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圧巻の「アメダス」ネーミング

 気象庁のホームページには、各地の危険度分布を表示する「キキクル」がある。

 私がこの名前を知ったのは、うかつにも今年になってからだが、名称自体は2021年3月から使用されているものらしい。

 こうしたネーミングは、元になった長い名称を略していることが多い気がするものだが、「キキクル」については単純に「危機が来る」ことを伝えているだけなのか。

 たとえば、すっかり生活に馴染んでいる「アメダス」。

 これは「Automatic Meteorological Data Acquisition System」(※現在は最初のAが「Automated」)の略称だという。それを「雨、出す」としたセンスは秀逸だ。っていうか、まず「雨、出す」があって、それに無理やりに英語をくっつけたのかな。

 ネーミングの世界では、これを「頭文字造語法」と呼ぶらしい。

 京セラ「サムライ」の「Super Auto-Matic URbanAmazing Innovation」などは、その“無茶ブリ感”がなんとも痛々しい。まず「サムライ」を決めたあと、会議で「あーでもない、こーでもない」とみんなで知恵を絞ったのだろうな。

 派生形ですぐに思いつくのは集英社が発行していた用語集「イミダス」。「現代用語の基礎知識」の後発として発行されたが、現在は紙の発売はしていない。(そういえば同じ後発組に朝日新聞の「知恵蔵」もあったが、こちらも廃刊。生き残っているのは元祖「現代用語の基礎知識」だけだ)。

 「イミダス」でググってみると、Wikipediaに「書名は、地域気象観測システム「アメダス」を意識したもの。」との記述がある。「意味を出す」ということなのだろう。用語集という企画自体がパクリっぽいだけでなく、タイトルまでちゃっかり借用ちゃっているのは、なんだかすごい。

 やっぱり「アメダス」のセンスは抜群だ。
(22/9/4)


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