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閉店する前に新宿・紀伊國屋書店ビル「モンスナック」のカレーを食べた

子どもにとって新宿は「ウルトラ大都会」だった

小学生の頃、都下に住んでいた私にとってターミナル駅の新宿は目が眩むほどの大都会だった。ひとりで電車に乗って紀伊國屋書店本店で横山光輝「水滸伝」全巻を買ったのは4年生の時だったか。親に連れていってもらった際の記憶を頼りに雑踏を辿って、地下のあのレンガ装飾の入口にやっと到達した際には心の底から安堵した。それ以来「本が大好きな少年」は「青年」「おじさん」と変遷したが、あのビルは「膨大な出会いがあるワクワクワンダーランド」であり続けている。

地下の名物カレー店

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「モンスナック」。店名は知らなくても、ビルを訪れたことがある人なら常にいい香りで客を誘っているあのカレー店はわかると思う。サラサラとしていながらコクがあるルーが好きだったので、大学生や駆け出し社会人のころにはよく通った。北杜夫氏が「カレーはあのシンプルさが一番なのだ、とヨメを連れて行って食べさせた」とエッセイに書いていたのにもニヤリとさせられた。

そのモンスナックが閉店するという。そういえばかなり前に「紀伊國屋書店本店ビルの耐震性に問題あり」という記事を読んだ記憶があり、「たまにしか行かない私でもいい気分がしないのだから、毎日そこで働いている方はたまらんだろうなあ」と思っていた。「やっと建て替えに」ということなのだろう。

父を誘って食べにいった


こういうものは「それならいつか食べ納めに行こうか」とぼんやり思っているだけでは、確実にそのままになってしまう。たまたま平日の代休があったので、父親(やはり本が大好き)を誘って食べに行ってきた。

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同じような「食べ納め組」がワンワン来ていることを危惧して早めに行ったが、開店10分前到着で2組目だった。切り盛りしている中国人女性の日本語がまったく客商売向きではなくて、なんとも威勢がいい(ホメてます)。そして気軽に食べられる安さとおいしさは昔と変わっていないので、とっても嬉しい。これからは、閉店の日が近づくにつれて連日長い行列を覚悟しなくてはいけなくなるだろう。そうでなくても「やっぱりおいしかったから」「名残惜しいから」とわざわざまた訪れるのは野暮というもの。センチメンタルジャーニーは1回だけにしておくのが大人の嗜みだ。

ご馳走さまでした。

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蛇足:Gモンさんも来た


開店の数分前になって、ビデオカメラマンを引き連れたD倶楽部のGモン氏が私たちのすぐ後ろに着列した。お得意のグルメリポートのロケに違いない。しきりと懐かしがってみせながら食リポをやっていた。カウンターのほかの客にチラ見されながらあれこれ喋るのもなかなか度胸がいることだろうナ、とちょっと感心する。期せずして有名人を見かけるといういいオマケになったが、昭和ヒトケタ生まれの父はGモン氏を知らなかった。

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