hatatiのころ
子ども劇場なんてやって、そこを辞めた後は精神科に受診するようになって、海沿いにぽつんと建ってる白い病院に通い始めた。集団リンチの末になっちゃったのは精神分裂病で、自転車をギコギコこいで、それが二十歳のころ。そこで人生は終わった。
今では精神分裂病のことを統合失調症と呼んでいるけれど、この病気は治るのかどうか分からない。治る人もいれば治らない人もいる。いろいろだけれど、ここまで破壊しつくされるような人生って何だろう。
劇場で、マミと高校生サークル会議をやるものの、他のメンバーが出てこないので、やっていられなく二人で津田沼の街へ遊びに行ってしまう。渋谷へ行くとかそう言うものじゃない田舎者。地方都市をぶらぶら歩きまわっている。
何をしていたのか覚えていない。そもそも何もしていなかったんだろうと思う。いつだって歩き回るばかり。お金もないし。何だったんだろうな。
あんなことをしていると、彼女を作る時間もなかった。人生において彼女というものを作ったことがない。マミには秘密があるのかないのか、よく分からない少女だった。
「あたし、この街好きだよ」
いちど、そう言ったことを覚えている。ふーん、好きなんだ。馬鹿みたいに明るい津田沼の街をふと見上げると、夜空がぞっとするほど暗い。星一つない黒い空。
じゃあね、とバスに乗ってマミが帰っていったような気がして、音が記憶にない。どんなんだったかな。
やけに頭痛がしていた。