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ピューリッツァ受賞者の『世紀の瞬間』撮影方法を調べてみた

トランプ暗殺未遂事件の会場には多くのカメラマンが同行していたが、何故彼があの写真を撮ることができたのか?を調べたnoteです。

14日の朝、SNSのXでトランプ氏の暗殺未遂事件の記事を目にした。
この写真を見た瞬間、わたしは悪質なデマか、コラだろうと記事を疑いタップすることなく、趣味アカウントのタイムラインのチェックに戻った。

アメリカ国旗を背後に、拳を天に高々と突き上げ、頭部からの出血をものともせず、猛々しく吠える強者のトランプ。

またまた、トランプさんこんな、プロパガンダコラ作っちゃって

と思ったら違ってた。
本当の暗殺未遂のニュース写真だった。


しかし、いくらなんでもこの背景の国旗はできすぎでは?これこそは後から印象強くするためにそれらしく加工したのだろうと会場を確認してみた


https://www.youtube.com/watch?v=ROGZxfboIHw 

これも本物だった。
集会場の背景には、巨大な国旗がクレーンで掲げられていた。

あまりにも完璧な写真過ぎて、一周回ってコラを疑ってしまった。
重大な事件だったのに。
平和ボケすぎると猛省した。

でもどうしても考えてしまう。
この写真やっぱり完璧すぎないか?と

まるで事前に狙撃情報を得ていて、ニュース写真として全世界に配信されることを考えた上で構図を考慮して撮ってないかと。

撮影者はどんな人物で、暗殺未遂現場、狙撃の危険性がある状況でいつ、どの体勢でカメラのシャッターを切ったのか。

世間は、犯人がどんな人物か、動機は何か?トランプ氏の安否についての報道がされるなか、わたしは、それが気になって仕方なかった。

撮影者はすぐにわかった。
ピューリッツァー賞受賞歴ありAP通信のエバン・ブッチ氏だ。

流石ピューリッツァー賞受賞カメラマン!

では、そのカメラマンがどうやってこの写真をカメラに捉えることができたのか映像から調べてみた。

まずはBBCのニュース映像で確認。

トランプ氏に凶弾が撃ち込まれ、身を伏せて安全を確保していた時、
カメラマン達は画面左側に駆け寄り、壇上の倒れたトランプ氏を撮るために数名のカメラを頭上に掲げてシャッターを切っていた。


トランプ氏が立ち上がり、移動を始めるとカメラマン達も場所を移動し、トランプ氏の合わせて動きながら、身を乗り出している。
この時の右側のカメラマンのボディカメラの映像がこちら

右側のカメラマンは常にカメラを掲げ、モニターで確認しながらシャッターを押し続けているが、液晶画面は真っ暗で構図を確認する余裕は無さそうだ。夢中でトランプ氏を追っている。

今回、暗殺未遂事件を象徴する完璧な角度の写真を撮影したカメラマンはこの方ではない。


あの構図の瞬間、彼のカメラの角度にはアメリカ国旗が入っていないからだ


エバン・ブッチは緑の線で囲った左側のカメラマンである。

彼も頭上にカメラを掲げて、最初はトランプ氏の表情を狙っているようだった。

背景に映り込む国旗の位置に気付いたのか、ファインダーをのぞき込んで構図を調整する方法にすかさず切り替えた。

トランプ氏がタラップに足をかける直前に拳を天にむかって突き上げる。
手前女性ボディガードがサングラスを外し、奥の男性ボディガードが階段下のカメラマン達を見下ろし安全を確認したこの時が
世紀の写真の撮影された瞬間だ。

他のカメラマンが、トランプ氏の正面から撮ろうとタラップ正面に移動するなか、プッチ氏は背景に国旗が入るようにタラップ横に陣取った。

彼はこれは歴史に残る写真だと確信しながらシャッターを切ったとインタビューで答えていた。

ファインダーを覗いて、直感的に構図を決め、最適解の位置に素早く移動しシャッターを切る。

偶然の一枚ではなく、完璧に計算されたプロによる世紀の瞬間を切り取った写真はこうして生まれた。





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