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繊維製造工業マーケティングのすすめ。8

早いものでもう3月です。国内市場ではそろそろ次の春夏向けに提案を始める時期ですね。合同展示会に出展された方々は、その時の商材の引き合いを元に個別の提案をしていく事かと思われます。

でもちょっと待ってくださいね。
本当にその提案、そのお客さんに必要な提案ですか?
ここまでこの #繊維製造工業マーケティング を読んで下さっている方ならもうお気づきかと思いますが、全部が全部とは言いませんが製造工業の提案は、ほとんどが押し付けです。
これはそのままファクトリーブランドを立ち上げる時などに反映されてい残念な結果を招きます。

個別提案の場合「この技術がすごい」「このテクニックが他より抜きん出てる」など、同業他社と比較して自社が優れていることを誇示しているだけよりも、それが実際にそのお客さんにとって必要な事かどうかの方が圧倒的に大切なことです。
何度も言っていますが、決して『他社より優れた』技術を持たなくて良いと言っている訳ではありません。その『他社より優れた』ものが、お客さんにとって必要なものなのか?ということを言っているのです。

とはいえ、合同展示会など不特定多数の人たちを取り込む場面では、やはり集客用の取っ掛かりはいるので、アイキャッチの良いものや、独自の技術を目立たせるようなエッヂの効いた商品は用意しておいた方が入り口は広がるのは事実です。

ただ、これだけではいけないので、今回は合同展示会でエッヂの効いた商品から興味を持ってもらったお客さんと名刺交換したその先に、実際の商売を見据えて、どのように後の個別フォローをしていったらいいかを考えてみたいと思います。

尖りすぎると痛い

合同展示会でも全面的に推している物のように、基本的な営業テクニックとして、自社が持っている『注目されやすい変わった商品』を個別提案に持っていくことは多いと思います。
そもそも合同展示会ではその『尖り』がお客さんを引き寄せてくれた物だったはずなので。そこに自社の得意な事を詰め込んでいるから、自社ブランドとも言えるべき商品たちだと思います。

ただその商品が、そのお客さんにとってよく考えてみたら不要な商品だった場合、当然ですが、お取引が始まることはありません。
合同展示会時にそのエッヂの効いた商品を手に取ってもらった時に、お客さんは知的好奇心から「これはおいくらですか?」などの質問をしてくる場合があります。もちろん実際に使用する事を想定して質問してきている可能性もありますが、興味本位の社交辞令ということもあるので、いきなりその商品推しで畳み掛けるような営業はこのタイミングでは控えた方が良いです。

せっかく興味を持って入り口まで来てくれたお客さんがその『尖り』を突き立てられて他に選択肢を持てないような間口の狭め方をすると、結局個別の商談は重苦しい物になり、次のタッチポイントを得られなくなります。

なので適度な熱量でちょっと添えるくらいの気持ちで尖った商品を持っていきましょう。売りたい気持ちはわかりますが、まずはお客さんが要る物を提供できるかどうかで、その先に繋がっていきます。

廉価版や代替え案の用意

仮に、エッヂが効いた商品を気に入って使用したいとなった時には話が非常に早いです。が、その商談で次に待ち受けるハードルは単価です。
自社の持ち味をふんだんに詰め込んだ商品に価格競争力も兼ね備えていたら最強かもしれませんが、製造工業の場合、手間がかかったり原材料が特別など、他社と差別化されるポイントのほとんどは積み上げ算的にコストが上がっていくような物が多いです。
なので、提示単価で受け入れてもらえない可能性も高いです。
このタイミングで工業が抱く感情としては「本当にやりたかったらその値段で買ってよ・・・」という、負の感情だと思います。

わかります。僕もそう思います。
「わかる奴だけ買ってくれたら良い!」と尖り続ける経営余裕があれば全く問題ありませんが、やはり商売しなきゃ工業の進歩もないので、売れないロックバンドみたいな根性は一旦忘れませんか。

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