三味線から辿る楽器の旅 その2

三味線を起点にした弦楽器のルーツを辿っていたのですが、はっきりしていないことが多いせいか、わかりやすい図表のようなものも無かったので、下記のようなものを作りました。

三味線から辿る楽器の旅

画像だと文字までは読めないので、PDFも置いておきます。

この図面は下記の内容を反映しています。(個人的な推測や考察は含まれていません)

三味線の伝来については、中国の三弦が沖縄に入り、沖縄では三線となり、その後、堺に入り、琵琶の影響を受けて成立した、ということになるようでした。
ゴッタンはその由来がはっきりしないようです。

中国の三弦の由来に関しては諸説があり、

  1. 中央アジアからクーブーズという楽器が火不思(フオブシ?)として中国に伝わり、三弦となった

  2. 東からセタールが中国に伝わり三弦となった(セタールという名称が三本の弦の意味)。さらにその前は古代エジプトのネフェルに起源があるかも

  3. 北方の弦鼗という打楽器(ラトル)に弦を張ったものが三弦となった

などのようです。
また、他に言及されているものとして、チベットのダムニェン等が火不思に類似しており、南方からの影響もある、という見方もあるようです。
なお、三弦は中国国内で様々な形で残っていたり、モンゴル・ベトナムにもほぼ同様の楽器があるようです。

1の説を辿ると出てくるのが類似した名称の楽器で、クーブーズ、コムズ、コプズ、ゴプズなど、トルコから中央アジアにかけて登場します。キルギスのコムズは、形状も前述のクーブーズや火不思に類似しており、確かに関連がありそうな印象を持ちます。
そのコムズは由来がはっきりしませんが、「関連する楽器」としてアゼルバイジャンのゴプズが挙げられており、考古学的には紀元前6000年前に遡るとか。
このゴプズはトルコのコプズの由来ということで、サズの起源にもなっている可能性があるそうです。
このルートを辿ると、アゼルバイジャンのゴプズより前のつながりが見えなくなりました。

2の説を辿ると、三弦とセタールが一気につながったのかどうか、またその前にネフェルからどうなってセタールになったのか、というところの経緯が見えていません。
なお、ネフェルは西アフリカにその影響と思われる楽器があります。

3の説は、ここに記載がある以上のことは追えていない状況です。

南方からの影響説を辿ると、チベットのダムニェンは、国内で生まれたという説もありますが、インド経由で中央アジアからパミール・ラバーブが入ってきてダムニェンとなった、という可能性があるそうです。
パミール・ラバーブはインドに入り、セーニャ・ラバーブを経てスルスィンガールとなり、図には入れていないですがサロードにつながるそうです。
パミール・ラバーブの類似楽器としてラワープ、カシュガル・ルボッブ等があります。が、このあたりがどのように成立したか、というところはまだ辿れていません。

と、概ね以上のようなことがPDFにまとめられています。
様々な説を取捨選択せずに記載しており、何か結論がある話ではないですが、楽器がどう伝わって今にいたるか、という話に思いを馳せると、なかなかロマンがあるなぁ…と。

新たな資料を見つけ次第、更新していく予定です。

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