野生酵母の生活

日本酒では、安定した酒造りをするため、現在ではほとんどのお酒が、蔵つきの酵母ではなく、酒類総合研究所や、その他の業者が販売している優良酵母を使用していますが、もともと酵母は自然界で野生動物として生活していました。
(ここでは、酵母の中から糖分を餌にする酵母に限定してお話します。)

それでは、その野生酵母はどんな生活をしているのでしょう。

酵母菌は、自力で移動する事はできませんので、移動は他の生き物に頼る事になります。
その多くは昆虫です。

ハチやハエ、蝶などの昆虫が蜜のあるところまで、酵母菌、またはその胞子を体にくっつけて運んでいきます。

自然界で糖分が多いところと言えば、花か、果実、樹液ですね。
どこにも、昆虫が集まってきます。

しかし、昆虫に運ばれてきた酵母菌は、糖類を食べて仲間を増やしますが、花や果実もすぐに餌が無くなります。

環境が悪化すると酵母菌は4つに分裂して、胞子になります。
胞子は、長い乾燥にも耐えられます、また胞子はたとえ昆虫に食べられてしまっても消化ないことがあり、糞と一緒にでてきますので、新天地での復活も夢ではありません。

そして運良く新天地に降り立った胞子は再び酵母になり、繁殖を始めます。

 ここで面白いのが、この4つに分裂した胞子には遺伝子が半分しか、含まれてないことです。

そして同じように昆虫に運ばれてきた、胞子由来の酵母菌とであうと、なんと合体、新たな遺伝子をもつ酵母菌が誕生します。

こうして、ものすごく多様な遺伝子が酵母菌たちの間で生まれるのですから、面白いですね。
ちなみに、天然酵母パンなど酵母は主に干しぶどうなどドライフルーツから採りますが、それももとはといえば、昆虫が運んできた野生酵母という事ができます。

 あらためて、生物界は繋がっていると実感できますね。

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