韓国の宗教
1. はじめに
本レポートの目的は、韓国におけるシャーマニズム、仏教、儒教、キリスト教に関して要約し、仏教・儒教・キリスト教のシャーマニズム化について論じることにある。
本レポートの構成は以下の通りである。第2章では、韓国におけるシャーマニズム、仏教、儒教、キリスト教に関して要約する。第3章では、仏教・儒教・キリスト教のシャーマニズム化について論じる。第4章ではまとめを述べる。
2. 韓国におけるシャーマニズム、仏教、儒教、キリスト教
もともとシャーマニズムはアニミズムとトーテミズムからなり、司祭、治病、予言の機能を持つ。一方で、韓国におけるシャーマニズムの機能は祈福、災いを斥けること、卜占、歌舞などである。
韓国における仏教は三つに分けられる。一つ目の新羅仏教は、護国安民の気風を残すだけでなく、巨大な寺などを建造し、更には経典の編纂、校正、収蔵にも大きな功績を残した。二つ目の高麗の仏教は、国王の庇護により外見的には急進的に拡大化したが、内的には腐敗してしまい、結局は衰退の道を走らなければならないようになった。三つの目の朝鮮の仏教は、儒教勢力の革命の流れを受け、抑制されていった。
韓国における儒教は、政治体制で主要な宗教が移り変わる中、人々の根底にあり続けた思想である。
韓国におけるキリスト教は、中国を通じて景教として流行した。また、韓国人自らが外国で宣教師との接触を通じてキリスト教を伝えた
3. 仏教・儒教・キリスト教のシャーマニズム化
韓国における仏教のシャーマニズム化とは、目的の変化である。つまり、つまり、仏教の目指す目的が苦からの解脱から、福を招くことへと変化した。では、なぜ仏教がシャーマニズム化したのかを考える。結論は、高麗は新羅に比べ豊かになったからだ。新羅は三国のうちの一国であるため、戦いにより生活が不安定で民衆の間に「苦」が多かった。したがって、苦からの脱却を目指す仏教が発展した。一方で、高麗は朝鮮半島を統一したため、生活が安定していた。つまり、民衆の間に「苦」が少なかった。人間に「苦」がない場合、次に求めるのは福である。したがって、仏教がシャーマニズム化した。
儒教のシャーマニズム化は、孝行思想、法事を通して進行した。では、なぜ儒教がシャーマニズム化したのかを考える。それは政治体制の変化に伴う宗教の変化に、儒教が対応するためである。儒教とシャーマニズム化の類似性が対応を可能にした。法事は、一般的なシャーマニズムの要素であるアニミズムと同一性がある。法事は、人に宿った精霊を供養するものであるといえる。したがって、法事はアニミズムに内包される。つまり、儒教のシャーマニズム化とは、儒教でとらえる範囲が拡大されたことと同一である。儒教の範囲拡大により、儒教は韓国の思想を根底から支え続けている。
キリスト教のシャーマニズム化とは、聖職者のシャーマン化である。ここにもキリスト教とシャーマニズムの類似性がある。つまり、キリスト教もシャーマニズムも福を招くという部分で一致している。
4. まとめ
本レポートでは、韓国における諸宗教とそのシャーマニズム化について考察した。その結果、シャーマニズム化の要因はシャーマニズムの範囲の広さと時代背景にあることが明らかになった。