好きだった歌が響かなくなったな-夏空

高校2年生のとき、夢中になっていたバンドの曲を聴いた。

ボーカルの優しい声は、昔も今も変わらずそこにあって、心地よくて、泣きそうになった。

実際、涙は出ない。彼らをライブハウスで今見たら泣いてしまうかもしれないけど、それはもう叶わない。1年も前に、彼らはバンドを解散した。ガリレオガリレイ。私の青春そのものだ。

周りがバンプかラッドのどちらかに夢中になっているとき、私は小田和正やさだまさしを聴いていた。YUIやいきものがかり、ミスチルも聴いていたけど、それらは当たり前にウォークマンから流れる曲で、大好きだけど特別ではなかった。

まだガラケーだったあの時代、たまたま見つけた「夏空」を視聴出来るバナー広告が、私が「好きなバンドがいること」の楽しさを知るきっかけになった。あの瞬間のことは、今でもはっきりと覚えている。

原宿にあったauの施設で、ガリレオガリレイがライブをやると知ったとき、3時間ほどあの螺旋になっている通路で座って待った。初めて彼らを目の前にしたとき、泣いた。涙を流しながらも頭は冷静で、抽選でもらえるサイン入りポスターが当たったら何て言おうと悩んでいたな、当たらなかったけど。

それから、一度だけお金を払ってライブを見に行った。今こそ、沢山のライブハウスに足を運んで詳しくなっているけど、当時のことは隣にレストランがあったことしか覚えていない。あのライブハウス、どこにあったんだろうなあ。

青い栞、ハローグッバイ、管制塔、四ツ葉探しの恋人。

聴くだけで、ぐっとくる音があるというのは、切なくて幸せなことだと思う。今聴いている音楽も、いずれ同じ気持ちにさせてくれるのかもしれない。

夏。青かった空が、どんどん水色になって秋になる。ふと、私はもう高校生ではなく、お金や仕事のことを考えないといけないアラサー女なんだと気付いた途端眠くなった。

ガリレオガリレイだった彼らが、幸せに生きてるといいな。




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