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「良し悪し族」と「好き嫌い族」、あなたはどちら?

世の中には

①何事も「良し悪し」という軸で見るひとたち
②何事も「好き嫌い」という軸で見るひとたち

という②パターンが存在する。

SNSにおいても、上記①②、それぞれのパターンの人たちが生息している。①のひとは、「良いか、悪いか」で一つの事象を捉え、悪ければ徹底的に批判する。

一方、パターン②の場合、SNS上のさまざまな人の色々な意見や主張に対して「へえ〜そういう考え方するんだ。ぼくはあまりそういう好きじゃないな。でも好き嫌いは人それぞれだからイイんじゃないの……」と考える。

この②種類の関係を一橋ビジネススクール国際企業戦略専攻教授の楠木氏がわかりやすく解説してくれている。

まず、「良し悪し族」と「好き嫌い族」の定義をこう設定している。

「良し悪し族」は世の中を縦に見る。
見るもの聞くものを、良し悪しの縦軸に当てはめて価値判断をする。「悪いこと」を指弾し、世の中からなくそうとする。

「好き嫌い族」は世の中を横に見る。ミクロな視点といってもよい。
それぞれに好き嫌いが異なる個人の集積として世の中をとらえる。人それぞれだからノリやソリが合わないこともしばしばだが、「ま、それぞれの好き嫌いだからイイんじゃないの……」と。

この比較も、どちらが良いか、悪いか?という話ではない。どちらが好きか、嫌い化の問題であり、ぼく個人としては、「好き嫌い」タイプというだけの話だ。

著者の楠木氏も「好き嫌い」タイプということで、こんなきれいなまとめを書いてくれている。

好き嫌いは人それぞれ。
他人と自分が違うのは当たり前だし、
人のことを気にする必要はない。
ただし、他者の好き嫌いを尊重する。
尊重しないまでも、
筋違いの批判や余計な介入や無駄な説得をせず、
気持ちよく放置する。
そういう社会が成熟した良い社会であると僕は思う。

さて、本書の中で、いちばん目からウロコだった考え方が一つある。

それは、ビジネスにおいては、「良し悪し」という見方より、「好き嫌い」という視点こそが戦略=競合との差別化につながるという論理だ。

戦略とは、一言で言えば、競合他社との違いをつくるということ。その時点でみんなが「良い」と思っていることをやるだけでは、他社と同じになってしまい、戦略にはならない。

例えば、「ファストファッション」を提供するZARAと「ライフウェア」を 標榜 するユニクロ。

同じ業界ではあるが、それぞれに「良い」と考えることが違う。ZARAにとって良いこと(例えばショートサイクルの多品種少量生産)がユニクロにとっては悪手になる。逆もまた真なり、

プレイヤーがそれぞれに「違い」をつくり、それぞれに異なったポジションを取ろうとする。したがって、同じ業界でも同時に複数の「勝者」が存在しうる。これを書いている時点で言えば、同じ洋服の業界にあって、ZARAとユニクロはいずれも勝者なのである。 

当事者が心底好きで面白いと思っていることを突き詰めた結果としてユニークな戦略が生まれる。これこそが商売の大原則。商売の基点にあるのは自由意志であり、戦略は経営者による意志表明に等しい。

「良い事例、悪い事例」は本屋に行けば、多くのビジネス書に掲載されている。だからといって、みんなその良い事例と同じようにやっても、同じように成功するとは限らない。

なぜなら、そもそも成功しているビジネスは「良し悪し」ではなく、「好き嫌い」を徹底追及するというアプローチで行われているからだとすると、腹落ちする。

重要なのは、「好き嫌い」という視点から生まれる差別化要素なのではないだろうか。

それにしても「良し悪し族」は世の中を縦に見て、「好き嫌い族」は世の中を横に見るとは、楠木氏ならではのとてもユニークな切り口だと思う。

今日も、ありがとうございました。

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