服の重さとお金の関係。
以前こんなの書いてるので、参考にしつつ、今回は量ではなく、お金の話です。
丸編み生地の高い安いを案に決めてしまうと言っても過言ではない、重さ。なぜ重さが金額に直結するかを今回は解説していきます。完全にプロ向けです。
僕ら製造側は、生地や服の重さのことを『目付け(めつけ)』と呼びます。
丸編み生地は、目付けがわからないと見積もりが出せません。生地の見積もりが出ないと、服の値段も決めれられませんよね。
たまに参考になる履歴もないような全く新しい組み合わせの生地を思いつきで問い合わせてきて、「大体いくらになる?」と言う乱暴な質問をしてくる人がいますが、これははっきり言って対応できないので、覚えておきましょう。なぜなら目付けがわからないから。
目付けに関するブログを過去にも書いてたので参考にしてみてください。
では、目付けと金額の相関を詳しく掘り下げます。
生地が出来上がるまでは重さの単位で取引される
生地を作る時にかかる、糸の値段や、編み工賃、染め工賃はほとんどが重さでの取引になります。(染め工賃は長さのところもある)
糸が1kgあたり¥1,000とか、編み工賃が1kgあたり¥500とか、染め工賃が1kgあたり¥1,000といった具合に、全て1kgあたりいくらという感じで物の値段が重なっていきます。
例えば、上記の例のまま計算を進めていくと、糸¥1,000/kg+編賃¥500/kg+染賃¥1,000/kgだったら、この生地は¥2,500/kgの生地ということになります。
糸ロスの計算なども入るので、このままこの値段というわけではありませんが分かり易くするためにこのまま進みます。
計算式にすると↓こうです。
糸値(¥/kg)+編工賃(¥/kg)=生機(染める前の生地キバタという)値(¥/kg)
生機値(¥/kg)+染工賃(¥/kg)=生地値(¥/kg)
これで生地の値段は出せました。
え?kgじゃ分からん?そう思えた人は鋭いです。
そうです、生地は長さで買いますので、1mあたりいくら?という状態になっていないと服のコスト計算ができません。
完全に余談ですが、僕が量産時に生地から作る服の場合は生地単価を1mあたりいくらという計算方法はしません。掛かったお金を全部足して最後に枚数で割るので、実際の原価が一番はっきりします。見積もりの時は1mあたりのコスト計算は必要ですが、実生産のコスト計算時は見積もりの内容よりも実費の方を重視しないと見えていないロスを算入し忘れたりしますので。
話を戻します。1mあたりいくら?の状態になっていないと服のコスト計算ができないのは、服を作る時に『要尺』といって、服一枚あたりに何メートル生地を使うか?(m/枚)という指標があるからです。これは服作りに関わっている人なら誰でも理解しているはずです。
では生地コストをkgからmに変換するのはどうやるか?
目付けが分からないと重さから長さへ変換できない
先にも触れましたが、目付けが分からないと見積もりが出せない理由としては、1kgで何メートル生地ができるか?が分からないからです。逆に言えば、1mの生地が何kgかわかれば良いのです。
そう、1mあたり何kgというのが生地の目付けです。目付けの単位は kg/mで表します。あまり1mあたり1kg以上の生地は無いので、基本的には1/1,000単位の g/m(グラムパーメートル)で表記されています。
よく海外の生地は g/m2(グラムパースクエア)で表記されていますが、これは1平米あたりの重さなので、生地コストの計算をする際は幅なりに直す必要があります。(洋服の重さを考える際は平米の方が分かりやすいかもしれません)
目付けの算出方法はいたってシンプルです。
幅なりに1mカットした生地の重さを計る。
以上です。
これ以外に方法はありません。
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