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富山のブランドなし「呉羽梨」いただきました。

富山県の中央に南北に走る形で位置する呉羽丘陵を有する呉羽地区。

丘陵を挟み東は呉東、西は呉西と呼ばれ、呉羽丘陵は東西で微妙に違う富山の文化の分岐点となっています。

そんな境界に存在する呉羽地区は富山でも有数のなしの産地で、そこで産する『呉羽梨』は富山県を代表するブランドなしとして知られています。

生産量は全国17位と微妙な位置にいますが、なんといっても丘陵一帯に広がるなし畑の景色は、全国にも類を見ない美しさ。

北陸自動車道の呉羽PAから望むなし畑と立山連峰のコントラストといったら「筆舌に尽くしがたい」というのはこのことだと思える素晴らしいんですよ。

さて、呉羽梨。このなしの特徴は「無袋栽培」であることが一つにあります。

一般的ななしは、病気や害虫を防ぐために、果実に袋をかぶせることが多いのですが、呉羽梨の場合は、袋をかけず、自然のままの状態で栽培されます。

また、呉羽地区のなし農家のすべてが、減農薬を実施するエコファーマー認定を受けているうえ、災害が全国的に見ても少ない富山にあって安定した品質を保つこともでき、健やかな実が天候に左右されず手に入る、稀有な地区でもあります。

自然の光を一杯浴びて健やかに育ったなしは、酸味がなく甘みと果汁がたっぷりで、知る人ぞ知るブランドなしとしてファンは全国規模なんです。


ですが、今年はちょっと様子が違いました。

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いつものように、4月には美しい梨の花が一面に咲き誇っていたのですが(写真は富山市観光協会のHPより引用)、悲劇はその時おきました。

4月なのに、霜が降りるほどの寒さになった日があり、その時の気温は-3℃。季節外れの超低温により、めしべの機能が損なわれてしまったのです。

花は咲けど、受粉はできず。なので、今年の呉羽梨は壊滅的な被害を受けてしまいました。

実際生産者さんのところに足を運んでお話を伺ってきましたが、本当にひどい有様で…道路を挟んで丘陵の上に畑があるか、下にあるかで明暗が分かれたそうです。

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本来ならたわわに実っているはずのなし。実はあれど、間隔が広く…。生産者さんによっては毎年恒例の直売所を開けない、という選択をされたところもあるそうです。

とはいえ、全体的にみるとそれなりの生産量はあり、「呉羽梨」として市場に上がっていたのでちょっと安心しました。

そして自分で入手する前に、いただきました、呉羽梨。

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しゃっくっと齧るとあふれる果汁。上品な甘さが口いっぱいに広がります。

いつもながらの素晴らしい味わいに、生産者さんのご苦労がしのばれ、今まで以上により愛おしく感じられるのでした。



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