選書アンテナの感度を磨く
原田ひ香さんの「母からの小包はなぜこんなにダサいのか」を楽しく読了した。
自分は原田ひ香さんのいい読者ではなく、これまでに数冊読了したはずだが、どれも薄ぼんやりとした記憶しか残っていない。つまり“作家読み”の対象にはなっていない方なので、この作品についてもタイトルが面白くなかったら手にしていなかったかもしれん。危ない、危ない。
本作はどれも、ちょっとぎこちないけれどしっかり存在する家族の愛情が垣間見える仕掛けになっていて、ページが止まらなかった。ラスト「最後の小包」がダントツにいいが、他も佳作揃いである。
読書メーターで覚知して手にしたのがきっかけだったように思うが、とにかくちゃんとアンテナに引っかかってくれてよかった。ひねったタイトルに感謝。
趣味の読書は年間300冊ペース。ざっくり半数は気軽に楽しめるエンタメ系の小説で、その作品群の基本的な水準の高さに敬意を持っている。それでもなかには、「ムムム、時間を返してくれ!」と叫びたくなるような作品に当たることもある訳で、常に選書アンテナの感度を磨き続ける“修行”のような日々である。
(21/11/11)
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