八十投目

明日は師匠の誕生日だ。
満五十五歳となる。
師匠の親父さんが五十五で亡くなったとの事で、師匠の直近の目標は五十五歳まで生き延びる事だった。
何とか目標達成出来そう。

コンビニでバカスカ食料を買い込み、師匠と駄弁りながら消費していく。
営業はとっくに終了していて、それをわかっている常連の弾き語りミュージシャンでもあるKさんも来て、店の配信用動画撮影も出来ちゃうよシステム(各種カメラ四台とスイッチャーと元からある環境その他諸々)の検証をするのがオッサン二人(Kさんは僕より上で師匠よりは若い)の遊び。
僕は片手間で茶々を入れる。(素人の見地から感想を言う)

今日は仕事の後に歯医者の検診。
よく磨けていると褒められて気を良くしたが、うっかり現金を下ろし忘れていて肝を冷やした。
謝ってコンビニへ走り、無事に下ろして診療費を支払った。

通っている歯科は、繁華街のど真ん中にある古い商業ビルの四階にある。
今の先生はほぼ居抜きのような形で前の先生(硝子工芸が御趣味らしい…クリニックのあちこちに見事な切子硝子の作品が飾られている…)からクリニックを受け継いだらしい。
医者の大人の事情…とかいらん事を考えかけたので自重した。

アウトドアな気配のする闊達な先生と、ちょっとおっとりした歯科助手さんが好ましくてちゃんと通えている。
先生の歯科助手さんへの鋭い指示に苛立ちが滲んでいるような気がして患者の僕も他人事とは思えずに目を閉じたまま首を竦めそうになる。(歯科助手のバイトもほんの一時だけした事があるので目を閉じていても何となく状況がわかる…笑)

雨の日の仕事はアンニュイ。
屋外の肉体労働なので、すぐに末端が冷えて憂鬱になる。

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