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この世のすべてが完璧なバランスで保たれているのだとしたら。

この旅でも、たくさんの人に出会いました。
たくさんの再会もありました。

驚くべきことに、前回のインドですれ違いざまに挨拶を交わしただけの人が、僕のことを覚えていてくれたりもしました。もう4年も前のことなのに、嬉しいものです。

ひとり旅をしていると、たくさんの人に助けられます。
彼らは少しのコミュニケーションで、表情を崩し、その心を開いてくれます。
ことさら今回の旅では、たくさんの人の寄り添ってもらえていると感じます。

「今の人生で出会う人は、前回の人生でも出会っている。」という話もよく聞きますが、旅をしていると本当にそう思えてくるから不思議です。

すれ違いざまに目が合って挨拶を交わす、その直前に降りてくる直感のような感覚は、宇宙の膨大なデータの中から棚卸されてきた記憶なのかもしれません。

この宇宙が本当にたったひとつの粒子から生まれたのだとしたら、宇宙はお互いの絶妙なバランスで保たれているはずです。

そのことに想いを馳せると、すべての人や自然やあらゆる物質にまで親しみと愛を感じずにはいられないのです。

ブッダが悟りを開いた時、その体からは五色の光が現れたと言います。その五色は、火、水、土、空、風であり、宇宙を構成する五大元素として語り継がれています。

人のみならずすべての存在が、この五大元素の完璧なバランスの中にあるのならば、どこかで何かが亡くなればどこかに何かが生まれるというのも頷ける話です。

ある人はこの町バラナシのことを
「人が生まれてから死ぬまでのすべてが目に見える町。」と表現しました。

誕生から死までのサイクルの偉大さを思わずにはいられないこの町にいて、ガンジスの川辺に腰をかける時、吹き抜ける風、揺らぐ水面、日の光、地面の固さ、穏やかな空気、そんなすべての中に僕は、この世のすべての記憶を感じ、すべての繋がりへの多大なる感謝の念を抱くのです。

本日も文末までお付き合いいただきありがとうございました。

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