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「自分の思い通りにうまくいくことなんて、この世には一つもない」という前提

 村上春樹氏の翻訳本で、「月曜日は最悪だとみんなは言うけれど」というタイトルの本がある。

 このタイトル、とあるブルース曲の歌詞の一部で、続きがある。

「月曜日は最悪だとみんなは言うけれど、火曜日だって負けずにひどい」(They call it stormy Monday, but Tuesday's just as bad)

 月曜日が憂鬱だ〜というのはよく耳にする。でも、他の曜日について悪く言われているのは、あまり耳にしない。でも、水曜だって、木曜だって、金曜だって、曜日に関係なく、それなりに毎日嫌なこと、最悪なことは起きている。どの曜日だって、月曜に負けず劣らずのように思う。

 そんなひどいことばかりの毎日を生き抜くコツとして、「絶対悲観主義」という考え方があるので、今日はそれを紹介しよう。

 この「絶対悲観主義」というのは、経営学者の楠木建さんの哲学なのですが、とにかくあらゆることについて、「うまくいかない」という前提を持っておく、という考え方です。

物事が「うまくいかないのではないか」と心配になってしまう理由は、どこかで「うまくいくのが普通だ」という思い込みがあるから。

だから 「うまくやらなくてはならない」という考えにとらわれてしまう。

そうなると、「うまくいっていない状況」、例えば失敗するとか、見当違いなことをしてしまうといった状況は、ことごとく「逆境」だということになります。

そうなるのが不安だから、先行きを悲観してしまうわけです。

一方、 絶対悲観主義とは「自分の思い通りにうまくいくことなんて、この世には一つもない」という前提で行動すること。

「絶対悲観主義」楠木 建

 仕事だろうが、個人のプロジェクトだろうが、基本「うまくいかない」と構えながら始める。すべては、自分の思い通りいかない、予期せぬことが起きる、そう考える。

 そうすると、より事前準備入念に行ったり、沢山努力するようになったり、失敗してもいちいちダメージを受けずに、受け流し、次のアクションに移れるという公道パターンが手に入ります。

 この絶対悲観主義がもっとも機能するのは、仕事。なぜなら、仕事は「お客様」がいてはじめて成り立ち、そのお客様は「コントロールが利かない」存在であります。コントロールが利かない、つまり「うまくいかなくて当たり前」という本質が仕事のベースにあるからです。

 そして、絶対うまくいくはずがない仕事において、予想を裏切りうまくいったときはの喜びはひとしおだし、やりがいを感じるのではないだろうか。また、どうせうまくいかないものだから、失敗しても、「まあこんなもんだよな。次いくか」と淡々と挑戦しつづけられるのではないだろうか。

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