2024年の水無月を振り返る
かつて野比のび太はいいました。
「一年を通じてもっともふゆかいな六月!六月には国民の祝日は一日もないんだぞ。春休みとも夏休みとも関係ない…日曜のほか一日も休めないこんなつまんない月があるか!」
おっしゃるとおりですね。6月は誰にとっても「水中、それは苦しい」みたいなひと月なのかもしれません。それはもちろんわたしにとっても。
それではさっそく振り返りましょう。
ガッツとはなんであるか
とにかく忙しかった。月のまんなかのあたりで電池が切れそうになった。実際に2日ぐらいは死んでいたような気もする。
仕方がないので禁断のドラッグに走ることにした。キューピーコーワゴールドαプレミアムをアリナミンVドリンクでグイッとやる。
これである程度持ち直して、疲労のピークを乗り切った。
もう若くないなあと思う(そうだよね)。
スタミナがないんだなとも思う。
ガッツあふれる男だったのに、と振り返る。
そこでフト思った。
ガッツってなに?
ねぇ、ガッツってなによ?
よく使われるのが「若さとガッツあふれる」みたいな言い回し。そこから類推するに、根性みたいなものか。いままであんまりきちんと考えたことなかったなあ。
その昔、椎名誠さんは『赤眼評論』という本の中でこう提言した。
ファイト一発とはどういうことか。
ファイトの数え方はいっぱつ、にはつでいいのか。
いまわたしは近い感情をガッツに抱いている。
こんなときはChatGPTの出番だ。
「ガッツとはどういう意味ですか?」
前回、老後の就労問題で色よい回答をもらってから、やや丁寧に質問するようにしている。
すると
「ガッツ」とは、日本語で主に「根性」や「気力」を意味する言葉です。特に困難や挑戦に立ち向かう強い意志や勇気を表します。英語の「guts」に由来し、そこから転じて日本語でも使われるようになりました。
なるほど。おおむね仮説は当たっていた。
それにしても最近のヤングはあんまり使わなさそうな言葉だ。ミレニアル世代以降は根性や気力が嫌いみたいだし。それよりもショートカットとかハックとかレバレッジが好きそう。
だけど最近に限らず昔から「若さとガッツあふれる」というような言い回しから、あんまりガッツは伝わってこない気がする。なぜだろう。ガッツでいこうぜ、とか言われても具体的にどうしたらいいのかつかめない。
そう考えるとちょっとかわいそうな言葉のような気がしてきた。あまり日常会話で使われないことも存在感のなさに繋がっているような気もする。
このnoteをお読みのみなさん、明日からガッツについてほんの少しでいいので活用してやってくださいませんか?ひとりひとりの小さなガッツが社会を動かすことになるかもしれません。ならないかもしれないけど。たぶんならないけど。
機嫌よく働く人には敵わない
仕事場の近くに『Shibuya Cast.』という商業施設なんだかオフィスなんだかよくわからない建物がある。
そこには1階と地下(実際には地下ではなく坂下の地上階)をつなぐエスカレーターがあるんだけど、ここで清掃の仕事をしている男性がいつもものすごく楽しそうに働いているのね。
エスカレーターの清掃なので手すりを拭いたりステップにモップをかけたり、といった作業なんだけど、とにかくどんなときも笑顔。それもすごくいい笑顔なのだ。
見ている(わけではないけど)こちらもなんだかいい気持ちになる。そんな清掃員を見たことがなかったので、かなり新鮮な衝撃を受けている。
映画『PERFECT DAYS』で役所広司が演じた主人公も公共トイレの清掃員だったが、どちらかと言うと内向きな、寡黙な職人という趣だった。渋谷のエスカレーター清掃員は感情が外に向いている。仕事を心底楽しんでいるのがビシバシ伝わってくる。
もちろん人間だから嫌なこともあるだろう。つまらないトラブルや悩みに心を絡め取られる日もあって然るべき。
しかし50代後半と思しき彼はいつもご機嫌なのである。背筋をシャン、とさせて颯爽と、踊るようにゴミを拾ったりモップをかけているのである。
まいった。
かっこいい。
あんなふうに機嫌よく働く人にはどうやったって敵わない。何か競っているわけではないのだが、ぼくの考える理想のシゴトビトなのだ。
彼は仕事にお金だけを求めていないことは間違いない。お金じゃ得られない何かを得ているんだと思う。ぼくもそうありたい。が、まだまだ修行が足りない。あの境地に達するには道半ばもいいところである。
やっぱり敵わない。
インディアンスパリベンジ
以前、noteでも告白したのだが、わたしは大阪カレーの名店『インディアンカレー』にて見事に撃沈した。カレーがかかったスパゲティ、インディアンスパゲティを注文したのだが、あのドーンと甘くてその後レッドゾーンまで引っ張られる辛さに身も心も粉砕されてしまったのだ。
しかしカレー好きスパ好きのわたしは誓った。
まっとれよ、インディアンスパ!
ぜったいリベンジしたる!!!!
そして
時は来た。それだけだ。
あるクライアントの取材撮影のため、わたしは朝から虎ノ門のWeWorkへ向かった。そしてつつがなく仕事を終えたわたしは、虎ノ門の駅でカメラマンと別れ、単身大手町に向かった。
なぜ大手町か。
インディアンカレーOtemachi One店
があるからだ。
いまのところ東京、いや大阪神戸以外でインディアンカレーを味わえる場所は丸の内とここだけである。虎ノ門からわざわざ霞が関まで歩き、そこから千代田線で大手町へ。目指すはOtemachi One Avenue B1だ。
しかし地下鉄駅から連絡通路で直結しているOtemachi One AvenueのB2に到着した瞬間、さっそく挫折しかけた。インディアンカレーの店舗への行き方がさっぱりわからないのだ。
わたしが昨日今日、名古屋から出てきたばかりのオノボリさんなら仕方がなかろう。しかしこう見えて大都会東京で38年間どっこい生きてきた俺だ。こんなところで迷うなんておかしい。
しかし「こっちか?」と思ってエスカレーターに乗れば地上へ連れていかれる。「こっちでは?」と上階に登れば行き止まり。すぐそこにインディアンカレーがあるはずなのにたどり着けない。
それもそのはず、このフロアマップをみてくれ。
B2から館内でB1につながる登り口が赤丸で囲ったところしかないんだよ!
それ以外はいきなり1階へ連れて行かれたり、止まらないEVだったり。どうなってんだこれ。高齢者にはキツいトラップだぜ。
10分後、肩で息をしながらようやくインディアンカレーに到着。今回は前回のような失敗をしないように「インディアンスパ、卵つけて」とオーダー。おばちゃんに食券をもらう。
すると着席後30秒で素スパがキッチンからでてきて目の前でカレーをドロップ。卵をトッピングしたのちスマートにサーブ。
うーん、この香りだぁっ!
美味いじゃないか。めちゃくちゃおいしいじゃないの。甘くて辛い。うん、これは癖になる味だよ。思わずガッツ(!)ポーズ。
ここでわたしは以前、わたしに『神座(かむくら)』なる大阪発祥のラーメンを教えてくれた、はるちゃん(神戸のバンド『GETCHA!』のボーカル)の理論を思い出す。
「ハヤカワさん、3回食べたらハマりますわ。東京の人は最初はウマない、ゆうんです。でも騙された思て2回目食べてみてください。あれ?思いよりますデ。ほんで3回目はもう、黙っとってもアンタ、自分から…ほんま東京の人はアレですなあ」
これがはるちゃんが提唱する「東京の人、関西ローカルの味3回食べればハマる説」である。わたしは名古屋出身なので上手くいけば最初から、そうでなくても2回目でハマると彼は言う。
はるちゃんの説はともかく、インディアンスパ、美味かった。今月末日にも虎ノ門で取材がある。おそらく帰り、わたしはふたたび大手町に向かうだろう。そしてこんどは正面からインディアンカレーに挑戦するつもりだ。
と、いうわけで怒涛のインタビューラッシュだった6月が終わろうとしています。20営業日で21名分。もちろん未だ完納していません(涙)。それどころか上にも書いた通りまだ取材が終わっていない案件もあります(笑)。
いまわたしを見た人は不思議に思ってこう声をかけるだろう。
みなさん、7月も暑くなりそうですがガッツ(!)で乗り切っていきましょう。おつかれさまでした。
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