ボードゲームカフェ経営の数字の話(全文無料公開)
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緊急事態宣言による営業自粛が続き、なかなか厳しい状況が続いておりますが、こんなときだからこそ原点に立ち返って事業計画のお話でも書いてみようと思います。
一言で「ボードゲームカフェ経営」といってもいろんなケースがありますので、今回はいくつかの例を取り上げながらお伝えできればと思います。
下記の例で紹介している数字はあくまで概算です。立地や飲食比率により大きく変動しますのであくまでご参考まで。
※ちなみに利益や所得には税金が発生しますのでご注意ください。
<前提条件>
・家賃15万円
・15坪(約50㎡)
・週休2日(月・火)
・店長人件費30万円
純粋なボードゲームスペースとして運営した場合
まず一番シンプルなパターンです。
飲食の提供をせずに純粋なプレイスペースとして運営した場合は、受付を除いてほぼ客席として使用できますので客席効率は一番よくなります。保健所の許可申請も必要ないのですぐにオープンできます。
(コワーキングスペースをはじめるようなイメージです)
また、飲食物を提供しないので飲食原価がかからないほか、スタッフも最小人数でまわすことができます。お店が汚れにくいのもポイントのひとつです。(ペットボトル程度なら提供しても問題ありません)
15坪あれば一般的には32席くらいの席を確保できると思います。大きさは当店と同じくらいのイメージです。当店はかなり客席効率が良いので40席を確保しています。(ぎゅうぎゅう)
結論から言うと、家賃15万円のボードゲームスペースの損益分岐点は57万円くらいです。内訳は固定費490千円、変動費80千円です。
(ただし店長が毎日ワンオペをしているという前提です)
ちなみに損益分岐点を超えると売上の9割が利益となります。
つまり売上100万円で利益38万円となります。
(さすがに100万円売るようだと毎日ワンオペはキツイのでアルバイトを雇ってください笑)
<損益0となるときの費用内訳>
◆売上570千円
◆固定費490千円
・店長人件費300千円
・家賃150千円
・ボードゲーム購入費30千円
・通信費、水光熱の固定契約料10千円
※その他、減価償却費や支払い利息等
◆変動費80千円
・水光熱費20千円
・消耗品費30千円
・雑費30千円
ざっくりこんな感じです。
ボードゲームスペースの客単価は平日1,000円、休日1,500円を想定しています。平均すると1,344円くらいでしょうか。つまり、57万円の売上を上げるためには424名のお客様が必要になります。週休2日で営業すると1日あたり約19名という計算となります。
割合としては平日14万円、土日祝43万円という感じです。つまり、平日で140名、土日祝287名です。1日で計算すると平日9名、土日祝32名となります。少し現実的な数字になってきましたね。
もちろん、損益分岐点ギリギリだと利益は残りませんので、売上70万円で利益117千円(利益率14.6%)くらいが健全な営業と言えるのではないでしょうか。
あとはこの数字をどうやって達成するかを考えると継続できると思います。
これをベースにあと2パターンの業態を考えていきたいと思います。
ドリンクのみ提供するボードゲームカフェの場合
一番オーソドックスで運営しやすい業態だと思います。保健所に営業許可申請が必要ですが、飲食物の提供が可能となります。ドリンクのみなので厨房スペースも小さく客席も確保できるのでオススメです。
15坪のお店だと客席は28席くらいになると思います。その分ドリンクを飲んでもらって客単価を上げることが重要になります。アルコールが売れると単価が跳ね上がるので利益が伸びやすいです。
ちなみに、家賃15万円でドリンクのみ提供するボードゲームカフェの損益分岐点は80万円くらいです。内訳は固定費500千円、変動費300千円です。
(土日のみアルバイトさんを雇っているという前提です)
ちなみに損益分岐点を超えると売上の7割が利益となります。
つまり売上100万円で利益14万円となります。
<損益0となるときの費用内訳>
◆売上800千円
◆固定費500千円
・店長人件費300千円
・家賃150千円
・ボードゲーム購入費30千円
・通信費、水光熱の固定契約料10千円
・減価償却費10千円
※その他、支払い利息等
◆変動費300千円
・飲食原価90千円(アルコール比率で変動)
・雑給120千円(土日祝のみ2名体制)
・水光熱費30千円
・消耗品費30千円
・雑費30千円
ざっくりこんな感じです。
客単価は平日1,500円、休日2,000円を想定しています。平均すると1,843円くらいでしょうか。つまり、80万円の売上を上げるためには434名のお客様が必要になります。週休2日で営業すると1日あたり約20名という計算となります。
つまり、客数としてはボードゲームスペースと同じくらい必要ということになります。
割合としては平日20万円、土日祝60万円という感じです。つまり、平日で134名、土日祝300名です。1日で計算すると平日9名、土日祝34名となります。
というわけで、ドリンクのみ提供するボードゲームカフェは客数が同じであれば純粋なボードゲームスペースと利益はあまり変わりません。ただし、アルコール比率を上げることができれば利益は大きく跳ね上がります。このあたりをうまくやることがポイントとなりそうです。バーに寄せて客単価を上げるのも面白いと思います。
というわけで、売上110万円で利益21万円(利益率19.1%)くらいが健全な営業と言えるのではないでしょうか。
食事も提供するボードゲームカフェの場合
どうしても差別化が難しいボードゲームカフェ業態において、違いが見せやすいのは料理なのではないでしょうか。もちろん保健所に営業許可申請が必要です。ランチやディナー需要も取り込めるので売上が大きく上がるのが特徴です。
(お食事だけのお客様が増えると回転率は上がりますが客単価は下がります)
厨房設備が必要なので15坪のお店だと客席は24席くらいになると思います。その分、食事やドリンクをしっかり注文してもらわないと設備が無駄になってしまいます。スタッフもピークタイムを中心に2名いないとまわらないので人件費も大きいです。
ちなみに、家賃15万円で食事も提供するボードゲームカフェの損益分岐点は105万円くらいです。内訳は固定費510千円、変動費540千円です。
(飲食比率や設備投資により大きく変動します)
ちなみに損益分岐点を超えると売上の6割が利益となります。
つまり売上150万円で利益27万円となります。
<損益0となるときの費用内訳>
◆売上1,050千円
◆固定費510千円
・店長人件費300千円
・家賃150千円
・ボードゲーム購入費30千円
・通信費、水光熱の固定契約料10千円
・減価償却費20千円(厨房機器等)
※その他、支払い利息等
◆変動費540千円
・飲食原価210千円(飲食比率により変動)
・雑給210千円(2名体制中心)
・水光熱費50千円
・消耗品費40千円
・雑費30千円
客単価は平日1,500円、休日2,500円を想定しています。平日はランチ需要なども多いので立地によって大きく変動すると思います。平均すると1,944円くらいでしょうか。つまり、105万円の売上を上げるためには540名のお客様が必要になります。週休2日で営業すると1日あたり25名程度の計算となります。
割合としては平日30万円、土日祝85万円という感じです。つまり、平日で200名、土日祝340名です。1日で計算すると平日14名、土日祝38名となります。食事が目的の方の来店も期待できますので来客数がベースアップしています。
おいしい料理を提供すること自体が来店動機にも繋がりますので、原価は広告宣伝費として捉えることもできます。実際に料理に力を入れているお店のお客さんはSNSへおいしそうな料理の画像をどんどんアップしています。
売上140万円で利益21万円(利益率14.3%)くらいが健全な営業と言えるのではないでしょうか。
まとめ
というわけで、利益効率だけを考えると単純にボードゲームスペースだけで運営するのが一番良いのですが、特徴のないお店になりやすいです。
ビジネスには差別化が必要なので、どういったところに自店の特徴を出していくかが生き残るポイントになりそうですね。
店長の強みを活かして、自分にしかできないボードゲームカフェ運営をするのがよいのではないかなと思います。
ちなみに当店は上記のどのパターンにも当てはまりません(笑)
かなり独特なのであまり参考にならないかもしれませんが、当店の経営方法についてはまた別の記事で紹介していますのでよかったら読んでいただけると嬉しいです。
ざっくりとした数字の記事ですが、もし店舗運営に興味のある方は自分なりに数字を動かしてシミュレーションしてみてはいかがでしょうか。
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