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【ねこぱんち戦法】対一直線穴熊用中飛車ミレニアム

2000年を少し過ぎた頃、超速▲3七銀がまだ世に出る前に自分が先行して指していたオリジナル戦法、中飛車ミレニアム(ねこぱんち戦法)を紹介したいと思います。本NOTEを投稿してから約2年後の2022年、プロ棋士・伊藤真吾先生が中飛車ミレニアムを紹介したことから、決して奇をてらった作戦ではないことを裏付けています。今回は、この対一直線穴熊専用中飛車ミレニアムの指し方をざっくりと解説します。


中飛車ミレニアム(ねこぱんち戦法)誕生の経緯

着想は2000年頃に出てきた居飛車▲6六角型ミレニアムvs四間飛車穴熊の端攻め(下図)を同じように使えないか?と思って編み出したものでした。

▲6六角ミレ
ここから▲9四歩~▲8五桂~▲9三歩が入れば主導権を握ることができる

これは互角の捌き合いをした仮想図で、ミレニアム側からは端香の重ね打ちから▲9四歩~▲8五桂~▲9三歩の端攻めが決まれば優勢になります。特に、7一金と連携する駒が8二銀しかない穴熊に対しては端攻めと一段龍の組合せが強烈です。中飛車ミレニアムではこの端攻めを左右反転させた形で行います。

中飛車ミレニアム(ねこぱんち戦法)vs一直線穴熊

理想的な駒組の完成形はタイトル画像の通りで、そこまで組めれば作戦勝ちと言えます。

画像1
▲4六銀が対居飛穴の骨子

中飛車ミレニアムは左銀を5六ではなく4六へと上がります。理由は後々述べます。ここから居飛車は松尾流穴熊、中飛車はミレニアムへと一直線に囲い合います。

ミレ
中飛車ミレニアムの陣形ができました

ここからは具体的な理想形&成功例を示しましょう。居飛車が左辺の歩を突いている間に、1筋を詰めて5六飛→6八角を入れた状態(再掲)が理想形です。先ほどの▲4六銀は▲5六飛と浮くためのスペースを開けておく意味がありました。

ミレ角引
【理想形】角桂香で1三に殺到する準備ですが、決行する前には持ち歩が数枚必要です

ここから▽7四歩と手待ちすれば、▲3五歩と仕掛けます。

ミレ仕掛け
歩交換はまず3筋から

取り込まれる訳にはいかないので▽同歩▲同銀▽3四歩▲2六銀と進みます。実戦だと、居飛車は▲3五歩の前に▽2四角と牽制してくることが多いんですが、それでも構わず▲3五歩といきます。この瞬間は相手側から歩を取ってくれれば自分の金駒が前進できる状況にあって、どちらも動けません。中飛車としては▲2六歩~▲2五桂として▲3四歩▽同金▲3五歩を狙いたいところです。

ただ、居飛車が一歩持つと▽8六歩▲同歩▽8八歩の切り返しが必ずあるので、それを読みに入れておく必要がありますね。それでも3筋の歩を切るメリットは大きくて、将来的に1三への叩きや飛車を渡しても3九の底歩打ちなどができるようになります。

ミレ仕掛け歩交換
▲2六銀で▲3六飛と回る余地を残しつつ桂頭を飛車でケアすることが大事です

中飛車ミレニアムは1~3筋で勝負する作戦で、左辺は持ち歩を確保するための場所と捉えてください。ここで▽7三桂などとすると、▲2五銀(下図)で次の▲3六飛が厳しくミレニアム良しです。ミレニアムの狙いの一つがこの3筋への飛車の転回です。

ミレ飛車寄り2
▲2五銀~▲3六飛は狙いの一つ、▲3六飛に▽4五歩は▲3四銀と突っ込んで良し

▲2五銀を未然に防ぐ▽2四歩~▽2三銀~▽2二銀の盛り上がりに対しては▲1七銀引~▲1六銀~▲2六歩~▲2五歩▽同歩▲1四歩とし、▽同銀なら▲2五銀と突っ込み、▽同歩なら▲2四歩と叩いて▽同銀▲2五桂▽4二角▲3三歩(▽同角は▲同角▽同銀▲5一角)で決戦です。

もう一つの狙いは1筋への殺到で、▲6八角と引いた理由がここで分かります。試しに▲1四歩(下図)としてみましょう。

ミレ1筋殺到
矢倉スズメ刺しの感覚で、場合によっては▲1三角成とぶった切っての攻めもできます

ここから▽同歩▲2五桂▽2四角▲同角▽同歩▲1三歩▽同桂▲同桂成▽同銀となって下図。

ミレ1筋殺到3
持ち歩が切れると攻めが止まるので注意です

これはやってしまいがちな失敗で、持ち歩が無くなると攻めが止まって▽7八角で逆転してしまいます。なので、あらかじめ▲9六歩▽同歩▲7五歩▽8四飛▲9六香としておいて、1筋への攻めを決行する前に持ち歩を2枚以上にしておくことが大事です。もし▽同香▲同飛▽9四歩と香交換までしてくれたら▲1八香打(下図)と端攻めの準備をしておきましょう。

ミレ▲18香打
ここで▽2四香としてきたら
▲2五桂▽同香▲同銀~▲1七香打~▲1四歩で1三へ殺到します
(非常手段で▲1六飛と足すこともできますからね)

これが本来、振り飛車がミレニアムに組むメリットだと思うのですが、四間飛車では先に▲6八飛を着手すると左銀が同じように使えないし、居飛穴に対して以下に述べる端攻めもできないので四間飛車ミレニアムは個人的に相性が悪いように思います。

ちなみに、六段飛車は3六に桂や歩を打たれるのを防いでくれていて、全く働いていないわけじゃないのでOKです。ここで▽2四角は▲同角~▲5一角、▽2四歩は▲1四歩▽同歩▲1五歩で攻めが続きます。▽4五歩では▲1四歩▽同歩▲2五桂▽2四角▲同角▽同歩▲1三歩▽同桂▲同桂成▽同銀▲1五歩と進みます。

ミレ▲18香打からの攻め2
端の数で上回れば優勢となり、居飛車の飛車は攻め駒としては使いものになりません

▽同歩なら▲同銀で気持ちの良い端攻めが続きます。端の銀香総交換になったら攻防に▲1九香と打ったり▲1六飛と飛車を参加させると良いですし、▲4一角~▲2三桂を狙っても良いでしょう。このようにミレニアム側が先攻して手がつながると居飛車の穴熊だけ形が乱れ、また最後まで居飛車の飛車が捌け残る悲惨な感じになります。

この戦法は全国大会で使って勝ったり、アマ6段相手に完勝したこともあるので結構優秀だと自負しています。

中飛車ミレニアム(ねこぱんち戦法)が絶対押さえるべきポイント

ここまでの解説で絶対押さえておくべきポイントを列挙します。

【陣 形】六段飛車でミレニアムの弱点である桂頭をカバーする
【陣 形】4六銀、5六飛、6八角の形から3五での歩交換を狙う
【陣 形】中飛車の左辺は持ち歩を増やすのに使うだけで後は捨てる
【端攻め】端へ仕掛ける前に持ち歩を2枚以上にしておく
【端攻め】左銀と桂or香の差し違えは端攻めの駒にできるので痛くない
【端攻め】香を持駒にしたら重ね打ち、更に飛車も端に参加させて殺到する
【意 識】居飛穴に極力桂を渡さない

中飛車ミレニアム(ねこぱんち戦法)は居飛車の飛車を無視して1~3筋の玉頭戦で勝負することがポイントとなります。左辺での多少の駒損は気にしないでいいです。

一方的に攻め続けられる状態になれば、居飛車の飛車は最後まで空気になります。上手いこと行けば面白いほど勝てるので、自分にとっては思い出深いオリジナル戦法となっています。今は居飛車に超速▲3七銀があるために使う機会は激減しましたが、一直線穴熊をする相手にはとても有効だと思いますよ。

٩( 'ω' )و.。oO( ミレニアム最高!


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はる筆線屋
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