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褒める作法・褒められる作法

「褒める」という言葉はあまり好きではなく、基本的には使わない。なんだか偉そうな気がしてしまう。

そうすると困るのが、素敵だな〜と思う気持ちを伝える言葉に、適切な単語がないことだ。

ワンピースを褒める。
髪型を褒める。
笑顔を褒める。
文字を褒める。

単に「素敵ねぇ」と言いたいだけなのに、なんだか上から目線な気がしてしまう。そうすると、言い方を変えるしかない。

ワンピースが素敵だと伝える。
笑顔が可愛いと伝える。
文字がきれいだと伝える。

なんだかセンテンスが長い。やっぱりシンプルに「褒める」という言葉で今回のnoteを書く。「称える」だとちょっと大げさだしなぁ。

褒める作法・褒められる作法


褒める・褒められる関係は、生きていく中でとても大事だと思っている。

褒めることは人を豊かにする。褒められることは人をより魅力的にする。生活の中で、「まあ、素敵ね」と伝えられることってたくさんある。


服や髪型だったり、
その人が立っている姿だったり
持ち物の色だったり
かけてくれる言葉だったり
物事の捉え方だったり。


ただし、褒めることには作法があると私は長年思っている。私が気をつけているのは以下3つ。

①褒めるなら、シンプルに褒めろ。
②自分を下げるな。
③相手に気を遣わせるな。


例えば、「あなたの考え方、素敵ね。私は根っからのネガティブだからそんな前向きには捉えられないわ。ほんと、その前向きさが素晴らしいな〜」と誰かに伝えたとする。

すると、「根っからのネガティブを少し残念に思っている」と受け取った相手が、「ネガティブもポジティブも両方あっていいよね」とか「人間ネガティブな部分があるから深みが出てうんぬんかんぬん」とフォローしなくてはいけなくなる。


本当はもっとシンプルでいいのに。「その考え方、好きよ」「ありがとう!」だけでいいのに。いろんな工程がそこに入り、褒め・褒められることは少し面倒なことになる。


だからこそ、褒める時はシンプルに。自分を下げない。相手に気を遣わせない。これが非常に大事だと思っている。

同時に、褒められる方にも作法がある。大事なのは以下3つ。

①シンプルにお礼を言え。
②否定するな。
③上がったものを下げるな。

「その髪型、可愛いね!」と伝えた相手が、「ありがとう。私、顔が人より大きいじゃない?だから小顔に見える髪型にしてもらったの〜」と答えたら、私たちはどう思うだろうか。

せっかく髪型が可愛い話をしているのに、小顔効果の話にすり替わってしまうのはとても悲しい。話が違うところへいってしまう。そんな下げ方を予想して「可愛い」と伝えたわけではない。

他にも「あなたって、仕事が早いし正確だし、憧れるわ」と伝えた相手が、「そんなことないよ!!私なんか全然だよ。早く見えて、ミスばっかだよ。適当だから早く終わっちゃうけど、中身ボロボロだよ!」と全力で否定してきたら、それもまた伝えた私たちはきっと悲しい。

「あなたの見立ては間違っている。あなたは何もわかっていない!」…そんな風に言われていることと同じだ。自分の気持ちを否定されたことにはかわりない。


でもこういった場面はよくある。私たちには謙遜の文化があって、褒められたことをただ喜ぶと「図に乗るな」「わきまえろ」みたいな声が聞こえてくる。だから「いやいや、そんなそんな」と答えてしまう。これがまた、褒める・褒められることをとても面倒な作業にする。


褒められたら、「ありがとう」の言葉だけでいい。そこに説明を加える必要はない。そのままの、今の瞬間の、あなたが素敵だと思ったから褒めたのだ。その気持だけ、受け取ればいい。


シンプルに褒め・褒められるようになってくると、人との関係はとても温かいものになる。そこには素敵な言葉だけあって、否定がない。安心して褒められる。安心してお礼が言える。


この褒める・褒められる作法が、日本中に広がりますように。

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ハマダユイ
ソーシャルワーカー11年目。大学教員をやりながら相談室バオバブで個別相談を受けている。精神疾患にまつわる悩み事、家族のこと、人間関係のこと、仕事のこと…。いろんな人と一緒に作戦会議を開く毎日。

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