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【声色ききみみずきん】#09 嵐の5人の声は、個であり全体でもある強い結束力がお見事

2020年12月31日をもって活動休止予定が発表された、嵐。

メンバーは、言わずと知れた、大野智さん・櫻井翔さん・相葉雅紀さん・二宮和也さん・松本潤さんの5人。

私がうかうかしている間に、全員30代半ばを過ぎ、リーダーの大野さんは、今年(2019年)38歳。もう、すっかり大人になっておられた。
ビックリ!

2005年に出版された拙著、「声美人で愛される人になる」のコラムで、私は、木村拓哉さんの声を中心に、SMAPのメンバーの声を分析した。SMAPは、5人全員が超個性的で、個々が立ち上がって主張し合っている声のように感じた。個性がバラバラ。溶け合わないことが魅力のグループだったと思う。

けれど嵐のメンバーは、何だか声のトーンが似ている気がするのだ。いや、デビューから20年の時を重ねて、次第に似て来たのかもしれないな。大野さんの声を中心にして、大野さんの声に近寄ってきている感じ。よく知らないけれど、大野さんの存在ってすごいのだと思う。

大野さんの声の隣に並んでいるのは、櫻井さんの声。副リーダーの立ち位置なのかな。大野さんを支えているように立っている。

大野さん、櫻井さんのお二人の底辺を支え、色を添えているのが、松本さんの声。

高いテンションで、上方向に引っ張り、メンバーの原動力になっている二宮さんの声。

そして、4人をつなぎ、明るさと軽やかさをプラスする相葉さんの声。それぞれが役割を担い、バランスよくまとまっている。結束力の強さ、そして並々ならぬプロ意識を感じるのだ。

◆◆◆

もう少し深く掘り下げて聴いてみる。

大野さんは、自己完結型なのかな。声が内側に向かっている。口も開かない。音がこもりがち。自分の中に深く深く潜る声だ。そして、かなり省エネモード。でも、何らかの表現をする時に、潜る深さも、爆発するエネルギーもかなり強烈になる人だと感じる。アーティスト気質らしい声だと思う。

櫻井さんの声は、鋭くて真っ直ぐな声。かなり一本気で、前に押し出す力も強い。割と頑固だし、本音が表に出やすい人みたい。声の響きが率直。つまり、正直な人なんだと思う。話すときの唇が、前に突き出ている。こういう人は、伝えたい人。嘘の付けない人。

松本さんの声は、5人の中では最も低音。なかなか渋い響きのある声。少し鼻にかかっているけれど、それが色気につながっている。色でいうと、紫かな。でも、出過ぎずこもりすぎず、過剰にならないバランスの良さもあって、ちゃんと周囲を、繊細に観察している人なのだと思う。

二宮さんの声は、とてもエキセントリック。グインとねじれた金属のオブジェのようなイメージ。硬質でテンションの高い声だけど、ふり幅がとても大きい。密度が濃くもあり、空虚でもある。得体が知れない。そこが魅力。天才、あるいは狂気。そんな素養を感じさせる強い声。

相葉さんの声は、メンバーの中で唯一、庶民的で気さくな声。風通しが良くて流れがあり、大衆受けする。こういう声は「親切な声」だと思う。相葉さんの声が、他の4人の強い個性を中和し、明るく軽いトーンにまとめている。もしも相葉さん以外の声だったら、きっと、グループ全体のイメージが、もっと重く硬く強くなり過ぎて、今の人気はなかったかもしれない。

~☆

さすが、プロだなと感じるのは、5人が5人とも、個であり全体であるということ。周囲の状況を「観て」「聴いて」「感じる」能力も、半端じゃない。そして、求められていることに的確に反応する。プロとして、さまざまな現場で、「嵐」になりきって、闘ってきた人たちなのだろう。なかなか出来ないことだよ。やっぱり、格好いい。

プロジェクトを組むときは、メンバーの声の質も大事だと思う。
こんなに上手くまとまるのは、奇跡だと思うけれど。

活動休止後、それぞれの声がどのような立ち上がり方をするのか、今から楽しみに待っていようっと。

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