「剪定」と「摘蕾」~枝と蕾を減らしてみかんに栄養を与える作業~
濵田農園がつくっている100%無添加のストレートみかんジュース「きわみ」。
きわみの原料となる温州みかんは、空、海、そして段々畑の石垣から反射する3つの太陽光を浴びるよう栽培。
「3つの太陽」に当たったみかんは、甘さ・酸味とも濃厚な味わいに仕上がっています。
とことん味にこだわった柑橘は、とても地道な作業によって育てられています。
今回は、年初から6月末までに行われる剪定(せんてい)と摘蕾(てきらい)をご紹介。
きわみが生み出されるまでのストーリーを、ご覧ください。
みかん栽培における剪定(せんてい)とは?
濃厚なみかんを生み出すため、必要な作業のひとつが剪定(せんてい)です。
剪定とは、木の枝の一部をハサミで切ること。
みかんの枝は、なにも手を加えず放置していると、果実に行き渡る栄養が不十分になります。
元々、日当たりのよい場所での栽培が適しているみかんは、しっかりと日光を当てなければおいしく育ちません。
枝を適度に切り取っていくと、枝葉のすみずみまで日光が届き、まんべんなく栄養が行き渡ります。
作業期間は正月明けから6月初旬まで。
すべての工程の中で、剪定が一番むずかしいですよ。オレもまだまだやけん。
この道8年になる濵田農園5代目の直人さんも、見極めには一苦労。
木の横に伸びた枝葉は切らず、上方向に伸びた枝や実・花を取り除く――
ほんのわずかな違いが、冬に収穫する果実の味わいを大きく左右します。
枝を剪定するときには「どう切れば、よりおいしいみかんになるのか?」を常に考えているという直人さん。
少し切りすぎると、新しい芽がキレイに出なくなる……
剪定は繊細さが求められる仕事。
みかん農家になりたてのころは、失敗がほとんど。
はじめは、どの木をきればいいのか分からなかった――
けれども、4代目園主のお父さんに教わりながら修業を重ね……
いまでは「この木はもっと枝を切ったほうがいい」と、徐々に感覚でわかるようになってきました。
「ここを切れば、もっと木の内側にまで光が届くんだろうな」とイメージしながらの作業は、楽しいといいます。
枝は細かく切ったほうが、肥料になるんですよ
そうお話しながら、果樹から切り離した枝を、さらに細かく刻む直人さん。
枝と枝との間に空気が入らないように、丁寧に積み重ねていきます。
剪定した枝は濵田農園だけで、なんと合計5トンにも及ぶそう。
限られた人数で膨大な枝を切る作業は、一般人から見ると煩わしさを感じるもの。
それでも、この剪定を終えないと、果実になる新芽がバランスよく出ません。
剪定のやり方は、農家さんによってそれぞれ。
枝を切りすぎない人、よく切る人。
人の個性が出る仕事――
ちなみに、3代目園主だった直人さんの祖父は、あまり木を切らなかったそう。
濵田農園では、高い位置に生えた枝を切り、木の身長を下げます。
結果、木へ登らずみかんを摘めるため、作業効率がよくなるのです。
みかん栽培における摘蕾(てきらい)とは?
剪定が落ち着いた後、待っている作業が摘蕾(てきらい)です。
摘蕾とは、果樹に実りはじめたみかんの蕾(つぼみ)の数を減らす作業。
枝に生える蕾が多すぎると、商品になる果実へ十分な栄養が行き渡りません。
お客さまに届ける一個一個のみかんがおいしくなるよう、蕾を大胆に摘んでいくのです。
摘蕾をしないと、今年は実っても来年はまったく実らない『隔年(かくねん)』という現象が起きるんです
みかんが1年おきに実る隔年は、生産量にも影響するため、なるべく避けたいもの。
果実ができる「表」の年とできない「裏」の年の波を小さくするため、摘蕾は欠かせない仕事です。
毎年、栄養の詰まったみかんを届けるための地道な作業。
枝を見ると、色の濃いグリーンピースのような玉が。
この粒が、冬に収穫されるみかんの蕾なのです。
「ジャッ、ジャッ!」と、勢いよく蕾を弾いていく直人さん。
摘蕾も、オレのじいちゃん世代がやってきたことを引き継いでいます。
「取り除く量をあえて多めにして、+印をつけて変化を観察する」という方法で、先輩経験者から技術を学んできました。
摘蕾するときは、新芽どうしが伸びたとき重ならないよう、間隔を離す――
木の内側ではなく、外側の枝に芽吹く蕾を削ぐ――
ひたすらに丁寧さが求められる作業。
けれども摘蕾をすれば、果実が大きくなり、木が弱ることも防げます。
剪定・摘蕾でひとつのみかんに栄養が集中する
みかんの木になる枝と蕾は、膨大な数に及びます。
もし冬の収穫までに、手入れが不十分だったら……
多くのみかんが栄養を取り合い、果肉の密度も味の濃さも、すべてが中途半端なものになりかねません。
濵田農園は妥協せず、丁寧に剪定・摘蕾をします。
極限にまで濃厚なみかんでつくられた「きわみ」を届けるため――
剪定・摘蕾を終えた後には、今度は摘果(てっか)という作業が待っています。
摘果は、木に着きすぎた果実を減らして、残った果実に栄養を集中させる作業。
作業時期は夏。
次回の記事では、剪定・摘蕾とならぶ、大切な仕事「摘果」をご紹介します。
執筆:櫻庭 航(さくらば わたる)
▼ 濵田農園が自信をもっておすすめするのが「きわみ」
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