出すのかと思ったら。
乙女: 、、え
信長: なんのことはない、慰謝料を請求したいというわけか。
片倉: そうじゃない!
信長: いくらだ!

信長、ガバっとキャリーバッグを開けるとそこには札束。

4人: !!?
信長: いくらだ。言ってくれ。いくらでも持っていくといい。
片倉: え、、あ、、、
信長: いくらだ。100万?200?500でどうだ?
片倉: 500万!?
信長: ほら、お金をあげよう。

500万を渡される片倉。

乙女: 、、、、、、。
信長: これはお茶代100万、
これはタクシー代100万、
これはほんの気持ちだ300万。

信長、追い打ちをかけるように片倉のポケットにお金をさしこむ。

片倉: 計、1000万、、
信長: 満足か?では俺たちは忙しい。じゃーな。
片倉: 、、、1000万、、だって?
乙女: 、、、、、、
信長: 行こう乙女。しょせんこいつも金の前には目がくらむ。
どら、その証拠とやらを見せて貰おう。乙女、開けろ。

乙女: 、、、、

乙女、キャリーバッグを開ける

乙女: え?

中にギッシリつまっているラブレターの山。

信長: なんだこりゃ。
片倉: 、、あれ?
乙女: これ、、
信長: なんだこれ?ラブレター?
片倉: あれ?
乙女: こんなにたくさん。
信長: 笑わせるな。これが証拠か?
片倉: えっと、あのー
乙女: あたしに?
2人: おや?
乙女: あたしに?!
片倉: そ、そーだ!その通り!
これが君への愛の証拠だ!
乙女: 片倉さん!!

乙女、片倉にとびつく。

信長: え?!

と、飛行機が飛び立つ音。
ゴオォオオオオォオォォォォオォォォォオーー!!!!

と同時に現われる太郎。

太郎: 乙女ちゃあああああああああん!!

そして、乙女をお姫様だっこで去っていく片倉
乙女、途中で婚約指輪を抜き取り、信長に渡す。

信長: うえええええええええ!!!??

乙女、ラブレターの入ったキャリーバッグを引いて退場。

■回想戻り。

照明戻り、がっくりと肩を落としている信長。

太郎: 、、、、、そうか。
信長: ぶざまだ。笑えよ。
太郎: あれ?じゃあ僕のラブレターは?
信長: あ!あいつ!!

そこに神風が登場する。

信長: くれ!あのクスリをくれ!again!!
神風: (いいよ)

適当に金を払う信長、腰に手を当て

信長: よし!

そこに片倉が登場する。

3人: ?!

片倉

片倉: やられた!
太郎信長: あれ?飛行機に乗ったんじゃ?
片倉: やられた!
太郎信長: え?
片倉: 、、、、もう、終わりだ、、!!

片倉、がっくり膝をつく。

太郎: どういう事?!

■回想

ゴオォオオオオォオォォォォオォォォォオーー!!!!

と同時に現われる乙女。
そして、乙女をお姫様だっこで機内に連れていく片倉

機内の音。「シートベルト、エマージェンシィ、サンキュウ、」

2人、並んで座り、そろそろ飛行機が動き出す。
たくさんのラブレターを次々にチェックする乙女。

片倉: しあわせだなぁ。僕は君といることが、なによりも、、どしたの?
乙女: 、、、、、、

不意に立ち上がり。

片倉: どしたの?

乙女、平手うち。バシィイイ!!

片倉: え?

乙女、キャリーバッグを持って退場する。
一枚落ちてるラブレターを拾い。

片倉: 、、、、、、

裏を見ると

■回想戻り

片倉: うえうえううえううううええええうえうい!!!
太郎: あ。
信長: 何がどうなったって?落ち着け。
片倉: バレた。
太郎: なにが?
片倉: ココ。

ラブレターのうらに差し出し人の名前が書いてある。
「田中太郎」

太郎: ああああ。
信長: うひゃひゃ!でかした!
片倉: てめえ律儀に名前なんて書きやがって!
信長: そらそーだ!ざまーみやがれ!
片倉: もうちょっとで彼女はおれのものだったのに!!!
信長: あ?やんのかこのやろう

にらみあう2人。

神風: (fight!!、カ-ン!)

とっくみあいになる2人

太郎: ちょっと待った!!!!すとっぷ!ちょっと待った!
2人: なんだ。
太郎: じゃあ、、、他のラブレターは?!!!
信長: 読んでんじゃない?
太郎: 乙女ちゃんは?!
片倉: 飛行機だろ?
太郎: 、、うわわあああああ!なんてことになったんだ!!!

太郎、駆け出す。退場。

2人: 、、、、?、、、、ま、いっか。
神風: (fight!!カーン!)

再び、とっくみあいになる2人

神風: (やれやれ、商売でもするか)

露店を開きはじめる神風。信長、勝つ。

信長: ふん、そーしてろ。負け犬め。

信長、腰に手を当てagainを構える、どこまで戻るか考える。

信長: 、、、、ぶつぶつぶつぶつ
片倉: 、、?それ。なにしてる?
信長: 黙れ!どこまで戻るか考えてんだ!
片倉: あ!!

againをひったくり。

片倉: これええ!!! again!なんか妙な違和感があったんだ!
信長: え?ななななに?
片倉: あああ!やっぱりそういう事か!
信長: え?
片倉: again!なんかおかしいと思ったら!
これか!これのせいか!?そうなのか?!
信長: なんの話し?

神風、つかつかと歩み寄り、耳打ちする。

神風: (かくかくしかじか)
信長: おいいいいいいい!!!!!!!
片倉: てめえこのやろう!ぶっ殺してや、、、

コト、コト、コト、コト、

信長: ?

神風、たくさんのリゲインをコトコト地面に並べている。
コト、コト、コト、コト、

片倉: ?、、、、ああ!!!
信長: え?
神風: (はい、らっしゃいらっしゃい)
片倉: again、、、

しっちゃかめっちゃかなハードな音楽が鳴り、
混乱の予感。

2人: 、、、、、、、、、、、、、

2人同時にagainに手を出し、呑む!
繰り広げられる、まるで早回しの過去。
失敗するたびに塗り替えられる過去。
どんどん遡る。
乙女の取り合いダンス。
乙女はagainを呑んだ者の手に。
乙女はagainを呑んだ者の手に。
乙女はagainを呑んだ者の手に。
乙女はagainを呑んだ者の手に。
乙女はagainを呑んだ者の手に。
まるでモノのように扱われる乙女。
いつの間にか、疲れていく乙女。
行き来するたびに飛び散る太郎のラブレター。
太郎、その3人の気配にまるで気付かないように、
必死になって空港で乙女を探している。

■やっとこ出会う。

乙女: 、、だれか。

乙女が力つき、人形のようになったその時、
太郎、乙女を見つける。

太郎: 乙女ちゃん!!!!!!!!

音楽が止まり美しい照明。
2人だけの異空間。
まわりの全て、止まっている。

乙女: 太郎ちゃん、、
太郎: 、、、、、

乙女。太郎の手にすがる。
安堵の表情の乙女。
しかし、太郎の表情は固い。

乙女: ごめんなさい。あたし全然知らなくて。
あたし、知ってたらこんな、バカなことになっていなかったのに。
太郎: そう?
乙女: うん。知ってたら、あたしは迷わず太郎ちゃんのとこへ。
太郎: 、、、、、そうかな。
乙女: 、、、太郎ちゃん?
太郎: じゃ、

太郎、ポケットからagainを取り出す。

乙女: ?
太郎: 試してみようか。
乙女: 、、、、、、え?

太郎、againをゆっくりと呑む。

乙女: 太郎ちゃん?

暗。

ここから先は

1,029字

¥ 100

たくさん台本を書いてきましたが、そろそろ色々と人生のあれこれに、それこれされていくのを感じています。サポートいただけると作家としての延命措置となる可能性もございます。 ご奇特な方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。