製造業マインドを知ってスムーズな生産。
製造上のトラブルは人間性を表面化する、ある意味で良いキッカケになります。トラブルなんて起こらない方が良いに決まってるけど、『絶対にない』ということはないですよね。
普段は温厚でレスポンスも良い仕入先さんが、トラブルの時は対応が最悪という経験は少なくないと思います。この時の仕入先さんの「心情を理解しておく必要が仕事上あるか?」と聞かれたら、答えは回り回って「ある」です。
心情などは仕事上必要のないことのように思いますし、トラブルの際は、事実と対処が先です。と、いうのはわかります。僕も75%くらいはそのほうが正しいとは思います。が、「仕入先のフットワークが重くなるのはなぜか?」を理解しておけば、その部分を軽減してあげることで、対応はスムーズになるはずです。なんか書いてて、製造業がめんどくさくてすみませんという気持ちがすごいですが、一個ずつみていきましょう。
人情優先!?製造職人の気持ち
僕のブログ見てくれている方は少しは理解してもらえているかと思いますが、職人気質な製造工業の人たちは人情が先にくることが多いです。いい意味でもあり、悪い意味でもありますが、ほとんどが感情論です。ビジネスライクを苦手とします。
だから、会って話すということは非常に重要です。対面することで普段は見えない表情などをお互いに晒しながら意見交換することになるので、メールの文面だけでは汲み取れない気持ちのニュアンスもお互いに理解しあえることができます。
トラブルが起こった時、工場に事実を淡々と伝えてしまうと、ほとんどが拒絶に近い反応をされた経験があると思います。これは経験論であり、僕の製造背景が過去こういうケースが多かったので、全てがそうではないですが、8割はこの感じです。
例えば、普段からリアルで接点が多い営業と、ほとんど接点がない営業で、同じ工場に同じ品番を同じ条件で依頼した時に、工賃が前者の方が安いという差が生まれることがあります。良いことだとは言えませんが、これが製造工業の人情のリアルです。
これはトラブルが起こった時も同じことが当てはまります。
接点が多い営業は、すんなりトラブルを対処できるのに、接点が少ない営業は揉めに揉めて最悪は取引をしてもらえなくなるケースもあるほどです。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
工賃仕事はほぼコスト
感情論になる源泉として、工賃は固定費の積み上げ算から年間水揚げ量を割返した損益分岐点をベースにして計算されているからという側面が考えられます。これはつまり、工場の固定費の大部分が人件費なので、損益分岐点から逆算された水準を下回ると生活できないということに直結します。
だから極端な言い方をすると、クレームを受けたら死ぬのです。
でも工賃は世間相場にもたれるので、工場の損益分岐点だからと言ってそのまま工賃が世間に認めてもらえているか?というと、そういう訳ではありません。
最近、工場系の方々がSNS上の発信で言いたいのはこの辺だと思います。
見積もり提出は自社の損益分岐点から計算した物を提出したとして、クオリティが単価に伴っていない場合は、当然ですが、そのクオリティなりの値付けをしたい依頼者からすると、値切りの対象になります。
工場としては¥2,000欲しいけど、依頼者からすると¥1,000くらいの市場価値しか認められない物であれば、¥1,000で受けて工場を埋める選択をしてしまうことがあります。この時に工場は依頼者に対して(ウチは安くやったったんやで)という感情が言わないまでも、心の中に生まれます。
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