見出し画像

中国の工業製品規格について

ISO(国際標準化機構、International Organization for Standardization)は、工業製品やサービスの国際的な規格を制定するための非政府組織です。ISOの規格は、製品やサービスの品質、安全性、効率性を向上させ、国際貿易を促進する目的で作成されています。これにより、異なる国や地域間での製品やサービスの互換性が向上し品質と安全性を確保し、消費者の信頼を高めることに利用されています。

日本工業規格JIS(Japanese Industrial Standards)は、日本の工業製品の品質、性能、安全性を保証するための国家規格です。日本工業規格(JIS)と国際標準化機構(ISO)は、工業製品やサービスの品質、性能、安全性などに関する基準を提供する点で共通していますし、ISOの規格を翻訳してJISとして採用することがあります。(このプロセスは「同一性採用」や「翻訳採用」と呼ばれます。)日本企業が国際市場で競争力を持ち、国際取引の円滑化を図るために、このような努力が為されています。

それでは中国にはどのような規格があり、JISやISOの証明書が流用可能なのでしょうか。
中国国家標準(GB、Guójiā Biāozhǔn)は、中国の国家規格であり、強制規格と推奨規格に分かれます。

  • 強制規格(GB):法的に遵守が義務付けられている規格。

  • 推奨規格(GB/T):遵守が推奨される規格。

  • 指導規格(GB/Z):ガイドライン

GB規格は多岐にわたる分野で適用されます。例として、食品安全、建設、機械、電気製品、環境保護などがあります。GB規格もJIS同様中国はISOを採用・参照することがあり、国際的な標準化との整合性を図っています。

日本にもJISのほかに農林水産省規格(JAS)電気用品安全法(PSE法)、また民間規格も多数ありますが、中国ではその規格ごとのヒエラルキーが厳密に決まっています。

  1. 国家標準:
    B(強制規格):遵守が法律で義務付けられている規格です。製品の安全性、環境保護、消費者保護など、社会的な重要性が高い分野で適用されます。
    GB/T(推奨規格):遵守が推奨される規格ですが、法律的な強制力はありません。企業や組織が自主的に採用することで、品質や効率を向上させることが期待されています。
    GB/Z(指導的規格):ガイドラインとして提供される規格で、法的な拘束力はありませんが、技術やプロセスの指針として広く参考にされます。

  2. 行政標準:
    YD/Tは、「Yóudiàn」(郵電)の略で、「T」は「Tǒngyī」(通信)の略です。行政標準であるYD/T規格は中国の通信業界における標準を意味します。同じくSJ/Tは「Shēngjìng」(電気工業)の略で、電子機器業界における標準を意味しています。

  3. 地方標準:DB規格は「地方標準」(地方标准)を意味し、中国の各省、自治区、直轄市などの地方政府が制定する規格です。GB規格を補完するための規格です。DB4403/Tの数字の部分が中国の省を示す数字になります。

  4. 団体標準:T/XXX XXXX-YYYYで示される業界団体の規格でXXXが団体、XXXXが規制の番号、YYYYが発行年を示します。

  5. 企業標準:Q/XXX XXXXX-YYYYで示される企業標準で、XXXが企業番号、XXXXXが企業標準番号、YYYYは発行年を示します。

ここから先は

759字

¥ 300

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?