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「小さな写真館の作り方」

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2015年、佐賀市に築100年の古民家を改装した写真館をオープン。その経緯を追いながら、地方都市で小さなお店を始めたい人のためのノウハウを紹介しています。2020年5月に発刊の「…
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#まちづくり写真館

第9回 なぜ写真館だったのか?(その2・もし自分がお客なら)

前回、写真館を作った理由として「下請けではなく直接お客様と繋がりたい」というBtoBとBtoCの事業形態のお話をしました。 そして私が写真館をしようと思ったもう一つの理由。それは『自分が行きたいと思う写真館が周りになかったから』です。 当時作ることが決まったスタジオスペースで、どんな写真サービスを始めようかと考えていた時に『子供がいて、七五三や家族写真を残しておこうと考えた時の自分』を想像してみました。 「チェーンの子供写真館ねぇ……自分の子供にはキャラクター服は着させたく

第10回 なぜ写真館だったのか?(その3・写真館という言葉の価値)

「お仕事は何をされているんですか?」初対面の方によく聞かれる質問です。 私はこう答えます。 「佐賀で小さな写真館をしています」すると半数以上の人が「へぇ~……」と答えた後、「じゃあ、人を中心に撮ってるんですねー……」となり話はだいたいそこで終了です。 もし私が男女問わずモテようとするならば「フォトグラファーです」とか「フォトスタジオを経営してます」なんて言えば良いのかもしれませんが、私はそう言いません。(それも違いそうですが) それはなぜか?今回と次回は私が写真館をつくること

第11回 なぜ写真館だったのか?(その4・マイナスイメージは逆手に取れ)

前回「写真館」という言葉にはサービス内容がすぐに伝わるという素晴らしい価値が存在しているというお話と同時に、「古くさい」などのマイナスイメージも与えてしまうかもしれない問題があると書きました。 改めて伺います。みなさんは「写真館」と聞いてどうイメージしますか? 「重厚な作品・高級な額・暗いスタジオ・お堅い写真・入りにくい・おじいちゃんカメラマン・ジャケットにスラックス……」 じゃあ「子供写真館」のイメージはどうでしょう? 「明るい店内・可愛いアルバム・ぬいぐるみ・キーホルダー

第12回 なぜ写真館だったのか?(その5・お店を持つメリットデメリット)

なぜ写真館だったのか?シリーズのラスト。 そもそも写真館になるまでの経緯として、自分のスタジオが欲しかったことから始まっていることはお話ししてきた通りです。 「写真館」と「自分の撮影スタジオ」 その大きな違いは普段営業しているかしていないか。つまり「お店」なのか「事務所」なのかということです。 私の場合は写真館という実店舗(お店)を作ることを選んだのですが、ではお店を持つことのメリットとデメリットってなんでしょうか? まずはデメリット。これについては大きく2つ。 それは「時

第17回 開業までの時間は何をする?

私には写真館をオープンすると決まってから、実際に開店するまで1年半という準備期間がありました。今回はその準備期間に何をしたか、そして何をするべきかを書いていきたいと思います。 当然開業するまでの間も生活があります。なので撮影の仕事は続けました。また公庫からの融資もあるとはいえ、開業資金も潤沢にあった方がもちろん良いでしょう。 しかし私の場合、がむしゃらに働いてお金を増やすというよりは、時間のある間にできることをしようと思いました。その多くが自己投資です。 ・写真館を始めるに

第18回 経営者、個人事業主になるということ

ここ数年「起業」や「独立」なんて言葉をよく耳にするようになりました。自分が起業したから余計目につくのかな?とも思ったりもしますがどうなんでしょう。いずれにせよ、自分の周りにはそんな人が多いのは事実です。 前回、開業までの時間について書きましたが、そこに踏み出す前の段階の人には知っておいて欲しいこともあります。 それは、もしあなたが今どこかで雇用されている立場で将来的に起業や独立を考えているならば、その道には少しだけ覚悟というものが必要ということです。一見華やかに見える独立開

第19回 写真館でかかる経費

「自分で自分の責任を取る。」その覚悟はできたでしょうか? 責任の中にはお金をちゃんと支払う。というものがあります。そこで今回は写真館を始めるとかかる経費について書きたいと思います。 独立開業すると何かとかかるお金。
私自身、始める時そして始まってから「こんなものも必要なんだ」と想像していなかった経費もたくさんありました。 知らなかったでは済まされない経費のこと。開業後の参考にもなりますので書き出していきたいと思います。項目は将来法人化した時に必ず目にする損益計算書という会社

第20回 雇われカメラマンが写真館を開いたら(プレイングマネージャーの仕事)

大学卒業後から15年以上、雇われカメラマンであった私はプレーヤーとしてシンプルにただただ目の前のお客様の喜びのために写真を撮っていました。その後会社を設立し経営者になりました。 一般的に経営者は会社の戦略を練って人と会い、部下に指示し会社をマネジメントしていく。そんなイメージかもしれませんが、技術職であるカメラマンの独立起業しかも店舗開業はそんなに単純なものではありませんでした。 どういうことかというと、カメラマンだった私が経営者となり写真館を開業し人を雇い始めたら、プレイン

第21回 起業する理由に加えたいこと

「あなたが起業したい(する)理由やきっかけはなんですか?」 自分に問いかけて、できる限り本心を心の中に浮かべてみて下さい。 お金がもっと欲しいから? 会社に縛られず自由になりたいから? 夢? 人と違うことがしたいから? モテたいから? 楽しそうだから? 仕方なしに? どうでしょう。 上記の理由については「第18回 経営者、個人事業主になるということ」に近い内容なのですが、今回はもう少し踏み込んで筆者なりのビジネスに必要な考え方について簡単に書きたいと思います。 起業の理由