【財務】カクヤスは本当に「ガッチリ」なのか?
「ガッチリ」なビジネスモデル?
会社を儲かる体質にするコンサルタント、社外経営企画室長の濱口誠一です。本日は「ガッチリマンデー」で特集されていたカクヤス。お酒の宅配事業を行っており、昨年12月に上場した企業です。事業ドメインとしては、
・顧客(誰に?):すぐにお酒を届けてほしい店舗、個人
・価値(何を?):1本から、配送無料、1時間以内
・強み(どう?):1.2キロ以内の配送網
です。価値は高いので顧客のリピートを呼びやすく、売上は安定しているでしょう。粗利率を上げるよりも、顧客リピートで回転数を上げて、売上の絶対額を求めるビジネスですね。
ただし、販管費がかなりかかりそうなビジネスです。ここについては、店舗や業務センターが「1.2キロ以内」になるように配置しております。1.2キロ以内であれば、1時間で複数店舗に配送でき、かつ、配送の重さの制限のない電動機付き自転車で100キロまで運べます(バイクの場合は30キロが制限)。
とはいえ、配送網をきづくには販管費がかかりそうです。
売上1000億も営業利益率は、、、
直近決算期のリバース財務ツリーを見てみます。
売上は1000億を超えています。売上はほぼ前年並みですが、営業利益は▲5.2億低下しています。販管費の増加が主な要因で、新卒等の採用による人員増、資本金増加による外形標準課税増加、によるものです。
では、比率で見てみます。
粗利率は約20%で営業利益率は約1%。ビジネスモデルからの想像どおり、粗利率は大きくなく、販管費もそれなりにかかるため、営業利益率も低めです。
決算書の将来分析 ~カクヤスの未来~
では、カクヤスの今後の業績はどうなるでしょうか?コロナ影響もあり、会社は業績予想を出しておりませんが、テレビでは「個人向け消費が4割伸びる」、と言われます。とはいえ、業務用で手店舗向けは落ちそうです。では、個人向け4割増で業務用をどこまでカバーできるでしょうか?
宅配(≒個人用)の4割増でも、業務用で1割弱落ちるとトントンとなります。こう考えると、コロナ下での増収はやはり難しそうです。
売上Aが落ちても売上Bが上がるから大丈夫、というロジックを見たら、実際に比率を見てみましょう。メイン商材の落ち込みを回復させるのは、少なくとも短期的にはそんなに簡単なことではないのです。
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