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色ブレってなんで起こるの?

今回は色について書きます。結構これに悩まされる方は多いのではないでしょうか?
生地が決まって、色を決めて、任意の色チップを生地メーカーさんに渡してビーカー依頼をする。
依頼したチップとビーカーの色が違う・・・ありますよね。

ビーカーではOKの色が出来たのでサンプル染色に移行、染色後上がってきたサンプル生地がビーカーに対して色がブレている・・・ありますあります。

ビーカーOKでサンプル生地染めたら許容範囲で色合っていて、そのまま量産進行したらサンプル生地と量産生地の色がブレている・・・あー、もうこれ、染まっちゃったよ、染め直してぇ・・・残念ですが、ありますよね。

なんで色ブレしちゃうのか?じっくり考えていきたいと思います。

完全一致は絶対無理

もう身も蓋もない話になっちゃいますが、結論はこれです。『完全一致は絶対無理』です。100000000000000%無理です。
そもそも、検色(染め上がりの色を確かめる作業)は人が目視で行います。この時点で個人差と言う超えられない壁があるので、ジャッジ側と染色側で許容差があります。
明らかに色が違う場合は染色工場の力量の問題なので論外ですが、微妙な差でブレてることありますよね。これは様々な条件が要因です。

だいたい、違う色に染めてやろうなんて悪意のある染色工場はありません。基本的にはどの染色工場も、『染め屋』のプロとしてのプライドがありますから、「赤頼んだのに黄色になった」と言うような事態は起こるはずがありません。そのような極端なトラブルの場合はだいたいが指示系統のどこかで通達ミスがあります。染色工場に染色指示が行く手前でミスってるケースです。これは人災で明らかに染色ブレとは無関係の部分なので今回は割愛します。これで悩んでる人は間の業者選定から考え直した方が良いです。生産オペレーションに無理があるからトラブルが起こるので。

で、様々な要因について細かく見ていくと、下記の原因が考えられます。

・光源の問題

・演色性の問題

・投入生機ロットの問題

他にもありますが、大きくはこの辺に集約されると思います。
それぞれ見ていきましょう。

光源の問題

これはもうそのままなんですが、色を判定する際に光源は非常に重要です。
説明を進める前に、光源の理解を少しさらっておきます。

上図のように『可視光線』といって、人間の目で見える光の色はある程度決まっています。虹に見る例の7色です。この色相波長は僕が手書きしたイメージモデルですが、概ねこの通りなのでこのまま話を進めます。
この可視光線は、環境によってそれぞれ目に見える色を変化させることがあります。
『自然光のみで見る場合』、『蛍光灯下のみで見る場合』、『自然光+蛍光灯で見る場合』など諸条件ありますが、この光源環境は染色工場と生地屋とアパレルのみんなが完全に同条件ということはないです。そりゃそうですよね。地域や天気、建物の窓の位置、人工照明の数、時間、全て光にとって条件が異なります。

簡単に言うと色は可視光線が対象物に強く反射した時に見える可視光線の中の色相が『その色』だという認識になるので、光源の条件によって見える色は変わります。下図を参照してみてください。夕陽が赤い理由です。

昼間は光を垂直に受けるので、ほぼ全可視光線が目に入っていることになります。

夕方は太陽光に対して斜めになるので、波長が長い赤が強く目に入ってくるので赤く見えます。(オゾン層との関係とか白昼色のレイリー散乱とか光の性質は詳しくは書きません)

このように、光の条件が違うと反射する色味は違ってくることがわかります。

可視光線の光の波長は赤が長く、対して青紫が短いので、色のブレで赤味や青みなどのブレが起こりやすいのは、この波長の対比が顕著に出る場合が大きいからです。

この中では光沢の出し方について書いていますが、光沢=光をどのように反射するか?ということにも繋がります。それによって次項の『演色性』も理解しやすくなると思います。

演色性の問題

先ほどの光の問題とリンクしますが、生地表面の凹凸も色の見え方に大きく影響します。
ビーカー依頼をしたら、その後の工程で色をどう読み取って染料の調合に活かしていくか?を理解していると割と話が進みやすいので、下記リンクを参照してください。

染色工場は届いた色見本をCCM(コンピューターカラーマッチング)という読み取り機械に挟み込んで構成色をCMYKデータに変換します。その構成色値がそのまま染料データに置き換わるので、理論上は元色見本から染色データ通りに染めた場合は同じ色になるはずなのです。

ところが、元色見本がテンセル天竺などのフラットな表面で艶がある物に対して、染色対象が綿のワッフルなどの凹凸があって光沢が無い物の場合、そもそも光の反射条件が違い過ぎるので色は基本的にジャストで合うことはありません。その上がりは遠からず、近からずというところです。

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