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美しくて、悲しくて、痛い時には。




上辺の空があくびして、ほんのりと甘く歌う時に。

空の嘆きを聴くときに。

そっと祈る人の頬に伝う雨は

氷結して、キラキラと霜の光を降り注ぐ

この世の全てに反射する。

あなたの心を受け止めんと

それは全力を尽くしてくれる。

愛しています。

大切にします。

そう、あなたのいなくなった以後の世界を

私たちが護ります。

人間は何をしましたか、と問うのは

いつも同じ鹿が一匹。

餌ももういらないからさ、どっか行ってくれない?

吐き捨てるセリフに

私は涙する。

あなたの小川のせせらぎの

憩いのほとりを略奪しました。

そう、私は傘をさしました。だって雨が降ったから。

それから焚き火をしましたが、だって寒かったから。

だって嵐になったもの。そしてそれから、だって怖かったんだもの

だってだって、だって吹雪で屋根まで埋もれそうだったのだもの。

毛皮は暖かくて、雨露しのぎ防備して

凍死しなくて済む物よ

それは便利で

安く手に入ったの。

知り合いに猟師がいてね。

あなたの美しい御顔。

輝くつぶらな瞳。

大きな客間のモスグリーンのカーテン。

タッセルの間に飾ったの。

お客様に自慢できればまた

私たちの身分は上がったものよ。

だって壁に何の装飾もないなんて

まるであばら家じゃないの?

どうせ退去する日には敷地ごと焼かれてしまうかもしれないのよ

領主の不正も

資金不足も

全部あなたで賄った。

だって寒かったんだもの。

雨が降るかと心配で

陰口が心配で

立派に見せなければ

私たち一族の実は愚かなことが

見破られてしまうのよ。

もう帽子なんか要らない

首が必要だったのよ。

栄華を、栄光を、富をいつか

この手に収めるためにはね。

鹿さん。やっぱりあなたには難しいことがわからないのね?

あなたは所詮鹿さんなのよ

悪いけど。人間をお荷物だなんて百年早いわ!

生意気なのよ、わかってないわ。

やっぱり所詮、鹿なのね。

身の程知らずだわ

動物のくせに。



一族は結局

それはそれは栄華を極められ

誇りを忘れず

確かに繁栄しましたが

荒野に焼け野原。水は汚染され動物の飲み水はなく、鳥も羽を重い油で汚され死んだ。うさぎはみんな衣装になって、狐は高級なご婦人に愛されその首を絞める。

愛されず泣いていた草木も苗も種も、そして土も死んだのです。

空気はどこにもありません。

誰もいなくなって、何もいなくなって、私たちも

人間の姿も最後いなくなりました。

相思相愛に、相死相哀。

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