ワープ!2020シーズン総括(その2)。
はい、宮古島のフリーランス農家・はせがわまきです。
前回の久々の更新から、なるべく日を空けずに、というわけで投稿いたします。
前回、そろそろ2021シーズンも始まるし、と書きましたが。
そうなんです。今シーズンは例年よりもスタート遅いです。
その理由は本文の最後に。
気を取り直して、2020シーズン総括、2発目。
今回は「疾風怒濤のかぼちゃ編」と「合法ハーブ編」をお送りします。
◇かぼちゃ編
2020年前半戦、主力のトマトは、前回の記事通り、12月の悪天候にかなりやられました。
とはいえ、前期の私のかぼちゃは、試験栽培の100株のみ。
肥大はすでに大方終わっていたため、収穫までどれだけ葉っぱを維持しておいしいかぼちゃに仕上げるか…ということに尽力するだけでした。
後半は悪天候と北風に翻弄されましたが、それまで良い状態を維持できていたので、なんとか収穫ギリギリまで耐え忍び。
というより、100株程度の規模なら、こまめに農薬散布して、観察して、肥料を切らさないようにするのもさほど難しくないので。
年末の大玉トマト撤収により、リソースに余裕ができたこともあり、結果として、なんとか納得のいく出来映えとなりました。
かぼちゃの質にうるさい実家の母からも、好評。
記録をまめにとっていたので、種苗会社からも試験栽培としての成果をかなり褒めていただいて。
よかったよかった…
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ですが。
相方のサブちゃんのほうは、そうもいかず。
1期では、私の100倍以上の作付面積を相棒Mさんとふたりで管理していましたが、みっつの畑のうち、ひとつが完全に大敵・うどんこ病の餌食に。
原因は悪天候以外にもいろいろあったようなんですが、みっつの畑、トータルでも予定の半分ほどの収量、という結果に。
これは我が家の生活の危機!…というわけで、2期で急遽、サブちゃんと一緒に、試験栽培の30倍の規模のかぼちゃを作付けすることになりました。
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1期の株(ほぼ残骸)をかたづけてもらい、自腹で追加購入した肥料を撒いて、2期のかぼちゃを播種したのは2月1日。ほぼ例年通り。
久しぶりのかぼちゃの播種で、慣れない私にイライラするサブちゃん。
時折ケンカしながら、なんとか3000粒ほどの種を入れました。
異変はすぐに、起きました。
例年なら4~5日ほどで発芽するはずが、1週間経っても出てこない。
周りの生産者さんに聞いても、発芽が遅いという人が多く。
10日ほどかかって、ようやくきれいに発芽しましたが、数日でまた別の異変。
発芽したものが、どんどん萎れていく!
次なる異変は、立ち枯れ病の「超・多発」。
…これは、盲点でした。12月の悪天候が、ここにも影響したようです。
(以下、推測の域は出ませんが)
12月ほとんど日照がなかったせいで、地温が例年よりもかなり低い状態が続いたことが原因ではないかと。
発芽が例年よりも遅くなるのもさることながら、地温が低いことにより、前作の残渣(収穫を終えたかぼちゃの株の残骸・トラクターで土に漉き込んであるもの)が十分に分解されず、土壌にいわゆる「連作障害」の原因となる菌類が増えてしまっているのでは。
もともと1期の収穫を終えてから2期の植え付けまでは、例年3週間程度しかありませんので、2期の立ち枯れ病はしばしば問題となっていましたが、今回はその発生の程度がまったく違いました。
最終的には、6割以上の株が、立ち枯れ病を代表とするあらゆる連作障害によって、収穫を待たずに枯死してしまったんでーす!
途中から農薬散布以外の作業はほぼひとりで管理していたんですけども。
北風に煽られて、つるごとひっくり返ったのを戻して埋めて、必死で整枝した株が、次の日、無惨に萎れている。
なんとか生き残って、大きく肥大した実をふたつもつけている株が、次の日、無惨に萎れている…
そんなことが続きすぎて、心折れまくりの日々でした。
しょーん。
肥大期が終わるとともに、12月にあれほど降っていた雨が、ほとんど降らなくなり。
もともと抵抗力の低いかぼちゃの株たちは、こまめな農薬散布もむなしく、ありとあらゆる病気や虫にどんどんやられていき。
結果的に収穫できたのは、予定の1/3程度。
それでも、諦めずに必死に管理し続けた結果ですから…マイナスにならなかったのでよかった…
最後の最後まで、いもむしの集団にやられて、傷だらけ…
そんなこんなで、私の農業の歴史(たかだか5年)のなかで、最も深いトラウマを残した2020シーズン。
いよいよ最後の総括「合法ハーブ編」です(しつこい)。
◇ハーブ編
2020シーズン開始当初、小規模ながら植えつけたのは「スイートバジル」「ローズマリー」「イタリアンパセリ」でしたが、最終的には「ディル」も加わり、4種類の栽培となりました。
話は少し逸れますが…、新型コロナウイルスの感染拡大で、全国的に外食産業の需要が著しく減少するなかで、ハーブ農家さんたちは皆さん引き続き、大変なご苦労をされていることと思います。
観光産業で近年急速に飛躍してきた、ここ宮古島も例外ではなく。
昨シーズンまで、産直市場の店頭に出せば出すだけ売れていたようなハーブ類が、ほとんど売れなくなる事態。
市場でしょっちゅうお会いする諸先輩方も、一様に困り顔。
もともと観光シーズンから外れる冬場、12月の歴史的な悪天候と、たびたび出される緊急事態宣言もあいまって、非常に厳しい状況だったと感じます。
私はといえば、そもそも生産量も多くなかったのと、比較的今期はリソースに余裕があったので、今期は家庭用に焦点をしぼり、普段は業務用に40~50g以上でパックしているハーブ類を、10~20gに程度に小分けパックに詰めて販売したりしました(スーパーで売っているようなサイズを直売価格で)。
いつもお世話になっている島の駅みやこさんが、コロナ禍の生産者救済策として企画してくれた、わくわく青空市で店頭に立ったり。
いつもと違う状況の中で、育った野菜をいかに無駄にしないようにするか、知恵を絞ったシーズンでした。
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そんななか、例年課題であったスイートバジルのめぼうきべと病ですが、使用回数制限のない銅水和剤を4~5日間隔で予防散布することと、こまめな追肥を徹底したことで、ある程度発病を抑えることができましたので、シーズン通して比較的安定した供給をすることができたと思います。
べと病の多発圃場では、ハウス全体の定期的な消毒をしない限り無理かと思われた安定供給。
それができたことは、非常に大きな成果だと思っています。
同時に、これまで発病後の薬剤散布に頼っていた自分の不甲斐なさに落ち込みましたけどね!
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それにしても、イタリアンパセリ。
今年はびっくりするくらい売れませんでした!
やっぱり、家庭用としては、まだまだ認知度があまりないんですね。
普通のペペロンチーノ(これもシンプルなだけに非常に難しいパスタだとは思いますが)に、イタリアンパセリをちぎって混ぜるだけで、個人的にはかなりお店っぽさが出ると思うんですけどね…
カールパセリのほうが、同じ値段でボリュームあって、おトク感あるからかな??
今年はかなり痩せた土で育てましたが、例年よりもかなり香りが強かったように感じます。
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ディルは、売った量より自分で食べた量のほうがはるかに多かったです。
ハマりすぎました…
シーズンの最後は開花させて、生の未成熟のディルシードを食べてみたけど、ディルの香りの中にフェンネルみたいな華やかさがあって、これは!と思うほど良い香りでしたよ~
こちらも乾燥と風に気を付ければあまり手がかからないハーブなので、継続的に栽培したいと思います(食べたいから)。
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ローズマリーはホームセンターで一鉢だけ仕入れた苗から育てましたが、本当にかわいがりすぎて(?)、ほとんど売らないまま、シーズン終了を迎えました。
要は、お隣のバジルの世話に追われすぎて、栄養だけはバジルのついでに潤沢に与えられつつほぼ放置されてた、というだけですが、剪定程度にしか収穫しなかったのでダメージも少なく、すくすくと大きな樹に育っています。
先日うっかり台風のなかベランダに放置して、やられちゃうまでは。
その後剪定して、息を吹き返しつつありますので、近々鉢上げして、今シーズンも引き続き栽培していきます。
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…と、2020シーズンの総括が終わったところで。
今シーズンはというと…なんとハウスがありませーん!
初めての「完全露地栽培」のみとなりました。これは、イチから勉強です。
そうそう、冒頭の、なぜ今シーズンはスタートが遅れているか、その理由はここにありまして。
縁あって畑を借りることはできたものの、ハウスも集荷場もないので、播種や植えつけが早すぎると、台風にやられる確率が上がっちゃうのです!
借りた畑の9割はかぼちゃを作付けすることが決まっていますが、残りの1~2反ほど、まだ決めかねていまして。
昨年の12月のトラウマがまだ…。。
というわけで、次回。
実はひっそりと始まっていた2021シーズン1発目の作物、しょうがのこれまでと、今期の展望についてをかけたらなーと思っています。
農作業は継続あるのみ。体が少し楽になる農具を買ったり、育てやすい品種の種を買ったり、役立てさせていただきます🌱 サポート金額に応じて、私の作った農産物でお返しもしていきたいと思ってますので、どうぞよろしくお願いします😊