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便秘は肌荒れも引き起こす

便秘について解説
便秘とは、「本来体外へ排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と慢性便秘症診療ガイドライン2017では定義されています。日本内科学会でも「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」としています。
一般的な便秘の状態をまとめると、以下のようになります。
□排便が週2〜3回以下
□硬い便が出る
□ウサギの糞のようなコロコロした便が出る
□排便がスムーズにできない(排便困難感がある)
□排便をしてもまだ便が腸に残っている感じがす


当てはまる状態があれば、便秘の可能性が高いと考えてもいいでしょう。


便秘に悩む人はどのくらいいる?

誰もが一度は悩んだことはある便秘ですが、便秘に悩む人は実際にはどのくらいいるのでしょうか。
厚生労働省がおこなった国民基礎生活調査(平成28年)によると、便秘で悩んでいる人は、人口1,000人のうち、男性24.5人、女性45.7人となっています。
(人口千対)

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上の表にあるように、どの年代も女性は男性に比べて便秘に悩んでいる人が多いことがわかりますね。
羞恥心からトイレを我慢する、女性ホルモンの影響や腹筋力が男性よりも弱いことなどが、女性の便秘が多くなる理由として考えられています。

       肌荒れを引き起こすのは弛緩性便秘

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女性に起こりやすい便秘には、大きく分けると「機能性便秘」と「器質性便秘」があります。このうち肌荒れは機能性便秘の中でも「弛緩性便秘」に見られることが多いと言われています。


弛緩性便秘は太い・固い便が特徴


弛緩性便秘とは、胃・小腸・大腸などの消化器官の機能に異常が起こり、腸の中で便が生成される仕組みに障害が起きる「機能性便秘」のうちの1つです。
運動不足や食物繊維の摂取不足などのため、腸の蠕動運動が十分起こらずに大腸の中に便が長くとどまり、便も太くて固くなるのが特徴です。高齢者や出産回数が多い女性に多くみられると言われています。
この弛緩性便秘では、大腸内に便が長時間留まることで腸内で悪玉菌が増えて腐敗物質が多く発生します。また、血糖コントロールが難しくなり、それらが肌の刺激や老化につながる可能性があることが指摘されています。

便秘でも起こる、肌荒れとは?

便秘になるとなぜ肌荒れになるのかを説明する前に、まず肌荒れとは何かをおさらいしておきます。
多くの女性が悩む便秘では便がスムーズに出ないだけでなく

いろいろな体の不調を生じさせます。その一つが肌荒れです。。
「肌」とは皮膚の表面にある「表皮の角質層」のことです。この角質層のキメがこまかく潤っている状態が健康的な肌であり、逆に肌のなめらかさがなくなって乾燥し、肌の状態が悪くなるのが「肌荒れ」というわけです。


よく見られる肌荒れの症状


かさつきなど肌荒れの症状もさまざまあり、一つの症状だけ現れる場合もあれば、一つ以上の症状が同時に起こることもあります。肌荒れとしてよく見られるのが、「皮脂の過剰分泌」や「肌の水分量の低下」によるものです。
肌荒れの主な症状としては、以下が挙げられます。
・にきび・吹き出もの
・かゆみ
・くすみ
・肌の乾燥
・赤み・湿疹・炎症
・毛穴の開き
これらの症状が顔であれば、おでこや頬、髪の生え際、口周りなどに生じます。
肌荒れが起きてしまう原因として、肌のターンオーバーの乱れやホルモンバランスの不調、肌のバリア機能の低下などが考えられます。
そして多くの女性が悩む「便秘」も肌荒れの原因の一つとなっているのです。

便秘で肌荒れになる原因とメカニズム

便秘で肌荒れになってしまう原因として、便秘によって腸内で発生する腐敗物質の影響が考えられます。便秘で生じた腐敗物質がさまざまなメカニズムによって肌荒れを引き起こすのです。それぞれの原因とメカニズムについて。
腸内細菌によって発生した腐敗物質が肌の刺激になる
腸内にある悪玉菌が腐敗物質を発生させて、それが腸壁から体の中に吸収されて血液を介して全身をめぐります。
そして汗や皮脂と一緒に腐敗物質も皮膚から体外へ出ていきます。その際に腐敗物質が肌の刺激となって肌荒れが起こるという仕組みです。
便秘になると本来は体外へ排出すべき便が腸の中に溜まると、便の腐敗が進み腸内細菌の悪玉菌も増えていきます。
悪玉菌が代謝の過程で産生される成分の一つに「フェノール類」があります。フェノール類は腸から吸収されて血液の中に入り全身をめぐって多くは尿として排出されるのですが、一部が血液を介して皮膚まで到達します。
そこで腐敗物質が刺激となり、肌荒れや肌トラブルが起きるというわけなのです。
皮膚からの腐敗物質排出によって肌のターンオーバーが乱される
肌の代謝のことを「ターンオーバー」と呼びます。このターンオーバーが皮膚からの腐敗物質排出によって乱されるため、肌荒れが起こります。
上述のように、腸内環境が悪化して発生した腐敗物質が血液に溶け出して全身をめぐるようになります。そして、腐敗物質の一部は最終的に肌から汗や皮脂と一緒に毛穴から出ます。
すると、皮膚は腸から発生した腐敗物質を早く体外へ排出しようとし、本来の皮膚の大切な役割である肌のターンオーバー(代謝)機能が低下し、肌荒れが進む現象が起こります。
肌の代謝機能が低下することで、新しい細胞が生まれて表面の肌へ成長し、古い細胞は皮膚から垢として剥がれ落ちるといった約6週間の肌サイクルや細胞の分化に悪影響が出て、肌荒れやニキビ、吹き出物などの肌トラブルが生じてしまうのです。


皮膚の老化に関わるAGEs(最終糖化産物)を発生させる


便秘で腸内の悪玉菌が増えると、体の血糖コントールが悪くなることがわかっています。逆に言えば、血糖値コントロールができている人は善玉菌が腸内に多いと傾向があります。
体内に糖が増えると、糖はタンパク質にくっついて糖化反応(メイラード反応)を起こし、肌の老化に影響するAGEs(Advanced Glycation Endproducts=最終糖化産物)と呼ばれる物質を排出します。
このAGEsは人間の加齢や健康に関わる物質で、本来のタンパク質の働きを邪魔してしまいます。。
なぜなら、肌は主にタンパク質から成り立っているため、AGEsが増えることで肌の機能が低下して、肌の弾力がなくなってシワやたるみ、くすみの原因になるからです。
便秘になると腸内の善玉菌が減り、悪玉菌が増えて血糖コントロールを不良にさせます。血糖コントロールが不良になると糖が増え過ぎてしまい、余分な糖がタンパク質と結合することでAGEsを産生し、肌にも悪影響を及ぼすという結果になります。

便秘による肌荒れを解消する方法

便秘による肌荒れを解消するには、まずは便秘をなくして腸内環境を整えることが大切です。
とくに女性は肌荒れを隠そうと皮膚の上から化粧品を使ったり、薬を塗ったりしがちですが、いくら外見を整えようとしてもそれでは肌荒れは悪化するばかりです。
肌の状態と腸内環境が関連していることを理解した上で、正しい腸活習慣をつけていくことが重要です。
便秘による肌荒れを解消するポイントをいくつかご紹介します。
便秘を解消する
便秘による肌荒れ解消には、もとの原因である便秘を解消するのが一番です。


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