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キャラクターとライセンス <33>ライセンサーとライセンシー

前回の続きです。

ライセンサーの立場でライセンシーのことを書いてみますよ。
実際にはライセンサーになったことはない(前職ではライセンサーもやってたけど担当になったことはない)ので、「きっとそうだろうな」ということを想像で書くよ。

でも、ライセンサーにもいろいろあって、また担当者も人間なので色々あって、外資はまた特別な存在だし、どこから書くか迷った。
まあ、それでも権利をライセンスするという、一般的な全体を書こう。

ライセンサーは自社の権利を、ライセンスというツール(契約)を通じてライセンシーを作り、版権ビジネスをする。
版権ビジネスとは、権利を貸し出して、自社ブランド/キャラクターを広げ、一般の人にブランドの方向性やターゲットを囲い込み、同時にロイヤリティ収入を見込む、というビジネスですよ。
ライセンシーができて、はじめてライセンサーという立場が生まれるわけです。

だから、そのブランド/キャラクターを展開するライセンシーは選ばなくてはならないよ。
「ちゃんとビジネスするところ」「品質の良いものを作るところ」「ターゲットに合った商品を作るところ」「いい販売先/小売店/流通を持っているところ」「言ったことを守るところ」・・など。

もし、契約してライセンシーとなった会社が、海外の工場に発注していて、その工場が子供を使って生産させていたりしたら、そのブランド/キャラクターのイメージが一気に下がってしまう。
もし、販売した商品が、ユーザーに怪我をさせてしまったりしても同じですよ。
(契約書にぜーんぶ書くようにしているので、契約書のページ数がどんどん増えていく)

だから、ライセンシーが大きな金額を産み出すからといって、かんたんには契約できないのですね。
逆に言うと、ライセンシーがコンテンツを借りたいときには、そこらへんのことをポジティブにアピールすると、いい印象になるね。

ライセンサーがライセンシーを見つける大きな方法はライセンス関連展示会への出展ですね。
ひとつは「ライセンシング ジャパン」(コンテンツ東京)。
そして「ライセンシング EXPO ジャパン」

展示会に出展しないところも多くあります。
そういったところは、ライセンシー候補がたくさん出展している展示会に行って各ブースをまわりますよ。名刺をたくさん持って、コンテンツのチラシもたくさん持って。
東京インターナショナル ギフトショー
プレミアム・インセンティブショー
ファッションワールド
国際雑貨EXPO
国際 インテリア雑貨EXPO
国際文具・紙製品展(ISOT)

こういった展示会へ行って「私、〇〇(コンテンツ名)のライセンス持っているのですが、御社の商品にふさわしいと思いますので、ちょっと話を聞いていただけますか?」と言って、商談コーナーで名刺交換、プレゼンする(できないときは資料を置いていく)のですよ。

ライセンシー候補は「おお、いいですね。ロイヤリティはどのくらい?」が決り文句!カナ?
ライセンシー候補は、こういったやり取りを1日数件から数十件行いますので段々と記憶が曖昧に・・笑
名刺もライセンス以外のも含めると100枚以上集まります。

展示会が終わり、社内の報告会などで検討するのでしょうけど、名刺のほぼ全てがお客様(またはその候補)なので、フォローしなくてはならないので、1ヶ月ほどは、そういった対応なのですね。

展示会以外でのライセンシーの接点は、すでに(同業に限らず)他社が成功しているコンテンツを見て、「うちもほしい、使いたい」とライセンシー候補がメールなどで、ライセンサーにアプローチしてくるタイプだね。
そのようなとき、ライセンサーは知っている相手は別だけど、初見の場合は、会社をしっかり調べます。(冒頭に書いた理由のため)

他にも、略奪に近いものもあります。
あるコンテンツをA社がライセンシーになっていて、競合B社のライセンス担当から電話やメールで、「あのコンテンツ、A社がライセンシーだけど、ギャランティをA社より多く出すから次のタームからうちと契約してくれない?」というやつです。
実際にA社の成績がそれほどでもないときは、ライセンサーはA社に対して「ちょっと来期は今年の2倍売ってくれるか、無理なら契約終了ってことで!」と脅しに近いことを言ったりします。
そしてB社がめでたくライセンシーとなり、市場でB社の商品を見たときにA社は「あっ!」と思うのです・・。(この話本当にあるのですよ)

外資系のライセンサーは、大体が日本法人だけど、本国から数字のノルマがあるようで、ライセンシーはそのクリアのために必死になります。
上記のように、競合他社に権利が移ってしまわないように、なるべく公私ともに仲良くなろうとしますね。(実際仲良くないと続かないのですがね)

あ、ウシロカラササレナイヨウニシナケレバ‥

つづく


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