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【声色ききみみずきん】#24 竹野内豊さんの声は、「私だけ」という妄想をかき立ててくれる

2年程前、NHKドラマ「この声を君に」にどっぷりはまった。

この作品は、竹野内豊さん演じるさえない数学講師が、人生を変えるために小さな朗読教室に通う物語だ。朗読好き、声好きの私にとってこれほどまでに眼福・耳福なありがたいドラマはなく、竹野内さんの朗読を毎回正座をしながらうっとりと見つめていた。

竹野内さん、2019年現在で48歳。
渋い。

竹野内さんの声を一言で表すと、キーワードは「包容力」かな。俳優さんなのに、押し出しはそれほど強くなく、ふんわりした「受け」の声だ。かと言って、素の自分をひたすら隠すとか、感情を押し殺した冷たい声ではない。低音だけど、軽くて気さくだし、やわらかい。お茶目でもある。そして、少しこもり気味で、鼻にかかった声が、最高に色気を感じさせる。

良いことだらけ。
滑舌はちょっと甘めなのだけれど、そこが、愛嬌も醸し出しているので、コメディタッチの演技もはまる。モテないはずがない。

そして、かなりシャイな人だとお見受けする。自分の「素」を出すことが苦手みたいだ。役者なのに… いや、だからこそ、役の力を借りて自己表現をされてきた方なのかもしれない。

だが、若い頃の声よりも、年齢を重ねるにつれて、声が吹っ切れてくるのだ。「素」の感情に、恐れなくアクセスできる声に変わったというのかな。
声がどんどん練れて、熟成されてきている。

「あぁ、オレ、これで良いんだな・・・」

と気付き、肩の力が抜けた人の声とでも言うのだろうか。何があったんだろう。興味津々。
40代で、こんな吹っ切れ方をした男性の声って、女性にはとても安心感を与えるものだ。何度でも言う。モテないはずがない。

◆◆◆

ところで・・・
モテ声で毎回名前があがるのは、福山雅治さん。

福山さんと竹野内さんは、モテ声の双璧。お二方とも低音だし、男性的でとても魅力的な声だと思う。

でも、決定的な違いがある。
福山さんの声は、やはりスターの声。「一対多」の声だ。歌手でもあるので、ステージに立って大勢の人に向かって表現することで培われた声なのだ。その「一対多」のエネルギーは、独特な強さを持つ。主役の声。

対する竹野内さんは、もちろん人気俳優ではあるのだが、「一対一」のニュアンスがある。「私だけに話しかけてくれている」感が満載。

福山さんは「俺たちのアニキ」だが、竹野内さんは「私だけのアナタ」だ。

竹野内さんは、主なフィールドが映画やテレビ。目の前の人と自然な音声で芝居をする。どちらもエネルギーは強いのだが、種類が違うのだ。竹野内さんは、きっと主役以外でも演じられる人。本質的に、受容的なエネルギーのある声なので、共演者の人も、仕事がしやすいと感じる人が多いのではと思う。

女性の中には、この「一対一」のニュアンスのある声を必要としている人は多いのかも。

◆静かに受容し、向き合ってくれる竹野内さんタイプの声が好きな人。
◆強くグイグイ引っ張って行ってくれる福山さんタイプの声が好きな人。

好みが別れるところだ。
私は断然、竹野内さん派だけど。

好きな声って、実は、自分の体調や耳の状態によっても変化する。自分の身体が必要としている音声があるのだ。体調が変わると、今まで追いかけてまで聴きたかった声が、突然必要なくなることもある。それだけ声は生理的に影響を及ぼす。声が苦手な波長だと、どんなに素敵な人でもやがて受け付けなくなる。身体が、その声を拒絶してしまうのだ。

あなたの好きな人の声は?
そして、あなた自身の声は?

耳を澄ましてみると、今まで気づかなかった「何か」が見つかるかも。
恋をするように、声を聴こう。






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