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物理的、心理的、納期の読み方。

納期、それは永遠の課題。
提案前に工場に打診したリードタイムを参考に商談を決めても、いざオーダーしてみたらキャパが埋まってて納期が合わないなんてことありますよね。「あの時はイケるって言ったじゃないですか!」「いや、その時はイケたんだよ!」というなんとも言えないやり取りでお互いの貴重な時間を削り合い、人間関係も悪化させてしまうなんてことは日常的に起こります。

しかしこの納期の読み合い、「なんとかならないものか?」と、悩んでる人は多いのではないでしょうか?
納期管理、そこに潜む日頃の行いの蓄積とは・・・改善すると、解決策が見えてくるかもしれません。具体策というよりは、心構えに近いです。

報せがないのは良い報せを目指して

事前確認をして、オーダーを入れたら、後は放っておいても納期の1週間前位に上がりの知らせが来るのが理想ですよね。弊社のスタッフも常々「お客さんにとって報せがないのは良い報せ」を心がけて日々生産管理に従事しております。が、やはり、管理してる側(我々などに)は、工場から良からぬ報せがきまくります。そう、日々細かなトラブルというのは起こっています。お客さんに伝えるまでもないような些細なことが、物を作っていると毎日毎日起こるのです。

やはり多いのは、指示書の内容をよく確認していない状態で作業に入って、躓いたタイミングでの確認作業です。これの積み重ねで作業時間はどんどんと流れていきます。そして、ひどい場合には、先方に確認を取らなければいけない場面で、工場の作業を一旦中止しなければいけない事が起こるなど、本来は生産前に片づけておくべき確認事項がおろそかにされている場合、特に最近はタイトなスケジュールの仕事が多いので、納期がズレるということが起こっています。
納期がない案件に限って、指示書が未完成の状態で投げられていたり、製造工程上矛盾があるないようのまま現場に指示がいっていたりすると、こういうトラブルは起こりやすいです。

ところが、これは事前の確認が生産側と依頼者側できちんとされていて、その内容が指示書に完璧に反映されていても起こります。不思議です。なのでよっぽど注意が必要な部分は書いてある程度で終わらさずに、目立つようにしておいたり、ファックスしてメールしてラインも入れてさらに電話、可能であれば現場で打ち合わせです。ここまでしてもミスや納期のズレが出るようならその工場はおさらばした方が良いです。
もちろん依頼者側が物理的に不可能な要求をしている場合は工場は悪くないので、その辺は理解しておきましょう。たまにやたら無茶言ってるだけなのに、「納期が遅れる」と工場の文句を言っている人も見かけるので。
そこらへんをまとめたブログがあるので参考にしてみてください。アンフェアな押し付けをしてないか一度よく考えてみると良いです。

人間は横着な生き物です。仕事とはいえ、ぱっとみて惰性で走れそうな部分はやっちゃうのが工業の残念なところでもあり、その判断があるお陰で守られる納期もあったりしちゃうので、完全に否定しきれない微妙な部分でもあります。

結局は"人”がやること

物理的に実現可能な納期設定というのは、現場に入って実際に物を組み上げてみればわかります。当たり前ですが、オーダーシートをファックスした次の瞬間から糸が自動的にセットされて機械が勝手に動くわけではありません。どんなにロットが多い仕事でも、逆に少なくても、準備にはいくばくかの時間がかかります。

ただ、ロットが多い方が、現場のモチベーションは高いので、心理的に仕掛かりが早いというのはあります。結局は相手も人間なので、設定が面倒な上に、数量がシブい時は、取り掛かるのも億劫で腰が重いものです。そういう意味でもやはりロットというのは重要な意味合いを持ちます。

いつまでも少量生産を強要してくるメーカーの仕事はだんだんとやりたくなくなってきます。もちろん生産量を上げられるように努力はしていると思いますが、それが工場に伝わっていなかったり、そういう生産量を当たり前にやってくれるのが当たり前になってしまうと、相当の高価な単価、金額を積めている場合を除いて、その工場がそのようなブランドと付き合っていくということはあり得ません。付き合うメリットがありません。

展望を明るく見通せないブランドは市場に求められていない、もしくは求められる方向性を見いだせていないということにもつながるので、事業の将来性をきちんと説明できないなら、工場がそのブランドに未来を感じることもありません。銀行から融資を受けるのと同じで、回収の見込みがない投資(ここでの投資とは時間をかけたり知恵を貸したりなど)は早々に引き揚げるのがビジネスの常です。人情物語だけで食えるほど工場経営は甘くありません。

つまりそういうブランドに対しての設定納期は受けても後回しになる可能性が非常に高いということです。工場にとってもメリットがあるような取引を心がけましょう。

心理的距離が成す物理的納期

ここまでくるとなんとなくわかってもらえてるかもしれませんが、工場と人間的に関係性が上手くいっていると、お客さんに迷惑がかかるような重大な納期のトラブルはほとんどありません。それはロットもまんべんなくこなして、工賃もそれなりに良く、ある程度の双方の譲歩が効き、投入も常に先んじている場合、工場側から「良いお客さん」の称号を与えられます。これは工場に媚びるということじゃありません。尊重するのです。対等でOK。

たまに無駄に偉そうな依頼者がいますが、そういうのは論外ですね。論外の外です。

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