アマガミというギャルゲーについて
先日、初めてギャルゲーというものをプレイした。当初は少し抵抗感があったのだが、やってみると意外と面白い。今まで自分にとってギャルゲーというのは何もせずとも自分に幸運や理想の女性が現れるといった風なシンデレラ的な現実逃避ものであると認識であると認識していた。(大変失礼な話だが)しかし、手の込んだキャタクターデザインやプレイボタンを押した時のレトロ感溢れる効果音などに引き込まれていった。ストーリーは高校に通う男の子が5人のヒロインと関係を深めていき、エンディングを目指すといったものだ。しかし、一つのターンで会話のできるヒロインは限られているので一人ないし、二人を最終的には選ぶこととなる。そして、そのエンディングも多種多様であり、関係性によって違ったものとなったり、あるいはヒロインとの約束をすっぽかすことによる、所謂badエンディングといったものも存在する。ここまではいたって普通のように思えるが、このゲームの特筆すべき点はゲーム時間のほとんどをヒロインとの会話コマンドをひたすら押すことに費やしているということこにあるだろう。ヒロインに対しての応答というのは非常に少なく、世間話や娯楽、勉強といった選択肢のなかから好感度の上がりそうなものを選ぶのである。世間話から始まり、娯楽に続くといった様なテンプレは必ずしも通用せず、結果全ての選択肢で好感度が下がってしまうということも稀にある。しかし、この選択、そしてその試行錯誤というのはこのゲームのコンセプトではないかと考える。先述したとおり、このゲームにおいて5人全員を選ぶというのは不可能だし、最終的には誰かを選び、誰かを切ることが要求される。(結果的に会話の少なかったヒロインはソエンという形となる。)この選択という行為は、当初自分の想定していたシンデレラ像とは異なっている。ヒロインが現れるというひどく受動的な態度ではなかったということである。ここで中沢新一氏が民話としてのシンデレラについて言及している。
「さて、このシンデレラの話には最終的な目的があります。その目的はあからさまな社会機能で、最も高いものと最も低いものを仲介によって結びつける…」中沢新一,世界最古の哲学,p93より
絢辻や七咲といったキャラから見ても、最終的には絢辻は委員長を解任されるとともにクラスメイトから嫌われて終わるし、七咲は部活動や家族を蔑ろにして主人公と結ばれる。これは中沢新一氏が西洋のシンデレラとしてあげるものと異なる。そして、それに対するものとして中沢新一氏はインディアンにおけるシンデレラについて語っている。インディアンの少女たちは見えない人(理想の人)を探す。見えない人は少女たちの美しい気持ちを望む。そして、その見えない人のことが見えるのは社会的な地位にいる人や美しい見た目の人ではなく、ボロボロの肌の少女だけであると。この点はアマガミのコンセプトと通ずるところがあると考える。例えば、絢辻ならば主人公は彼女を決して委員長、優等生として好きになったわけでなく、その裏である絢辻を見つけ出す。自らの選択によってヒロインの本当の姿を知っていくという点において受動的、楽観的な西洋のシンデレラとは一線を画するものである。これこそがアマガミの魅了ではなかろうか。結果として主人公である我々は、彼女らヒロインの本当の姿を自分しか知らないと考える訳でいい意味でタチが悪い笑。
七咲というキャラクター
このアマガミという作品において、七咲というキャラが一番の人気を博しているのは疑いようのない事実であろう。デザインは勿論のこと、bgmも非常に手が込んでいる。それでもやはり、その人気の理由は我々主人公の心を掴む展開にあるだろう。初め、主人公にとっては七咲という人物は真面目でそっけない風に映るのではないか。あからさまにこちらに興味がなく、特にアニメのオープニングでは唯一悲しそうな表情をしている。彼女は水泳部において期待のエースであるとともに、歳の離れた弟の姉という立場にある。しかし、物語を進めていくうちにその姿が必ずしも七咲を描写したものではないとわかる。スカートをたくしあげたり、カップラーメンを部室に持ち込んだり、弟が風邪と偽って主人公と二人で遊園地に行こうとしたりなど、お転婆というか反社会的な側面があることに気づく。極め付けはその七咲と合う場所である。他のキャラクターと異なり、異様に校舎裏で会うことが多い。これも七咲の社会から逃避しようとする姿をより強調させる。そして、その一種の父性的な側面を我々主人公は「俺と同じなんだ」と錯覚する。(特に自分の様なオタクは)その真面目であろうとする気持ちと父性的な側面のギャップを知ることによって我々に優越感を生む。加えて、その年の離れた弟の持つ姉としての母性が不安定な主人公の気持ちを包み込む。主人公の頭を撫でたり、お腹を枕にして寝るところなどはその好例であろう。要するに七咲は社会に反抗しようする気持ち、良き姉であろうとする気持ちの狭間にあり、図らずともそれが我々主人公の心を掴むに至ったのはないか。しかも七咲はボトムズのファンであるということも一役買っているだろう。
まとめ
今回が初めての投稿となった。日記の感覚で書いたものの、やはり一度言語化してみると非常にスッキリする。ともあれ他のキャラクターの攻略を進めたいと思う。
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