見出し画像

【呼吸の奇跡*声の魔法2】右耳を優先させて使う

 あなたは電話で会話をするとき、どちらの耳で聴いているだろうか。

 左耳で?
 それとも、右耳?

 歌や朗読、人と人とのコミュニケーションでは、聴くことが重要になる。
特に耳の感受性の良し悪しは、その人の表現のクオリティに深く関わる。その詳細は、また別の機会に譲るが、どちらの耳を優先しているかということに、まず意識を向けて欲しい。

 以前、フランスの耳鼻咽喉科医アルフレット・トマティス博士が提唱するメソッドを学んだ。

 言葉の意味を理解するための言語中枢は、左脳に多く分布されている。身体機能と脳の指示系統は交差しているため、右耳から入った情報は、左脳で処理される。
 左耳から入った情報は主に右脳で処理されるが、言語などは当然左脳でも処理される。だが左耳で聴いた場合、神経の回路が右耳回路より40センチから60センチも長いため、処理速度にタイムラグが生じるらしい。
左右の時間差は、なんと100倍から200倍。 
 それがどれくらい大変なことかよく分からないが、左耳で音を聴いている人は、かなりエネルギーロスをしているという。

 疲れやすい、感情に振りまわされる、過去にとらわれる、考えすぎる、すぐネガティブな気分になる、なかなか行動に移せない・・・

 これは、左耳優先の人の特徴らしいが、そのまま私だ。若かりし頃の私。

 振り返れば、電話は全て左耳。右耳で聴くことが苦痛ですらあった。それは左耳で聞いた方が、聞き流せるから。
 幼い頃、騒音が酷い環境で育ったり、周囲の大人たちからネガティブな言動をぶつけられることが多いと、子どもは左耳で聞く癖を付ける。右耳で聴くと言葉の意味が身体に入り苦しくなるから。傷付くことを避けるためには、左耳を優先させる。そうすれば曖昧に聞き流すことができると、私たちは本能で知っているらしい。

 あなたが、もしもかつての私のような傾向で悩んでいるのなら、左耳を優先させているかもしれない。

 もちろん、視力と同じように左右共バランスよく聴こえていることが大切だが、耳は左右で役割が違うことも知っておくと便利だ。

 空間や距離感、大きな全体像を音で把握するのが左耳で、音を選んだり、分析したりできるのが右耳。

 たとえば、オーケストラの、演奏全体を感じられるのが左耳、その中のフルートの音や旋律だけを分けて聴き取れるのが右耳といった役割分担がある。

 右耳が優位になっていると、言葉の意味の理解や、音の分析が早くなるし、感情がからみにくくもなるので、客観的に言葉や音を受け取れるようにもなる。

 表現芸術やコミュニケーションを良好にするための第一歩として、右耳を優先して聴くということを始めてみては如何だろうか。

お読みいただき、ありがとうございました。ご支援をいただけるのは、とても励みになります。嬉しいです。引き続きよろしくお願い致します。