ギャラリー3

第19回 写真館でかかる経費

「自分で自分の責任を取る。」その覚悟はできたでしょうか?
責任の中にはお金をちゃんと支払う。というものがあります。そこで今回は写真館を始めるとかかる経費について書きたいと思います。

独立開業すると何かとかかるお金。
私自身、始める時そして始まってから「こんなものも必要なんだ」と想像していなかった経費もたくさんありました。
知らなかったでは済まされない経費のこと。開業後の参考にもなりますので書き出していきたいと思います。項目は将来法人化した時に必ず目にする損益計算書という会社の決算書をベースにしています。(税理士ではないので勘定科目の間違いや、あえてその項目に入れているものもあります。)

<売上原価>
・プリント、台紙、アルバムなどを発注するとかかります。オンデマンドのアルバムやプリントはともかく、発注最低ロッド数が決まっている台紙などは受注がなくても在庫として残しておく必要があります。(今はほとんどの人がデジタルカメラなので、フィルムなどが原価でかかることはないでしょう。ちなみに飲食店なんかは食材の仕入れなどでここがたくさんかかるようになります。)

『販売費及び一般管理費』
販売する商品を作るための原材料費以外で会社でかかる経費のことです。現在の写真館の場合、ほとんどがこの中の経費になってきます。
<給料&役員報酬>
社長などの役員と従業員に支払われる報酬(給与)です。多くの写真館の経費の大半を占めるのはこの人件費だと思います。
<法定福利費&福利厚生費>
従業員を雇うと支払う健康保険や雇用保険がこの中に入ってます。想像以上に大きな額が会社から支払われていることに驚くと思います。
<外注費>
撮影やデザインを外部の人に任せたりするとかかる経費です。仕事が増えてくると外注にするのか内製にするのか迷うところですが、経費だけの問題ではないので難しいところです。
<荷造運賃>
商品を発送する際にかかる経費です。段ボールや梱包材、宅配料金などが含まれます。
<広告宣伝費>
不特定多数の人に向けて知ってもらうためにかかった経費です。例えばgoogle広告、インスタ広告もここに入ります。広告についてはまた書きたいと思いますが、ここを抑えてもお客様が来るようになっていると気持ちが楽だと思います。
<交際費&会議費>
取引先など利害関係者を接待または会議を行った際の飲食費、お歳暮などです。(線引きがよくわかっていないのでここはさらっといきましょう。)
<旅費交通費>
電車、バス、タクシー、飛行機、ホテルの宿泊など、事業に関係する移動でかかった経費です。私は結構動き回るのでなかなかの金額がかかります。
<通信費>
インターネット、プロバイダー、固定電話、携帯、郵便代などです。そのほかホームページのアドレスに必要な独自ドメイン代もこれに含めたりします。
<ソフトウェア費>
10万円以上のソフトウェアを購入するとこの科目の経費になるようです。しかし今回は経理のお話ではないので、純粋にソフトの経費をここに書き出します。ソフトやアプリは1回支払えばバージョンを変えたり増やしたりするまで使えるもの、またはライセンスを毎月支払うものがあります。(これらの経費は通信費または雑費、消耗品費に入リます)
ソフトは必ず写真館やカメラマンが使うものであったり、使うと業務の効率化が測れるので上手にチョイスしたいところです。私がクラウドサービスを利用して毎月支払っているアプリなどは、Adobeのソフト(フォトショップ、Lightroom、イラストレーター、プレミア)、クラウドストレージ(Dropbox)、(社内sns(LINE WORKS)、会計人事ソフト(freee)、Web予約ソフト、顧客管理ソフトなど。(これらは地味に課金されてスタッフが増えてくると毎月数万円になります。)その他、Microsoft office、Macを使っているので仮想Windowsソフト、メディアをCDなどに焼くToast、Zipファイルを作成するWinAerchiverなど、業務に必要なソフトの購入が必要になります。
<消耗品費>
ここは10万円以下の日用品や事務用品、カメラ関係機材などが入ってきます。例えばトイレットペーパーやコピー用紙、カメラバッグなどです。チリも積もれば山となりますので、ここは意識で減らしたいところです。
<修繕費>
カメラなど機材が壊れれば修理に出します。写真館やカメラマンでは毎月かかるものではないですが、突発的に出費が増える部分です。
<水道光熱費>
店舗や事務所を構えるとかかる電気代や水道代。保温性が悪いスタジオなどは結構かかります。
<新聞図書費>
参考書や店舗に設置する書籍などを購入するとかかります。
<支払手数料>
開業する際、盲点だった経費がこの手数料です。銀行の振込手数料やカード決済にした場合の手数料はイメージしやすいと思いますが、税理士さんや社労士さんなど、各種専門家に支払う顧問料やセコムなどの警備もここに含まれます。その他銀行から借金するときにも手数料がかかります。
<車両費>
地方では自動車は必須です。ガソリン代も含め自動車に関わる費用がかかります。
<地代家賃>
店舗や事務所、駐車場の賃貸料です。固定費となるこの家賃や人件費、その他毎月必ず払うものを如何に少なくできるかは、開業初期ではものすごく大事になってくると思います。
<リース料>
あまりなじみのない方も多いと思いますが、リース契約したものの支払いです。ハレノヒの場合はフィットネス器具とNTTのビジネスフォンがリースです。
<保険料>
会社や個人事業主名義で契約した各種保険の支払いです。店舗や事務所を賃貸すると火災保険などに入ることになります。また社用車の自動車保険も同様です。
<租税公課>
サラリーマン時代にはあまり実感がなかった税金の支払い。なかなかのものです。例えば高価なカメラ機材は固定資産となり税金を払います(工具器具備品)。その他法人税等。一定の条件を満たすと消費税も納付しなければなりません。世の中には税金の支払いのために借金をするなんて聞きますが、普通にあり得るなとおもいます。また会社を起こすと意外と必要が多い登記簿謄本(会社の住民票のようなもの)を取得するのに必要な印紙代もばかになりません。
逃げたくなる税金ですが、日本国にお世話になっていますので頑張りましょう。
<研究開発費>
カメラマンの場合、セミナーなどにかかった代金がこれに当たります。勉強は投資です。
<雑費>
その他、何かの会費などの少額な経費です。

『固定資産』
以下の出費は資産となり、減価償却というもので経費にしていきます。
<工具器具備品>
10万円または30万円以上(この部分は専門家に聞いてください)の機材です。カメラマンや写真館なら真っ先に思い浮かぶカメラ、レンズ、ストロボ、パソコンがここに入ってくると思います。ここ数年、次々と新しいものがでるカメラ機材。ついつい買い替えたくなりますが、利益が全て機材に姿を変えないようにしたいものです。
<建物>
店舗を改装したりするとかかります。
<車両運搬具>
自動車を買うとこちらに資産になります。

以上、ざっくり独立開業するとかかる経費をあげていきました。しかし少し項目が多すぎたので、この中でも店舗を持たないフリーのカメラマンを目指した場合に最低限必要なものをピックアップしておきますね。
営業&販促
・名刺デザイン&印刷代
・封筒デザイン&印刷代
・ホームページ制作費または自作(ホームページはあった方がいいと思います)
・サーバー代

・独自ドメイン代
・プロバイダー費
・インターネット設備
・携帯代機材費
・パソコン(ノートまたはタブレットはあった方が良い)
・プリンター
・外付けHDD or NAS(バックアップは取りましょう。クラウドサービスでもいいと思います)
・カメラ2台
・SDカードなどメディアとカードリーダー
・レンズ各種

・ストロボ関係

・レフ板その他
・フォトショップ(Lightroom)
・経理ソフト(会計のほか請求書なども発行できます)
・Microsoft office(ワード&エクセル)
・事務用品各種
細かいことを書くとまだありそうですが、だいたいこんな感じでしょうか。
今回は経費について書いていきました。
お金は上手に「使う」と「抑える」をコントロールしていけるといいですね。

(あとがき)
お金は非常に難しいです。当然使うと無くなるのですが、一方で使わなければ入ってこなかったりします。
事業において何が「浪費」で「投資」なのか?つまり生きるお金の使い方と生きないお金の使い方を見極めるのに、私にはまだまだ経験が必要なようです。

株式会社ハレノヒ代表取締役/2015年、築100年の古民家をリノベーションした写真館をオープン。地方写真館の再定義を行うことによって人とまちが豊かになる仕組みをつくろうとしています。その他セミナー講師や各種メディアにも出ています。