リミテッド大予想「イニストラード:真紅の契り」反省編

概要

 この記事は、フルスポイラー公開直後にしたためた「イニストラード:真紅の契り」(以下VOW)のドラフト環境予想記事を見返して、それを実際にプレイしてみたりメタゲームのデータを見たりした結果と比較し、予想の精度や予想外だった点について反省する記事です。

前提

・ドラフトルールに関しては、特記がない限り、MTG ARENAにおける「プレミア・ドラフト」を想定しています。
・この記事は、筆者の主観で分析されたものであり、その正当性を保証するものではありませんが、頑張って分析しています。
・リミテッド環境に対する考察であるため、レア・神話レアのカードは出現率が低いものとみなし、考察の対象はコモン・アンコモンのカードが中心になります。
・本ページに記載されている画像はすべて、マジック・ザ・ギャザリング公式サイト(https://magic.wizards.com/)を出典としています。特に、以下のページからの引用を含みます。

 反省編、めちゃ遅くなってしまいましたが書きます※1。あとメインストーリー超良かったので読みましょう。

環境

 アグロが強いですが、それでもMIDとは異なり遅めの展開が許される環境です。具体的には、装備品を出したりオーラをつけたりする余裕がある環境(解呪効果持ちがサイドインするくらいにしかないというのもありますが)ですね。
 あと、ボムレアが多い。リミテッドだと対処不能のレベルのボムレアが散見され、優勢な盤面を築いていたが出されて負けという展開が現実的に起こり得ます。具体的には「戦慄宴の悪魔」「蝕むもの、トクスリル」「船砕きの怪物」「アヴァブルックの世話人」あたり。それ以外にも、ボム級のレアが結構あり、レアの引きによって大きく勝率が上がることも結構ある環境です。なので逆に、相手のレアに即座に撃てる単体除去があるとないとで運命が分かれるシーンもちらほらあることでしょう※2。
 それではこれを踏まえて記事自体の反省へ。

#1 環境俯瞰編

 元記事はこちら
 パワー・タフネス分布は結構的を射ていましたね。「カタパルトの有象無象」はしんどかった。実際、卓に1人なら黒ベースのタフネス寄りデッキが十分現実的なものとして成立する感じでしたね。「大食の客人」も優秀でした、壁として支えつつ、地味にライフゲインする。

「マナレシオ1が優秀」説は概ね適切でしたが、環境を定義する理由にはならなかったですね。でも熊に便利能力がついている「歩兵」は超強かったです。

 除去に関しても分析は妥当。赤の除去の充実が、赤含むアグロをのさばらせた柱の一本です。評価をミスっていたのは黒。「やや見劣り」評価していましたが、MIDよりは控えめとはいえ「骨の髄まで」と「牙の天稟」は結構優秀で、アンコモンの除去も使い勝手がよく、「並」かそれ以上、★3つか4つでしたね。特に「天稟」はBR吸血鬼アグロで真価を発揮するカードで、そうなると赤黒が強いよねってのがすぐわかるわけですよ。
 青の打ち消しは、主に「中略」を何度も見ました。フルタップの行動を2マナで止める動きには何度か遭遇、逆に青相手に警戒して常に1マナ余らせる行動をしていたら後半に相手が中略を捨てる動きをすることも。

 また、青の評価に「打ち消しが優秀。着地したクリーチャーは、直接除去はできないが、戦闘で落とせる目がある。」とか書いてますが、これもまあまあ的を射ていましたね。つまり青のバットリはちゃんと採用されていて、警戒が必要だった。ですが青はアグロではなく、地上を止めつつフライヤー(or「排水路に潜むもの」)で殴り切る構成で強かったので、フライヤーを生き残らせるために「うねる待ち伏せ」や「安全の揺り籠」を使う(使われる)も結構ありましたね。

#2 メカニズム理解・単体カード評価編

 まず比較的誤っていた点として、「慈愛の祖霊」はトップコモンというほどではなかったですね。確かにライフゲインでダメージレースを覆したり調整したりはできて強かったですが、2/3では中々攻めに回れず、フライヤーには触れられずに腐ることもしばしば。
 白で上げていたクリーチャー群はどれも普通に優秀でした。「盾殴り」はパワー4で死なずに殴れるので1枚は欲しい強さ。逆に、トップコモン級に強かったのに名前を挙げていなかったのが「旅する聖職者」。打点を上げて相手の壁を突破できるラインにしたり、訓練の師匠を作り出したり、そのくせライフゲインもする。あまりにも強い。存在には気付いてたのにこれを評価に入れていなかったのが、見る目が甘いですね。

 あとは100枚ピックしてもいいコモンとして「教区刃の見習い」。白系のアグロデッキで光り輝く強さ。一回訓練すれば2/3, それで落とされてもバフを味方に残す。この子と聖職者をとり、赤の除去や軽いクリーチャーと合わせたRWアグロで7勝を2回しました。

 青の分析は結構いい感じ。唯一、アンコモンまで見ているのに見落としていたのは「鳴き叫ぶ大群」。6マナと重いから敬遠したが、4/4と壁にもなるスタッツ、そして死んでもデッキに戻ってこられる再利用性、フライヤー頼みのミッドレンジの優秀なフィニッシャーです。逆に、高めに評価してたフライヤーの中では、「放浪光の魂」は使い勝手はやはり悪目でしたね。

 黒は、苦労しそうとか書いてますが、全然やれましたね。筆者の挙げてるカードのチョイスは悪くない。ただ「エドガーの覚醒」はディスカードできるデッキでしか輝かないので汎用ではなかった。挙げてなかったカードでは「血の泉」がいつでも腐らず、アドバンテージも増やしたりと1枚は取りたいカードでした。

 赤、「夜明けの戦闘員」は、でたターンの仕事としては普通に優秀でしたが、後が続かないのはやはりネックでした。あと「祖先の怒り」はいまいち活かせなかったなあ、強く使えそうな気もするんですが。赤サリアは強かった。あと「バリスタ」はトップアンコモンでしたね。ティム最強。そして完全に見落としていたのは「魅惑する求婚者」。簡単に裏返ってマナ加速やパンプ、出されて弱い盤面はかなり少なかったですね。

 緑は「」が良かったですね。タフ修整がある装備品、おまけにフラッドした土地をトランプルに変換もできる。「棘茨の鎧」も、MIDでは出番なかったですが、今回はそれなりに戦えました。装備品が優秀という認識はあたっていたと思います。
 総評は、黒がやたらと評価低いのだけ★+2したい。それ以外はまあ順当かと。
 なお、「板塞ぎの窓」はまあ遅いデッキなら使える感じでした。

#3 アーキタイプ編

・WU(白青):スピリット・オーラ
塩水漁り」は使えませんでした。普通に弱かった。でも基本戦術や方向性については妥当でした。まあ「嵐追いのドレイク」「残酷な目撃者」は、単体でも仕事するフライヤーなんで、アーキタイプカードではなく、アーキタイプでならなお強く使える汎用カードですね。

・UB(青黒):ゾンビ・濫用
「青の飛行や黒の威迫、青降霊の回避能力オーラで攻める感じ」とか予想してるけど何いってんだって感じですね。でも「ランタン」は濫用に入るんでフィニッシュのルートとしてはあったか。濫用がうまく勝てる場合の勝ち筋って、マルチアンコモン「髑髏スカーブ」を2体とか並べて死ぬほどゾンビ出したり、「貯蔵スカーブ」で「骨の髄まで」を使いまわしたりとかいう動きなので、デッキ構築難易度が高かった。よって、参入動機が見つけにくく、うっかりマルチアンコモン1枚で入って2枚めも除去も取れなかった日には大爆死でした。

・BR(黒赤):血・吸血鬼
 吸血鬼、流石にパックの顔だけあって強いですね。「血花」「客人」「社交家」、そして「祝賀者」(5マナの方)でガンガン攻め立てて行くという予想通り、でも勝率等を見るにTier2ではなくTier1と呼ぶのが正しいでしょう。お見事!一方で…

・RG(赤緑):狼・狼男
 こちらは、中レベルの強さかと思っていたら、17Landsの統計データではトップとは言わずとも上位の勝率。意外でしたが、実際に使ってみると、まず狼で固めることにメリットが大きい軽量コモン・アンコモンの存在(「飢えた峰狼」「ルーン縛りの狼」「群れ歌の子狼」)の存在が嬉しい。そしてアドを稼ぐマルチアンコモン「群れの仔」、あとはまあ赤の優秀な除去とアグロクリーチャー共。アーキタイプではないと強くない赤青用クリーチャーを擁したりする赤ですが、それでもアグロ力の高さは十分で、そこに狼シナジーが合わさって戦える強さを発揮していました。「1ターンでも速く重いクリーチャーが出したいので、中速アタッカーとマナクリが肝」とか言ってましたが、順当に序盤から殴るアグロでした。

・GW(緑白):人間(訓練)
 悪くないんですがイマイチ冴えなかったですね。参入動機がマルチアンコモンになるというのはやや過大評価ですが、参入パターンの分析は順当。緑はそれ自体で取りに行きたい色ではなかったですからね。

・WB(白黒):ライフゲイン
 黒を過小評価している自分の文章が出るたびちょっと恥ずかしくなりますね。普通に強かったです。ダメージレースを破壊して粘りがち、下手すれば切削やドローを繰り返す相手をLOで倒したことすらあります。「浄化師」はちゃんとアドを稼ぐから強いし、「希望の鷺」がかなり厄介(自分が使うと便利)でしたね。飛行絆魂はさすつよ。そこに「旅する聖職者」が入った日には、ゲームを引き伸ばしまくって勝つ未来が燦然と輝きます。
 黒の評価が的はずれだったので、黒絡みのアーキタイプ事前分析は当てにならなくなっていますね。

・BG(黒緑):タフネス
 ちゃんと組めれば強いかもだけど基本は特に強みがない、この評価は妥当だったと思います。

・GU(緑青):自己切削
 書いてたとおり、「地上を緑の良質クリーチャーで止めて、空から青で攻める」でしたね。それにマルチアンコモン「堕落産みの蜘蛛」が結構優秀で、フライヤーを止めてくれるし、最後に大量の蜘蛛になってくれるしで、卓に1人でカードが余ってくれれば普通に強いデッキになります。切削しすぎて決めきれないうちにLOは注意。

・UR(青赤):非クリーチャー呪文
 これ一度も強く組めてないんですよ。誰か強く組めたら教えて下さい。

・RW(赤白):アグロ
 勝率データだとTier2か2-くらいだけど、筆者の中ではTier1。「来た、殴った、勝った。語る言葉はありません。」そのとおり。いいこと言うじゃない筆者。肝は白のアグロパワーにしっかりと肉を頼り、除去は赤(白も優秀ですが)で蹴散らしていくこと。「教区刃」は4枚フル投入、「聖職者」も2枚入れて師匠作り、他にも訓練フライヤーや「盾殴り」、自然と人間が増えるから「レジスタンス」。赤からも赤サリア威迫狼男などよりどりみどり、そして決め手は「円舞手」!使っていて楽しい良いデッキでしたね。

 総括を反省すると、黒関係の評価を★+1ずつくらい底上げ。また、白黒ライフゲインを★2→★4に、RG狼男を★3→★4に上方修正って感じかな。WU降霊は自分は強かった印象が少ないんですがデータだと勝率高い。うーむ、わからん…。あ、GU自己切削も、切削メインではないですが色としてはそこそこやれたので★3にしておきましょう。

 VOWは良いリミテッド環境ですね!色間にすごくパワーの差があるわけではないので、ピックの流れをしっかり見ないとつよくなりにくいし、時々ボムで楽しめる(敵に回すと瞬殺される)という刺激もある。弱い色でも空いていればTier1にちゃんと勝てる感じなのがポイント高いです。WotCのみなさん調整ほんとにありがとうございます。足向けて寝れない。

 駆け足ですがこんな感じで。それではもう一回結婚式壊してくるとしますか。よい夜明を!


注釈

※1 どれくらい遅いかというと、「神河:輝ける世界」の予約が始まってしまったくらい。備えよう。
※2 単体除去も聞かない世話人は絶対に許さねえ!ドン・サウザンドォ!

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