プーよ、『何もしない』とは奥深いものですね

11月7日
【前回までのあらすじ】
昨日、会社からの呼び出しのせいで下がりきったテンションを上げるべく、もちづきもちこは一人、映画『プーと大人になった僕』を鑑賞、無事働く気をなくしたのだった!

プーは言っていた。
『何もしない』をすることが最高の何かにつながると。
確かに、今まで納期や収録などのスケジュールに追われて、ただ皆に遅れて迷惑をかけぬよう、仕事をこなすことに必死になっていた。タスクを処理することばかり一生懸命で、その割になりたい姿には近づけていなくて。
私は文筆家になりたいはずだったではないか。
それなのに、公募用の作品どころか思いつきの書きたい文章すらnoteに上げられていない。
きっと、その『自分のやりたいことができない苦しみ』もあって、今回のようなうつを引き起こしたのだろう……。

そうと決まれば、今日はもう何もしない!
プーのアドバイスどおり、『何もしない』をするぞう!
時間を最高に虚無なものにしてやる!
昨日からそう決め込み、目覚ましアラームをかけずに眠った。

目が覚めたのは12時だった。
ガララと雨戸を開けると日の光が差し込んでくる。
11月だというのに、日光というのは1年を通して変わらずポカポカあたたかで心地良いものだということに改めて気がつく。
ルンルン気分で昼食を作り始めた。今日の昼ごはんはホットケーキだ!

鼻歌まじりで生地を混ぜ、まんまるのホットケーキを作る。できたてのホットケーキにハチミツをたっぷりかけていたあたりに、いかに自分の魂が100エーカーの森を求めているか見出せそうだが、とにかくこれが美味しい。『しあわせ』を辞書で調べたらこの味が例として出てくると思うほど、優しい甘みが私の心をとろけさせる。そんな4Dの辞書が実現されるかはさておき、一人でもくもくとホットケーキを食した。

さて、食事後の流し台を見てみよう。
生地のへばりついたボウル、ゴムベラ。
ハチミツのべったり付いている平皿、フォーク。
その他、調理に使用されたたくさんの器具たち。
とにかくごちゃついている。
テンションが一気に下がる。
誰だよこんなに汚れもの増やしたやつ。
最大級のブーメランをぶん投げながら、私は『一旦無視』を選択した。
そして、気が済むまでネットサーフィンをし、ブルーライトで疲れた目を癒すために昼寝をした。

次に目を覚ます頃には辺りは暗くなっていた。
ああ、もう18時かぁ……。
重い身体を起こし、やっとの思いで雨戸を閉める。
今日はあまり身体を動かしていないため、色々めんどくさい。ほら、アップ運動がされないまま全力で走れないじゃん?その感覚に似ている。
ああ、お腹は空いたけど料理するのめんどくさい。
というか、昼のアレを洗うのがめんどくさい。
私は秘奥義『後回し』を繰り出し、まだ使っていなかった片手鍋でインスタントラーメンを作った。
もちろんズボラなので鍋ごと食べる。
こんな時でもラーメンは美味いのだ。

そこからというもの、トイレに通りかかるたびにチラチラと視界に入ってくる汚れものたちをスルーできなくなり、ダラダラと洗い物をした。
いやー終わった終わった、と安すぎる達成感に浸りながら本を読んだり、この文章を書いたりしていたら眠気がやってきた。
もう0時かぁ……寝ようかな……。

ハッと気がついた。
今日、一体私は何をした?
遅くに起きて、飯食って、昼寝して、起きて、飯食って、本読んで、寝ただけじゃね?
洗い物はちゃんとしたけど、それもはや義務だったじゃん?
え、公募用の文章とか一切書けてなくね?

プーが教えてくれた「『何もしない』をする」を実行した結果、私は『このままではいけない』という危機感を手に入れることができた。
明日こそちゃんと文章を書くぞ……!

物書き志願者です! 貴方のサポートが自信と希望につながります!