見出し画像

ここのところの麺事情

人類は麺類、という傑作コピーが過去あったけれど、ほんとうにそうだなあとおもう。

少なくともぼくはUT(超地球的存在)から「あなたは人類ですか?」と聞かれたら「いいえ、わたしは麺類です」と答える覚悟はできている。

そんなぼくがこないだの週末に感じた麺に関するエトセトラについて書くことにする。


藤沢にある『ラーメン黄金』のスタミナラーメンはいったいどこに向かっていくのだろうか

ここはひとつ、声を大にして言いたい。

藤沢にある『ラーメン黄金』のスタミナラーメンは、この先いったいどうなるのだろうか。このままほうっておいて良いのだろうか。否、良くない。良くないとおもうのでごんす。

ぼくは『ラーメン黄金』を10回以上訪れている。注文は毎回スタミナラーメン一択だ。

いちばん最初は忘れもしない、2019年3月23日。辻堂のイタフラ中古車専門ガレージからの帰りになんの気なしに立ち寄った。

この店、メニューの種類が鬼のように多い。あれこれ迷ったが、辛味噌ラーメンの上に焼肉が載っかったスタミナラーメンをチョイスした。この組み合わせは大好物だ。

みよ!この輝きを!

おどろいた。美味い。
めちゃくちゃ美味いのである。
コクのあるスープにピリっと辛いアレンジが施された味噌がよく合う。その上にガッツリ炒めた豚肉、玉ねぎ、ニラ、そしてネギ。ぼくは思わず小躍りしてしまった。

そしてこれから辻堂にクルマの整備で来るときは必ず土曜の朝イチに指定して、帰りに黄金のスタミナラーメンをいただくことに決めた。

次に訪問したのは2019年7月30日。

スープと辛味噌と具の三位一体

この日も最高だった。言う事なし。スープがトロッとしていて、それがまた旨いのなんの。なんのこれしき。南野陽子。

次はコロナ禍に見舞われた2020年の12月5日。

焼肉感が増している

あれ?ネギが載ってないや。でも相変わらず炒め焼肉がガツンと美味い。

そして2021年5月1日。約半年ぶりの再会である。

なんとなくオロチョン路線に傾倒?

ひさしぶりだな、元気だったか?とひと声かけてからいただきます。タイ人の店員がぼくを見て頭の右上で指をくるくる回しながら笑っていた。バンコク共通である。

続いて2021年6月19日。

刻みネギ復活はうれしいが…

このあたりからなんとなくスープが「ん?」と物足りなく感じるように。

2021年はクルマがなんども故障したせいか、翌月の7月24日も足を運んでいる。

雑になりつつあるのがわかりますか?

さらに11月もである。この頃がいちばん「?」となっていった。しかしだからといってパーコー麺や焼肉定食に浮気はしない。なぜなら人類は麺類だからだ。

ずいぶん満足度は落ちていた

そして同じく2022年5月28日。明らかに肉の質が変わった。おわかりいただけるだろうか。っていうか読者はおんなじようなラーメンの画像ばかり次々と見せられて辟易しないのだろうか。

豚肉が硬いのね、なんか

このあと、2022年、2023年もそれぞれ2~3回ずつ通っていたのだが、どんどん肉の質が落ちていく。あまりの落ち方に写真を撮るのを忘れていたほどだ。

明らかにおかしい!と思ったのは2023年の冬。肉が硬い。しかも味がしない。さらにスープも味噌っぽさ、つまりコクがなくなり、たんなるオロチョンテイストになってしまった。物価高。材料費高騰。円安。そんな漢字がぐるぐると頭の中で回った。

実際にスタミナラーメンは「680円」から「780円」に値上げしている。

そして2024年5月11日。こないだの土曜日だ。

ドンブリからも気合いが感じられない

肉がほとんど見当たらない。欠片しか確認できない。数えるしかない。スープもシャビシャビである。ぼくは、はじめていただいた2019年の味と比較して、あらためて当たり前の事実に気づいた。

「これは作り手からして別人のものだ」

つまりレシピを属人的にアレンジされた上に食材の高騰によりチープな材料となり、なにもかも別物になった、というわけである。

ここでひとつの選択肢が目の前にあらわれる。

もう行かないのか、がまんして再訪なのか。

別物になってしまった以上、もう足を運ぶことはやめるべき、という意見が世論の大半を占めるだろう。ぼくもそのほうがいいようにおもう。

しかし、しかしだ。

足かけ6年にもわたって見つめ続けてきた、スタミナラーメンである。ちょっと味が落ちたからって(ちょっとじゃないけど)、ちょっと肉が少なくなったからって(ちょっとじゃないけど)、そんな簡単に、スパッと別れられるものだろうか。

わたしはここで、ついせんだっての悲しい事件をおもいだす。

そう、ガルバ女子に結婚をチラつかされ、NRとNSX(超高級バイクとスーパーカー)を売却して捻出した2,000万円を渡したにも関わらず約束を反故にされた51歳のオジが引き起こした痛ましい事件である。

51歳のオジに同情は無用だ。オジの所業は決して肯定して良いものではない。しかし、オジの気持ちがわからないと断言できない自分がここにいる。きっと、いまぼくがスタミナラーメンに寄せている想いと51歳のオジがガルバ女子に捧げた想いは、遠く時の輪がつながるところで重なっているのだろう。

ここまで考えて、ぼくは決意した。

これからもラーメン黄金のスタミナラーメンを食べていくぞ、と。この先、3年、5年、10年と食べ続けていけばいつかは2019年の頃の旨さを取り戻してくれるかもしれないぢゃないか。

ここでぼくがおもいあまって厨房のコックやホールのおばちゃんを刺してもなんにもならない。彼らだって異国の地から出稼ぎに来てまさかスタミナラーメン由来で刺されるなんておもってもいないだろうし。

なにより、希望を持ち続けること。期待をかけ続けること。

そうすることが、51歳のオジにお前は間違っているぞと伝えることになるだろうし、なによりガルバ女子へのレクイエムにもなるのではないか、とおもうのであります。

  終
制作・著作
━━━━━
 ⓃⒽⓀ


人生初!インデアンカレーでびっくりしたよの巻

あなたは大阪人だろうか。大阪でなくとも神戸や京都、あるいはキンキキッズであればご存知であるだろう、インデアンカレー。

あれをこないだの日曜日に食べたんですよ。

何を隠そう、昼から銀座に出かけて馬券を買って、上野御徒町で寿司をつまんでほろ酔い気分。東京駅の丸善で本を数冊購入し、フラフラと地下街を歩いていると。

なんと!噂には聞いていたもののいまだ体験したことのなかったインデアンカレーが目の前にあらわれるではありませんか!

ここで簡単に解説するとインデアンカレーは1947年に大阪にて創業された老舗カレーハウス。以前、出張族だった頃には大阪にも年に二桁は通っていたのですが、いかんせんハードワークが株式公開したような会社だったことから新大阪駅からオフィスまでの往復のみ。インデアンカレーなるものとの接点はなかったわけです。

そして日曜までのぼくの持っているインデアンカレーに関する情報は「大阪で人気」「カレー好きにはたまらない」「ライスだけでなくスパゲティにカレーをかけるメニューもある」のみでした。

そこで、よおし、そんなに腹は減ってないけどスパゲティならどんだけでも入るぞ!ここであったが百年目、いざ勝負!とばかりにお店の暖簾をくぐったわけです。

カウンターに座るとすぐにお水が。そして店の奥からスパゲティの麺が。すかさずマスターみたいな人が目の前でカレールウをかけてくれます。そして目の前に輝かしきインデアンスパゲッティとつけあわせの何かが!

めっちゃ美味しそう!からの

うおおおおお!

いただきまーす!!!

と、一口目。なんだこの甘ったるいのは!!!!

驚くのもつかの間、二口目はどちゃくそ辛いではないですか!!!

ギャー!

最初甘くてのち辛い、というのは日乃屋カレーで体験済み。だけど日乃屋は甘さもマイルドだし、辛さもジワジワとやってくるじゃないですか。

インデアンは違った。
ドーンと甘くて、その後一気にレッドゾーンまで辛くなる。

はじめての味体験に目の前がクラクラし、汗が吹き出る。あわてて水を一口呑むとまるで機銃砲でも抱えているかのようなおばさんがすぐに水を足しにくる。そして恐ろしいことに水を飲めば飲むほど辛さが増していく。

「い、いかん…こ、このままでは」

なんとか男の意地を見せようと体勢を整えるべくつけあわせのなにかに手を出すのだが、これがまた甘いんだ。くそっ!どうしてここにはド甘いとド辛いしかないんだ!

「ずびばぜん、ごちそうだまでじだ・・・」

とうとう完食かなわず、3分の1ほど残してお会計。完膚なきまでにやられました。なんという不甲斐なさ。特にカレーとスパゲティという、どちらも幼少の頃より親しんできた料理の組み合わせで負けを喫するだなんて。

ちなみに周囲の客(オッさんばかり)は「大盛り」「ルー2倍ね」「こっち大盛りルー2倍に生卵!」どいつもこいつも勢いよくパクついている。猛者にしか見えない。

ぼくはボロボロになりながら帰宅し、まだ夕方6時過ぎだというのに寝込んでしまいました。そして次の日の朝5時まで目を覚ますことはなかったとさ。

ぜったいに近いうち、リベンジしてやる。
まっとれよ、インデアンカレー!!


人類は麺類である。まったく異論はない。

わたしはこれからも麺類の一人として麺道を歩んでいきたい。そうおもっている。

あなたにも、できれば実りある麺ライフを送っていただきたい。おこがましいようだが、心からそう願ってやまないのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?