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初めてのネットからの依頼

画像は独身の頃に頼まれて描いたカットです。ケント紙にロットリングで描いたと思います。ピグマのような顔料ペンだといまいちくっきり描けなかったので、製図用のロットリング(イソグラフ)を使っていました。0.1ミリのやつが、すぐ目詰まりしちゃってメンテがめんどうでしたね。ベタ部分は墨汁を筆で塗って、罫線を引くときは烏口を使っていました。

ネットに自分のサイトを開設した当時は、こういう過去の作品を載せていました。2002年ごろのことです。日記も書いて載せていました。当時、SOHO(Small Office Home Office)とか在宅ワーカーという言葉が流行っていたのです。

営業用サイトを開いて半年ほどたったころ、一通のメールが届いた。そこには「サイトを見ました。イラストを描いていただけませんか?」とあった。おお!ネットを通じての初めての仕事依頼であった。
 ただ、相手は全然面識の無い人である。出版社なのだが、本当に信用のおける会社なのだろうか。SOHOが集う掲示板では、料金不払いに遭ったという書き込みも見かける。私は何気なく夫に、この会社はどうだろね~と言ってみた。すると会社名を聞いた夫、「それ、うちのお得意様だよ!」…何?直接関わっている部署では無かったにしろ、その出版社は夫の会社の取引先であった。
 よく奥さんがSOHOという場合、夫の理解が必要と言われるが、我が家の場合は反対するわけにいかなかったのである(笑)
 
 初めてのネットの仕事は、非常に良いクライアントに恵まれた。納期に余裕がある。料金を振り込む前に確認の通知を送ってくれる。納品のために着払いの送り状まで送ってくれる。本当にラッキーだった。
 担当者にどうやって私のサイトを見つけたのか尋ねてみると、SOHOサイトに何百と登録してある中から、一日かけて一つずつ見て探したと言う。私のサイトにほんの3点だけ載せてあったアナログのカット、そのタッチを見て決めたそうである。そうしたら相手は取引先の営業の奥さんだったわけである。
 世の中って面白いな~と思った。

着払いの送り状?と思われるかもしれませんが、当時は紙に描いたものを宅配便で納品していたのです。まずはラフ(下絵)をFAXで送り(コピーをとったやつとか、面倒な時はそのままケント紙をFAXにぶっこんだ)、OKが出たら仕上げをして、梱包して送っていました。データを送ることもできたと思いますが、アナログでモノクロで数も多かったのでまとめて送って印刷所でスキャンしてもらったのだと思います。

この出版社とは長くお付き合いすることになりました。

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