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僕が8個の高度情報処理技術者試験を取得した勉強法

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※2023/12/21 合格数が増えたので数字など修正


前置き

こんにちは、株式会社dottでエンジニャーをしているHALと申します。

2022年の春期情報処理技術者試験でネットワークスペシャリストを受験し、無事合格しました。

ネットワークスペシャリスト合格(ギリギリ)

自分はそれ以前にもいくつか高度情報処理試験を受けており、2023年12月現在 8 / 9 個の試験に合格しています。

取得済み試験と残り試験

と、いうことをTwitterでツイートしたところ、プチバズりフォロワーも250人以上増えました(ありがとうございます)。

すでにコンプリートされている先人もたくさんいらっしゃるので、反響の多さに若干戸惑いもありますが、興味を持ってもらえているのは確かなようですので、せっかくなのでどういう勉強をしているかなど書いてみようかなと思います。

なお、内容としてはこちらの記事の焼き直しになると思います。
もう少し詳細に書きますが、重複した内容になると思うのでご了承ください。

スペック紹介

まず、前提条件として、試験に関係ありそうなスペックの面について自己紹介をしておきます。

社会人になって14年?15年?くらいが経ちました。
新卒で東京のSIer(大手グループ会社)に入社し、12年経って今の会社(株式会社dott)に転職しています。

前職では金融系のシステム開発の仕事を3年ほどやり、その後ERPパッケージの仕事をやってました。
ポジションとしてはマネージャーではないけどマネージャーちっくなことも期待されるリーダー、みたいなポジションでした。

ERPパッケージの開発の時は営業支援・要件定義くらいの上流から保守運用まで全部やってました。
開発規模がそんなに大きくなかったので、自分でコードも書くしテストもするし、ほんとに幅広く経験できたのが良かったなと思います。

そんなわけで、開発に関連するいろんな仕事を幅広く経験できていた、というバックグラウンドがあります。
(高度試験の各分野に多少なり関わったことがある)

勉強を始める前に

本題の勉強法に入る前に、まずは状況を俯瞰して整理することから始めましょう。
目標とするゴールと、自分の現在の立ち位置のギャップを認識し、そこに向かって勉強をしていく、というステップになります。
具体例として、今回自分が取得したネットワークスペシャリストで考えてみましょう。

ゴールの設定

目標とするゴールですが、これは「ネットワークスペシャリストに合格すること」になります。
もう少し具体的な言葉に直すと、「ネットワークスペシャリスト試験で60%の正答率を超えられるくらいの知識を身につけること」という感じでしょうか。
(なお、本来は「試験に合格した結果、どうしたいか」みたいな目的があったりしますが、本題とずれるので考えないことにします。)

現状の把握

続いて自分の現在の立ち位置の把握ですが、一番わかりやすいのは、何も勉強せずに過去問を解いてみることだと思います。
過去問を解いて、得点は何割だったか、どんな問題で間違えたかといったことを分析し、自分の知識の偏りなどを見ていきます。
なお、具体的な配点は公表されていないので、試験対策をやっている資格系の学校が公開している配点予想などを活用しましょう。

知識の偏りは、なるべく具体的に、IPAが公開しているシラバスをベースにスキルマップ的なものを作れた方がより確実です。
が、そこまでやるとなかなか大変なので、ざっくりシラバスの大項目ベースで得意不得意を○×△をつけるくらいでも良いでしょう。
まずは、全体的な状況の把握が肝心です。

最後に、ゴールと現状のギャップから、何をしていけば良いかを考えます。
現状の把握の際に、シラバスからスキルマップ的なものが○×でついていれば、それを埋めていくことが必要ということがパッと見てわかります。
これで、勉強を始めるための準備ができました。

簡易的なやり方

とまぁ、なるべく詳細に準備をする方法を書きましたが、正直ちょっとめんどくさいですね。
自分もここまでしっかりした手順で準備することはやりません。
そもそも知識を定量的に把握するのは過去問だけでは足りず、限界がある方法でもあります。
そこで、実際自分が勉強を始める際には、もう少しシンプルで簡易的なやり方をしています。

まず、試験向けの参考書を1冊用意します。
選ぶ基準としては、1冊で済ませたいので全ての範囲を網羅しているもの、でしょうか。
本によっては、「午後試験に特化したもの」「論文の比重が厚いもの」「午前のみを対象にしたもの」など特徴を出しているものも多いです(それだけ、高度試験は幅広く内容が多いとも言えます)。
ですが、ここで選ぶものは、なるべく1冊で午前から午後まで網羅したものがいいです。

なお、小論文がある区分については、小論文の書き方の解説が載っている本は避けるようにしています。
というのも、小論文試験は一度把握してしまえば区分が変わってもそれほどやることは変わらないためです。
初めて小論文の試験を受ける場合は、小論文対策を別途用意しても良いと思います。

1冊参考書を用意したら、まずはその本の目次をざっと読みます。
目次を読んで、その中に書かれている内容が想像できるかどうか、で判断をしていくのです。

十分な知識がある分野であれば、目次を読んだだけで「あぁ、多分あれとかあれの話が出てくるな」というのがいくつか思い浮かぶでしょう。
ちょっと自信がない分野であれば、「あれのことかな?」というのは思いついても、数が少なかったりしてちょっと不安を感じると思います。
当然、全く思い付かない分野の場合は、ほぼ知らないと考えて差し支えありません。

そんな感じで、目次のどれくらいを理解できてそうかを抑えることで、合格ラインからどの程度離れているかを想像するわけです。
この方法でも、ざっくり把握できるためやらないよりはオススメです。

勉強の仕方について

さて、本来はスケジュールを立ててから勉強を開始するべきですが、どんな勉強をするのかを決めないとスケジュールも立てられません。
ここで僕の勉強の仕方についてお話しします。

1、繰り返し参考書を読む

まず一つ目は、「繰り返し参考書を読む」方法です。
僕はこの方法がメインの勉強法で、残りの勉強については補完的な方法という位置付けで行なっています。
やり方はもうそのままで、1冊の参考書をとにかく一から読み、読み終えたら頭から読み直します。

この時に意識しているのは、書かれている情報をただ知識として覚えるのではなく、具体的な経験と紐づけて覚えるようにするということです。
例えばネットワークの勉強であれば、実務でネットワーク設計をしたことがなくても、システム開発の中でそれに関連する事柄に触れたことがあったりすると思います。
または、メールのプロトコルみたいなものであれば、自分のメールの設定の時に、設定画面の中の単語をいくつか見たことがあるでしょう。

「あ、ここに出てきた単語、あそこで見たことあるな。なるほど、これのことだったのか」とか、「そういえばあのシステム作るときに、相手先システムの指定方法はこの方法使ってた気がするな」とか、そういった過去の経験と紐づけてやることで、より確実に知識を定着させることができます。
また、過去の経験に紐づけた方が、内容も理解しやすくなるでしょう。

どうしても経験と紐づかない場合はなかなか大変です。
その場合は「こんなシステム開発のパターンで使えそうかな?」とか、「こういう時に使うものらしいから、もしかしたらあそこで使ってたかもしれない」とか、想像で補ってやる必要があります。

これがなかなか厳しいので、業務に関係のない分野(自分の場合はネットワークはあまり関わって来なかった)の勉強は効果が出にくいという問題があります。
これに関しては僕は解決策を見出せてないので、ネットワークに関しては2、3回落ちました・・・。
逆に、業務で近いことをやっていたもの(プロマネとか、ITストラテジストとか)に関しては、経験と紐付けて覚えやすかったので、それぞれ一発で合格しています。
やはり高度試験の特性上、業務経験に左右されがちというのはどうしようもないのかも知れません。

2、文章題を解く

午後の試験は文章題になるので、これの対策も必要です。
と言っても、個人的には午後の文章題は1つ目の勉強で十分な知識が身についていれば、ヒントは全部文章の中に書かれているので、単純な知識を問われる設問以外はそんなに難しくないと考えています。
とはいえ、午後が苦手という方もいると思うので、どう言ったポイントを押さえていけば良いかを書いてみます。

まず、文章題が解けない(不合格になってしまう)というときに、原因がどこにあるかを把握しましょう。
恐らく問題が解けない理由は主に以下の二つではないかと思います。

  1. 各設問に書かれている問題文の意味が分からない(何に答えれば良いのか分からない)

  2. 問題文の意味は理解できるが、そこからどうやって解答を導いていけば良いか分からない。

1の理由で解答できない場合は、そもそもの知識量が足りていません。
勉強法1に戻って、知識量を増やすことに注力した方がいいです。
2の理由で解答できない場合は、さらに細分化すると2つに理由が分かれると思います。

  1. 問題に出てくる技術についての特徴(メリット・デメリットなど)を十分に理解していない

  2. 文章を読み解いて解答に必要な文章を探すのが不得意

1はどういうことかというと、そもそも「情処試験の問題」として取り上げられるということは、その技術や状況についての課題・問題を解決する過程を問われています。
技術や方式の採用は、メリット・デメリットを考慮して、メリットを最大化、デメリットを最小化できるようにする必要があります。
そのため、そもそものメリット・デメリットについての理解が浅い状態だと、問題で問われていることについて何を答えればいいかが導き出せないのです。
つまりこのパターンも、まだまだ勉強法1で知識の補完が必要ということになります。

2は単純に国語の問題を解くのが苦手、ということになります。
高度試験の問題は量も多いので、整理しながら読むのが難しいというところはあります。
とは言え大体一つの問題を2つか3つのパートに分けて読み解いてあげれば良い形になっているので、全体を一度に理解するのではなく、パート毎に理解していくようにすると多少は読み解きやすいのではないでしょうか。

これは試験に限らず、業務でも自分が意識していることなのですが、パッと見でとても大きく難解そうな課題や問題が出てきた時は、全体ばかりを見ていても解決するのは難しいです。
まずは自分にもわかる部分を見つけて、そこをとっかかりに少しずつ課題・問題を分解していくことが必要かなと思います。
この辺は、習うより慣れろな部分が大きいので、過去問などを何度か演習して解き方のコツを掴んでいくことが対策につながると思います。

3、解くスピードを上げる

あと、「解けない訳ではないが、時間が足りない」というパターンもあるかなと思います。
これについては文章や図を細かく読み過ぎているのが原因かなと想像しています。
主に午後問題の話だとは思いますが、午前問題にも一部通じる部分もあるでしょう。

自分の場合は、以下の順番で問題を解きます(午後問題の場合)。

  1. 全ての選択問題の概要(最初の数行)部分を読む

  2. 全ての選択問題の設問のみをザッと読む

  3. 1と2の情報から自分が自信を持って答えられそうな問題を選択する

  4. 選択した問題の文章部分だけを通して読む(図表は図表タイトルとざっくり何が載っているのかだけ押さえて飛ばす)

  5. 設問を順番に解き始める。この時、5分以内に答えに辿り着けそうにない問い(表の読み解きに時間がかかるものとか)は飛ばす

  6. サッと解けるものを一通り解き終わってから、時間がかかりそうなものをじっくり解く

試験においては時間との勝負があるので、判断力の速さというのが必要になります。
過去問などを解く際は、なるべく時間を測って本番同様に解くことで、試験への対策をしておくことが重要でしょう。
尤も、これも一度慣れてしまえば、その後は対策の必要は無くなります。

4、過去問(選択式問題)を繰り返し解く

これは最後の仕上げとして自分がやっているのですが、選択式問題の過去問を繰り返し大量に解く、ということを実施します。
目的は2つです。

  1. 選択式問題に繰り返し出てくる問題は重要なので再確認する

  2. 選択式問題は過去問と全く同じ問題が必ず出るので取りこぼさないようにする

1は勉強法1で知識を増やしたものを、より強固なものにすることを目的とします。
勉強法1でもある程度は重要な知識とそうでない知識は意識できていると思います(参考書は大体その辺を考慮しているので)。
それを過去問を解くことでより精度を高めよう、という目的です。

2は完全に試験対策としての意味合いです。
情報処理試験の午前問題は、過去問で出たことがある問題が必ず出ます。
それも、問題文、選択肢、その順番に至るまで完全に一致したものが出ます。
つまり、丸暗記しておけばそれだけで確実に加点できる訳です。

しかもそういった問題が半分近くまで出題されます。
60%取ればいい試験において、40〜50%が確実に取れるというのはとても大きいです。
これを逃す手はありません。

幸い、スマホで手軽に過去問を解くことができるサイトを公開してくださっている方がいらっしゃいます。
スキマ時間でも手軽にできるので、最後の1週間はこれだけを重点的にやります。
大体過去問300問くらいを解くことができれば、当日は午前問題については余裕を持って解答できると思います。

こちらは、これまでお世話になってきたサイト様。
対応していない区分もあるので、それはまた別のサイト様を探す必要がありますが、恐らく大体どの区分も見つかると思います。

EX、小論文対策について

小論文がある試験区分の場合、小論文対策が必要という方もいると思います。
これについては、小論文に特化した参考書を一冊買ってやってみてもらうのが良いかと思います。
題意に沿って順序立てて過去の経験を説明する、というパターンがほとんどなので、特別勉強しなくても取れるという人も多いですが、普段から文章を書くことに慣れていないと難しいかもしれません。

慣れの問題と、人に見てもらわないと判断がつかないので、有資格者や勉強会コミュニティなどで誰かに添削してもらうのが良いかもしれません。

以上が、高度試験対策の勉強法です。
自分はもう2と3については慣れてしまったので、最近は1と4しかやってないですが、初めて高度試験を受けるような場合は、2・3についても必要に応じて実施が必要かと思います。

勉強のスケジュール感

一通り勉強法についても書きましたので、最後にどんなスケジュール感で勉強をしているのかをお伝えします。
と言っても、それぞれの現在のレベル感で必要な勉強量は違いますので、参考程度に抑えておいてください。

4ヶ月前〜2ヶ月前:勉強法1

まず、自分の場合は前の試験の合格発表くらいから次の試験に向けた勉強を開始します。
勉強法1のための参考書を見繕って購入し、気が向いた時に読むようにします。
この時期は正直まだまだモチベーションも低いので、週に1、2回夕食後に1時間程度読む時間を設ける程度です。

2ヶ月前〜2週間前:勉強法2・3+1

残り2ヶ月くらいになってきたら、一度過去問の午後問題を解いてみます。
するといけそうかどうかが感触として見えてくるので、感触に応じて追加で1を繰り返します。
感触が良ければ変わらず週1、2程度の勉強で済みますし、感触が悪い場合はもう少し勉強時間を増やしていきます。
と言っても、やってることは参考書を繰り返し読んでいるだけなので、場所や時間を確保するのはそんなに大変ではありません。

午後問題を解いてみるのは時間を決める必要があるので、土日などまとまった時間が取れる日を選んでおく必要があります。
それも、1〜2時間程度確保すればいいので、できないというレベルではないのかなと思います。
(育児中とかだと大変かもしれませんが・・・)

1週間前〜前日:勉強法4

最後の1週間はとにかく毎日過去問サイトで解きまくります。
ここは半分暗記を兼ねているので、間を空けずに詰め込むのがいいです。
そうすることで、当日も問題文を読んだだけでパッと答えが選べるようになります。

ざっくりとこんな感じのスケジュールでやることが多いです。
ただ、自分の場合は

  • 元々その分野への業務理解がある

  • 午前1試験が免除されている

  • 小論文対策はしない

といった点もあるので、その辺も考慮してもうちょっと長めに期間を考えてもらうと良いのかなと思います。
ただ、あまり長く続けているとモチベーションが下がってしまう面もあると思うので、メリハリを持って続けられるように、モチベーション維持するのが重要じゃないかなと思います。
(自分の試験勉強モチベーションについてはあまり参考にならなさそうですが、興味ある人がいそうなら後日別途記事にしてみます・・・)

最後に

ざっくりと、自分の勉強法について書かせてもらいました。
残念ながら誰にでも向いている方法というのは無いですし、これで勉強すれば必ず受かるというものでもありません。
最終的には、「自分に向いている勉強法を見つけられる」というところが、高度試験に合格するための資質なのかもしれません。
とはいえ、この勉強法が誰かの参考になったり、合格に結びついたりしたら嬉しいです。

何か気になったことやよく分からなかった点、疑問に思ったことなどがあれば、コメントやTwitterなどでお気軽にご連絡ください。
自分で答えられることならお答えします。

長々とお付き合いいただきありがとうございました。

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