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2023年の6月を振り返る

なんだかんだで振り返りも6回目。慣れてくるかと思えばそんな訳もなく…という書き出しを塩構文と名付けます。本当にどうでもいい他人様の色恋沙汰が電波や誌面を賑わすうちは、まだまだ平和ですねニッポンも。

と、いうわけで国民の祝日が一切ない、のび太にとっては地獄のような6月を振り返ります。

浅草でクラフトビールなら

わたしの日曜日は必ずグリーンチャンネルからはじまる。

グリーンチャンネルとは知る人ぞ知る、朝から晩まで一日中競馬のことばっかり放送しているマニアックな放送局。日曜はもちろん前夜から引き続いての予想番組、そして各競馬場の第1レースから生中継している。

わたしはだいたいメインレース一本勝負なので午前中のレースは今後の予想の参考程度にしかウオッチしない。

しかし競馬新聞(主に優馬)をじっくり眺めるとき、テレビで流れているのがワイドナショーでは集中できない。サンデー・ジャポンではカッコがつかない。ここはやはり緑の芝と蹄の音をバックに予想したいのである。

そしていざ、勝ち馬の予想を記入したマークシートを手に銀座のWINSに向かう。地下で馬券を購入し、そそくさと「サッポロ生ビール黒ラベル THE BAR」にて喉を潤し、銀座線で上野御徒町へ。

御徒町では『まぐろ人』で顔なじみの板さんに握ってもらい、酔いがいい感じにまわったところで上野『大統領』というのが定番コースだった。

しかし。

この6月は違った。

浅草なのである。WINS浅草で馬券を買う習慣ができたのである。

その理由はこれだ。

大好きクラフトビール

クラフトビールの店『奥田麦酒店』。最近こちらにハマりつつあるのだ。

ここはビールの種類もさることながら、メニューが充実している。何を喰っても美味いのだ。それもそのはずオーナーの奥田さんは洋食の名店、旨すぎて申し訳ないスで有名な『ヨシカミ』で修業したツワモノだからだ。

これも

分厚すぎるハムカツ

これも

旨塩チキン

これも旨すぎる。

ビールに合う!レバー

旨すぎて申し訳ないスのキャッチコピーはいまや奥田麦酒店が掲げてもいいんじゃないかと、梅雨空を仰ぎながら我思う故に我あり。

朝の空がつまらない

わたしは毎朝早い時間に散歩をしている。愛犬のヒッチコックが枕元でせがむからである。この季節は特に早く、4時過ぎには明るくなるので始末に負えない。

おはようヒッチコック

彼はあくまで自分がオーナーで、わたしのことを散歩につきあわせているつもりらしい。自分の行きたい方向に先導してずんずん歩く。

わたしとしても彼にだけ散歩を楽しませるのは癪なので、なんとか自分なりの愉悦を見つけようといろいろ考えた。

歩いているほとんどの時間はその時々の仕事(主には短いフレーズが求められるもの)を考えることに費やされるが、ふと目に入った空模様の美しさに心を奪われたとき、思わずスマホで撮影する癖がついた。

そしてそれをそのままTwitterに投稿するのが習慣となった。

Twitterのみんなたち、おは!

しかし、6月はそれが思うようにいかない。

毎日、朝の空が白いのだ。

自分としては小さくてもいいから心がつかまれた瞬間を撮影したいと思っている。撮影の腕がないかわりに、対象物にはこだわりたい。

なのに6月の空にはとんと、心動かされないのだ。

そうすると自然に目線が下に向かう。

向かった先にあるのが、船、というケースが割と頻繁に続いた。

波の谷間に命の花が
兄弟船は親父の形見
未確認浮遊物体

6月は空より足元に目がいく季節なのだと思った。

ちなみにヒッチコックはフレンチブルドッグの雄で10歳になる。短頭種とよばれる犬種は往々にして寿命が短く、10歳を超えるとレジェンドと呼ばれる枠に入るらしい。

元気で、とりあえず元気で

わたしとしては彼とあともうしばらくの間は、毎朝の散歩を楽しみたいと願っている。七夕の短冊にそう書いた。

今月読んだ本

京橋の丸善で村上龍の『ユーチューバー』を買った。あっという間に読了。

すごい帯

感想は、思わず『コインロッカー・ベイビーズ』を再読してしまった、というもので充分だろう。『コインロッカー…』の次は『愛と幻想のファシズム』を再読するだろう。その次は『空港にて』そして『テニスボーイの憂鬱』。しばらくは村上龍を読み返す日々が続きそうである。

おなじく京橋の丸善で『未必のマクベス』文庫本を購入。これまた読了。

素晴らしい小説

かなりの長編だが、一気に読める。終わり方に不満が残るが、たしかに面白い。北上次郎さんの推薦文に惹かれて買ってよかった一冊である。これを手にしたおかげでまた今月も『街とその不確かな壁』が1ページも進まなかった。俺、もしかすると読みたくないのかな。

『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』を首都圏先行発売で6月19日に入手し、その日に読了。

教授の最後の言葉

月刊『新潮』での連載は必ず目を通していた。が、このような形で一冊にまとまると、それはまた違った読後感が味わえる。そしてなにより衝撃的だったのは鈴木正文氏による「著者に代わってのあとがき」である。

間に合わなかったのだ。

あるいはその力を取り戻せなかったか。

いずれにしても間に合わなかった。

その事実が胸に重くのしかかる。

おそらく7月も幾度となくページをめくる一冊となるだろう。その間に挟まれる村上龍の旧作たち。はたしてわたしはいつになったら『街とその不確かな壁』を読むことができるだろう。


と、いうわけで比較的淡々と過ぎていった6月でした。

仕事のほうは本当にありがたいことに新しいクライアントとの取り組みがはじまり、また継続してお付き合いしているクライアントでもいくつかのチャレンジが形になりつつあります。

非常にたくさんの人にマイクを向け、耳を傾け、面白い話を聴く日々。それを文字に定着させて一人でも多くの方とシェアする仕事。

触媒のような存在。

こういう人間になりたかったのですね、俺は。

ありがたやありがたや。

7月もがんばります。

あ、吉川忠英さんにご挨拶できました。子どもの頃から聴いているレコードのクレジットにはいつも忠英さんの名前がありました、と握手。すばらしいギタリスト&ボーカリストです。

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