24年来

浜村凡平です。

友人から怖い話を聞きました。


『男は長年探し求めていたものを諦めることにしました。

「5000本集めても結局見つからなかった。もう諦めるしかないのか。今まで何の為に生きてきたんだ。俺はただ、いい感じに鼻をほじりたかっただけなんだ……。」


男は裏社会でのしあがりました。

のしあがって、ありとあらゆる状況で色々な人間に小指を詰めさせました。

そしてその小指を持って帰っては自分の鼻の穴に入れました。子供の時、鼻をほじって一番しっくりきた、天にも昇るくらいに気持ちよくフィットしたあのほじり。あの瞬間にもう一度出会うために。

(あれは自分の小指じゃなかったはずだ。探すんだあの小指を。)

ガラスの靴にぴったり合ったシンデレラを探す王子のように、来る日も来る日も小指を鼻の穴に入れました。

しかし5000本の小指を鼻の穴に入れてもあの瞬間には出会えませんでした。

「……もう諦めよう。あのほじりに出会えないならこれ以上生きていてもしかたない。最後に風呂にでも入るか。」

男は浴槽に5000本の小指を入れました。札束風呂ならぬ小指風呂。

その光景を気持ち悪いと思いながらも、自分が詰めさせてきた小指、鼻の穴に入れてきた小指、嫌がるのもおかしいよなと思いました。今まで手を染めてきた悪事も思い出しました。いい感じで鼻をほじりたい、ただそれだけの理由で何人もの人を苦しませたのか。

(うん。自分が詰めさせてきたこの5000本の小指風呂の中で手首を切って死のう。いやまずは小指を切るべきか。でも5002本だときり悪いよな。まあどうでもいいか。)

男は小指風呂に浸かりました。

全身で感じる小指5000本の感触にさすがに気持ち悪くなり、オエッとなった男は口を押さようとしました。

(………?……あれ?…これは?)

男の鼻の穴には、口を押さえようとした手の薬指が偶然にも入っていました。

「……これだ。…この指だ。……そうか!薬指だったんだ!小指じゃなかったのか!自分の薬指だ!人のじゃなかった!なんでそんなことに気付かなかったんだ!シンデレラはずっと近くにいたんだ!…ごめん!ごめんな5000本の小指たち!痛かったよな。ごめんな。……あぁ気持ちいい。あぁ…薬指でほじるの気持ちいい……。死なないぞ!これが味わえるならまだ死なない!…あぁ気持ちいい……。」

男は薬指で鼻をほじりつづけました。あまりの気持ちよさに、奥に奥にほじり続け、鼻の穴を通り越して骨を通り越して眼球を通り越して骨を通り越して脳までほじって死んでしまいました。


0時になりました。0時になったからか男が死んだからか、魔法が解けました。浴槽の中で男の遺体は5000本のカルパスに浸かっていました。



鼻くそをほじることばかり考えているとこういうことになるよ。』



友人が指鼻咽喉科で出会ったカルパス農家の人から聞かされたらしいです。




うん。ほじることばかり考えていてはだめだ。


あと浴槽に変なものは入れないでおこう。






ん?ちょっと待てよ。この記事を書いてて気付いたんだけど、指鼻咽喉科って何だよ?耳鼻だろ!なんだ指と鼻と喉の科って!あとカルパス農家?あれ加工品だろ!農じゃないだろ!農じゃ!


うわ!騙された!くっそ~!

おい!阿川の佐和子ちゃんよ!どうせこのnoteも見てるんだろ!

次会ったら!しっぺでこぴんばばちょっぷ!だかんな!

♪銭がなけりゃ~君~銭がなけりゃ~