【受講者インタビュー】フーリエフィルムズ~FUKUSHIMA with BÉLA TARR(タル・ベーラ) 福島映画教室2024
全国・世界・地元から、福島県12市町村に、芸術家が集まり、滞在制作をするハマカルアートプロジェクト(経済産業省令和5年度地域経済政策推進事業(芸術家の中期滞在制作支援事業))。採択者とその活動を紹介しています。どのような人々が、どのようなアートを福島県東部の12市町村でつくろうとしているのでしょうか?
今回は、フーリエフィルムズが招へいしたタル・ベーラ監督のマスタークラスを受講する大浦美蘭さんのインタビューをお届けします。
大浦美蘭さん -プロフィール‐
福島県生まれ、浪江町出身。2017年に武蔵大学を卒業後、NHKに入局。2020年に退局後、フリーのテレビディレクター、映像作家として活動。
15歳でドキュメンタリー映像を撮り始め、大学在学中の2017年に初監督作品『i』を制作。福島第一原発事故で被災した自分と家族の状況を記録した『家路』(2017)は2017年の山形国際映画祭などで上映された。
その後も自主映画を自主制作映画を撮り続けている。
2月8日取材 撮影場所・撮影対象の調査
今回の映像制作では、浪江町の家の庭について撮影したいと考え、浪江町へ取材に訪れた。
まずは駅前通りから新町通りにかけてを歩き、町の様子を見て回った。震災以降、一軒家が減り、残った家や新しく建った家も庭のある家は見受けられなかった。
その後、浪江駅前にある浜通り地域デザインセンターなみえに移動し、地域の方や昔の浪江町の様子を知る方を訪ねた。
震災当時から現在までの生活や地域でのイベント活動や浪江町の現状についてなどの話を聞くことができた。さらに、お庭の手入れが好きな方や地元の造園会社を紹介してもらい、後日取材させてもらうこととなり、この日の取材は終了した。
2月14日取材 これまでの取材・撮影と編集作業
大浦さんは浪江町にて、取材や撮影を行い、浪江町の造園会社に協力を得た。新しく会社のお庭を作るということ話を聞き、その様子を撮影した。2月18日の上映会に向けて、編集作業を2月14日から始める。
浪江町での取材を通して、変化の早さを実感したという。町の様子や人の行き来など、町の変化を日々感じた。町の人の話を聞き、いい話題や課題になっている部分など、メディア情報だけではわからない浪江町の様子を体感した。
タル・ベーラ監督のマスタークラスを通して、映画に対する向き合い方や考え方が変わったという。過去にテレビ局で働いていた時は、視聴者にわかりやすく伝えるために、すべてを撮影し、すべてを伝える必要があると考えていた。今回の制作に関しても、最初から最後まで撮影し、作業の様子やその人の思いを映像にして、すべて伝える必要があると考えていた。しかし、タル監督のマスタークラスで「映像にしたい『場所』『人』を見つけ、視覚的に見えるものから単なる情報を映すのではなく、その人の思いが語らずとも伝わってくるシーンを撮る」ことが大事だと感じたという。
他の受講生については、映像を作るもの同士シンパシーは感じるが、同じ福島という場所にいながら、感じたり興味を持ったりする内容は全く違っていた。それぞれが普段映像を作る中で、伝えたい思いや興味を持っているものに通じる場所や人を撮影できるところをそれぞれが選び、撮影を行った。「日本人の参加者は、被災地に2週間という短期間で踏み込むことに対しためらいのような、配慮のようなものを私自身も含め、雰囲気として感じていた。インターナショナルの参加者は、彼らなりの葛藤がありつつも、恐れよりも興味や知ろうとする姿勢に正直だった。そういった違いや共感をこの期間で感じられたことも貴重な経験になった」と大浦さんは語った。
次回は2月18日の上映会についてお届けします!