映画「怪物」、予告で思ってたのと全然違う!!(それもまたよし)となった話
タイトルで全部言っちゃった。
もし、予告を見て無理かも~~となってもいけるかもしれないので、自分の感想を残しておきます。
内容にも触れる。
予告の印象
皆さん、予告はご覧になりましたか?
私はここ半年ほど、THE FIRST SLAM DUNKを見るために映画館に通う生活を送っていまして、何度となく目にしていました。
『怪物だーれだ』、意味深なカード、走る子ども、吹きすさぶ風、『頭に豚の脳が――』
この予告を見た感想、いいっすか?
「カルト系ホラー!?ハーメルンの笛吹き的なやつ!?」
私はホラーが苦手なので基本的には見ません。特に映画館は「逃げられない」感じがするので無理。ハッチングは映画館で見たけど、ミッドサマーはアマプラで見た。
というわけで、私の鑑賞リストからは外れていました。
鑑賞の動機
それじゃあなんで見た?といいますと、とあるnoteを見て「おや?カルト系ホラーではなさそう??」と知ったからです。
【朗報】カルト系ホラーではない
あと、是枝裕和監督の伝えたいことは~みたいなツイートを見て気になりまして。
特にファンではないですが、ミーハーなので「そして父になる」「海街diary」「三度目の殺人」は劇場に行きましたが、そのメッセージは受け取れなかった人間でして。
考察をしない人間ですので、作品のメッセージとか一つもわからないんですが、先のツイートを見て、是枝監督のもつテーマを探しながら鑑賞してみようと思いました。
感想
子どもって強いね……
視点が入れ替わるタイプのやつで、印象がどんどん変化していく構成は素直に面白かったです。
多面的な視点って大事。
安易に「大人が改心して子どもを助ける」みたいな構造じゃなくて、私は好きでした。
子どもが善良な存在としては語られていないのも良かった。
子どもを評するとき「無邪気ゆえの残酷さ」みたいな言葉が使われることがありますが、全然そういうもんじゃなかったですよね。
子どもたちはとても狡猾で、ゆえに大人は騙され、見逃し、追い詰める。
小学生ってめちゃくちゃ賢いよな~~~と思いました。
この作品、明確な悪人ってあまりいないですよね。
愚かであることが悪であれば大体悪人ですけど。
だからこそ救われない物語だな、と感じてしまいました。
麦野母と堀先生が「理解ある大人」になったところで、「暴力教師」「お騒がせなシングルマザー」というレッテルは剥がれません。
星川父のことは解決するでしょうか。考えを変えるでしょうか。
星川祖母はどんな考えを持っているのでしょう。
鑑賞者が幸福な未来を想像するには、あまりに困難が多すぎる。
だから「救われない」と感じました。
さて、ラストシーン。
世間的にはどういう解釈なんですか?(解釈クレクレ妖怪)
私は基本的に考察しない(できない)人間なので、特になんの解釈も持ち合わせていないです。なんて残念。
ただ、見ていて思い出した文章がありました。
『親がなくとも、子が育つ。ウソです。親があっても、子が育つんだ』
子どもたちは自分の力で暗闇から這い出て、すっきりと洗われた世界を駆ける。
すごく希望を感じさせるようなシーンだと感じました。
大人が居ても力強く生きることができるのだと。
一方で、大人が居ない世界だからこそ自由に笑い合えるのかも、とも。
子どもたちは強すぎて、勇敢すぎるから、大人が守らなければいけないのかな、と私は思っていました。
結局「是枝監督の気持ち」みたいなのは全くわからなかったんですけど。
で、触れるべきかな〜、別にいいかな〜と思っている内容があります。
鑑賞済みの方ならお察しでしょうが、子どもたちの恋愛のことですね。
ことの発端でもあるのですが、個人的には主題じゃないと思っているので最後になっちった。
鑑賞のそもそもの動機にこの辺の内容があったのですが、鑑賞していて「ここテーマじゃないかも〜」と感じたので。
もちろん作品の大事なポイントの一つです。
でも、「同性愛も愛の形だ」とか、「LGBTQへの理解を促進しよう」みたいな啓発がしたいわけではないと思いまして。
麦野母や堀先生が行き着くところはそこかもしれませんが、鑑賞者俺はずっと「親と子ども」「大人と子ども」の話を見ている感じがしていました。
そう感じたので、主題ではないと表現しました。
私はもう子どもではないので、この映画から「お前たちのせいでこうなったよ、あーあ」って言われているような感覚があります。
子どもたちにはあたたかい眼差しがあっても、大人に向けられているのはもっとシニカルなものであるように感じます。
大人が子どもを傷つけ、自ら立ち上がった子どもを大人が称賛する、なんてとんだマスターベーションです。
でも狡い大人だから感動しちゃった……
着地点が見えなくなったので終わりますが、予想していたより面白かったです!!やった!!!
予告で鑑賞を迷ってる人へ
とりあえず、予告で「ホラーかな?」と思ってる人へ!!ヒューマンドラマです!!安心して!!!
そんな勘違いしてんのは私だけかもですが、この作品を必要としている人に届くことを願っています。
感想文にお付き合いいただきありがとうございました!
引用文献
坂口安吾(1948).不良少年とキリスト
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