【財務】カンブリア宮殿感想 ~働きやすい会社サイボウズは数字もすごかった!~

中小・ベンチャーの社外経営企画室長の濱口誠一です。本日は、カンブリア宮殿で取り上げられた「働きやすい会社」サイボウズの財務面から分析します。

数値のすごさを見る前に

その前に前提として、数字に強い人の条件。僕は数字に強いことをこの2つができること、と定義しています。

・数字の「意味」がわかる
・数字の「つながり」がわかる

例えば、営業利益50%とか聞いて、すごい!と判断できるのは、数値の「意味」がわかる、ということです。売上が低下したら売上総利益が低下する、と考えるのは、数字の「つながり」がわかる、ということです。会社の数字をみて、
・〇%変化しているから深刻だ(意味)
・営業利益がこれだけ変化するということは、〇〇、〇〇に要因があるはずだ(つながり)
を瞬時に判断できる人は、数字に強いですよね?

サイボウズの数字のつながり

では、まずは、サイボウズの数値の「つながり」を見るために、リバース財務ツリー(ロジックツリー)で赤字決算だった4年前と直近決算期を見てみたいと思います。

20_サイボウズ(基礎)

15年12月期は先行投資をして意図的に赤字にした、と青野社長は説明されてました。その先行投資の結果が19年12月期の決算に表れているといっていいでしょう。営業利益が+21億、販管費が+39億ながらも売上が+64億と大きく伸びているのが要因ですね。また、売上はパッケージは減らしながらもクラウドで伸ばしており、まさにクラウド企業への転換を果たしています。
粗利率は92%。パッケージソフト、クラウドソフトと開発すると原価が追加で多くはかからず、販管費の方では人件費の伸びも大幅ではなく、広告宣伝費はむしろ低下している(「働き方改革」もメディアを使ったブランディング戦略で投資を増やさずに自社と自社製品を宣伝している)状態です。

売上と販管費のバランスの「意味」を考えてみる

売上が+64億伸びているのに、販管費は+38億、人件費も+17億というのは「すごい」ことです。ただ、このすごさ、つまり数字の「意味」は見方を変えるとさらに実感できます。今度は、売上を100とした売上100分率で表してみます。

20_サイボウズ(売上否)

営業利益率が18.3%増加し、その中でも販管費率が18.5%減少しています。人件費率は4.4%減や広告宣伝費率は14.8%減、と、少ない固定費投資でも大きく売上を伸ばせている、ことになります。これは、32%伸びているクラウド売上の影響も大きいと思われます。クラウドは単価が高くないので販売数が少ないうちは固定費を賄えず赤字になりがちですが、販売数が増えても固定費は大きく増やさずに済むので大きく利益が向上する特性があるので。
生産性の高い働き方×売上増が利益に直結する固定費型ビジネスモデル、これがサイボウズの数字を生み出す源泉です。


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