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シビックテックに関するFAQ:2021年版

この記事はCivicTech & GovTech Advent Calendar 2021の22日目の投稿です。21日目の記事は@rarara_brahminさんの 国会議員の頻出語・特徴語を抽出するサイトを作った話でした。公開が25日なので、もはやアドベントカレンダーの体をなしていないですが・・・

さて、ここ数年、シビックテックに関する認知度が高まってきています。Code for Japan の Slack ワークスペースの参加者は6,000名を超え、各地の Code for コミュニティであるブリゲイドも、90を超えました。最近になって活動を始めた方や、興味があるので詳しく知りたい、という方向けに、私が良く聞かれる質問について、こちらの記事でまとめておこうと思います。
2020年にも、下記のようなエントリをしていますので、ご参考にしてください。

また、私がシビックテックを推進するためにデジタル庁でおこなっている事について、最近こちらの記事でも紹介いただきました。

シビックテックってなんですか?

シビックテックとは、シビック(市民)とテクノロジーを組み合わせた造語です Ad Tech(アドテック)とか、Ed Tech(エドテック)とか Fin Tech(フィンテック)などといった言葉と同じように、市民が関わる領域のためのテクノロジー、またはその活動のことを指します。具体的には、市民自身がテクノロジーを使って課題を解決する活動や、公共領域への市民参画を推進する活動、民主主義そのものをテクノロジーで改善する活動などを指します。
ちなみに、Code for Japan では、「ともに考え、ともにつくる社会」の実現をビジョンとして、ワークショップや行政のサポート、社会課題解決のためのアクセラレーションサービスなども行っています。

シビックテックとガブテックの違いは?

シビックテックに似た領域に、Gov Tech (ガブテック)という領域もあります。こちらは、行政がテクノロジーを活用して業務を改善したり、これまでできなかったことを可能にする活動を指します。こちらも業務改善のような内向きのものから、オープンデータ活用のような外向きのものまで幅広く、シビックテック領域とオーバーラップする部分も多いです。
シビックテックが市民目線での共創活動なのに対し、政府側でも市民参画のための環境を整えていくことが必要です。したがって、Code for Japan では、行政職員向けのデータ活用研修や公共アプリの開発などといった、ガブテック領域の事業も行っています。

各地ではどんな活動をしているの?

シビックテックの活動は非常に幅が広いです。課題解決のためのアプリを作ったりする事がよく注目されますが、それだけではなく、行政と共に勉強会やワークショップを行ったり、地域課題をデータを使って分析してみたり、地域のデジタルアーカイブをしたり、まちづくり活動を行ったり、プログラミング教室を実施したり、子育て環境の向上や、まちづくり活動への参加なども行っています。テクノロジーはあくまで課題解決の手段であり、多くのコミュニティでは地域の人々や行政との対話を通じて、価値観を共有しながらプロジェクト化をしていくことが多いです。
各地のブリゲードには自由に参加できますし、自分の地域にコミュニティがなければ自分で始めることも可能です。

Code for Japan は何をしているの?

Code for Japan は、「ともに考え、ともにつくる社会」というビジョンを実現するために、各地のシビックテック活動の支援を行っています。また、Code for Japan 自身も、自治体や政府と共に課題解決を行ったり、デジタル活用のサポートをおこなっています。
東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイトをオープンソースで作った件は大変話題になりましたが、他にも色々な活動をしています。
自社プロジェクトとしては、Make our City という住民参加型のまちづくりプロジェクトや、22歳以下向けのシビックテックコンテスト Civictech Challenge Cup(CCC)、シビックテック向けのアクセラレーションプログラム CAP、ソーシャルセクターと技術者をつなげる Social Technology Officer 創出プロジェクトなどがあります。
Slack ワークスペース には誰でも入れますので、興味を持った方は覗いてみてください。

どんな人達がやってるの?

活動しているのはエンジニアばかりだと思っている人もいるのですが、そんなことはありません。地域差はありますが、おそらくエンジニア率は3割程度かと思います。まちを良くしたり、社会課題を解決することが目的ですので、参加メンバーは多様です。行政職員も参加しているところもありますし、NPOやまちづくり・コミュニティのメンバーもいます。IT系以外の会社で働いているメンバーも参加していますし、デザイナーもいます。経営者もいますし、営業タイプの人もいますし、研究者やインターンもいます。

特に最近は学生をはじめとする若手の活躍が著しいです。今年のCivictech Challenge Cup u22 には、200名を超える学生が集まりとてもハイクオリティな作品を提出してくれました。

コミュニティに貢献する手段はプログラミングだけではありません。イベントをやるなら企画運営ができる人が必要ですし、プロジェクトを始めるにしても、プロジェクトマネジメント能力が必要です。もちろん、課題当事者の参加も重要です。皆さん自分たちでできることを考えながら色々な活動を行っています。きっとこれを読んでいるあなたも活躍の場所を見つけられると思います。

みんなどんなモチベーションでやってるの?

シビックテックに関わる人自体が多様です。地域を良くしたい、とか、社会課題を解決したい、誰かの役に立ちたいという思いは多くの人が持っていると思いますが、どのようなことにモチベーションを感じるかは人それぞれ。

善いことを為したい、腕試しをしたい、学びの機会を得たい、仲間が欲しい、仕事では使えない最新技術を使いたい、人から認められたい、仕事以外でプロジェクトを行うことが楽しい、ステップアップの機会にしたい、既存ビジネスの役に立つ、就職や転職の役に立つ、ソーシャルスタートアップとしてビジネスを立ち上げたい、自治体のオープンデータについて知りたい、人に喜んでもらうのが好き、(自治体やNPOの職員などが)自組織のデジタル化を推進したい、情報交換をしたい、などなど。まさに十人十色です。

私自身は、東日本大震災後から活動していますが、みんなで課題を解決したときの達成感や、自分のスキルが誰かの役に立った時の感覚が心地よく、活動を続けています。
ボランティア活動のみだと思っている方が多いですが、最近はビジネスとしても成り立つ場合もあり、NPO法人化したりするケースもでてきました。Code for Japan でも、有給スタッフが15名程度働いています。

サステナブルな活動なの?

シビックテック活動の多くはボランタリーで自発的なものです。特に、自分たちの町を良くするような活動は、お金のみで考えてしまうと採算が合わないことも多いです。しかし、だからといってサステナブルでない、という理由にはなりません。
実際、シビックテックの活動が日本で始まってから8年以上続いているブリゲードも多く、持続しています。

前述したように活動のモチベーションが多様だからこそ、金銭だけではない様々な要素があるのです。PTAや町内会といった仕組みがずっと続いているように、新しい形の地域活動のような形で続くこともあるでしょう。NPOや一般社団法人として寄付や非営利事業といった形で活動資金を得ているところもありますし、行政や自治体などの受託事業を請けているところや、企業と連携してプロジェクトを進めているところもあります。

逆に言えば、人口減少や多様化したニーズに、従来のトップダウン型の地域運営というモデルが答えられなくなっているからこそ、シビックテックのようなボトムアップの課題解決が必要になってきている、という見方もできます。現状のビジネスモデルがもはやサステナブルでないのでは?という問いもあわせて持っておきたいところです。

シビックテックは、利益を上げることが正義である営利事業に比べると変数は多いですが、共感をあつめることで営利事業ではできないような大きなインパクトを生み出せる可能性があります。

活動に参加してみたいのだけど

ありがとうございます!まずは、Code for Japan のSlackに入っていただければと思います。いろんな活動を見ることができます。
また、各地の活動に興味のあるかたは、各地のブリゲードコミュニティに参加いただくのが良いかと思います。自分の地域にブリゲードが活動していない場合でも、お近くのコミュニティに参加してみてはいかがでしょうか。もちろん自分で立ち上げることも可能です。

特定の地域以外の活動にも興味がある場合は、ソーシャルハックデーに参加いただくのも良いでしょう。月1回開催している、テーマ持ち込み型の1dayハッカソンです。競技性の高いハッカソンとは違い、チームごとに集まってわいわいと開発やディスカッションを行います。毎回リピートでプロジェクトを持ってくる人もたくさんいます。もちろん、ご自身のアイデアやプロジェクトを持ち込んで、仲間を集めていただいてもかまいません。

以上です。もし追加で質問などありましたら、ぜひ私のTwitterにお寄せください。


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