害虫と雑草
珍しく我が家にゴキブリが出現したそうだ。私は不在だったので息子が処理したらしい。
ゴキブリを寄せつけないとの触れ込みがあるアース製薬の「ブラックキャップ」という製品を数年前から使っている。自宅のあちこちに12個を設置して、1年毎に交換する。
滅多に出現しないのはこいつの効果なのか、それとも偶然にすぎないのか。
それにしてもかの生物の醜悪なことよ。
茶色い躯体、チロチロと蠢く触覚、すばやい動作。想像しただけでも身の毛がよだつ。ましてや実物を見れば悲鳴のひとつもあげたくなるのは理解できる。
カブトムシなどの昆虫を愛でる人がいるのに、どうしてゴキブリは万人が“醜悪”と感じてしまうのだろう?冷静に観察すれば、形状に大差はないような気がする。
戦前に大弾圧を受けた大本教の二代教主・出口すみのエピソードを思い出す。開祖・出口なおの娘として弾圧の対象になった。
評伝によると、出口すみは獄中でゴキブリを愛でて、和歌の題材にもしたという。そのような境遇ではゴキブリちゃんですら愛おしいのか、それともすみのキャラクターなのか。自分には真似できないな。
人間はかの生物を「不潔な害虫だ」と決めつけている。しかし、それは人間サマ側の勝手な都合であって、あちら側に罪はない。
昭和天皇は「雑草を刈りました」という側近の報告に接して、「雑草という名の草はない」「どんな植物でも皆名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方で、これを雑草と決め付けてしまうのはいけない。注意するように」とたしなめたと聞く。
害虫と雑草。
わがもの顔で地球を席巻しているホモ・サピエンスの傲慢さが現れている言葉なんだな。
(22/11/20)
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